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こんにちは。はじめまして。私はきちがいです。

作者: おきたも

 こんにちは。はじめまして。お初にお目にかかります。

唐突ですが、私はきちがいです。

冒頭から物語の語り手として皆様に語りかける大任を拝しておりますが、

その実食べ物は噛めないし一人で歩けないし糞と小便は漏らし放題だし言葉を発することも出来ないのです。だって赤ちゃんなんだもん。しょうがねぇだろ。

しかし、赤ちゃんにしか出来ないこともある。お腹がすいた時に、一発わめいてお母さんに授乳を要求したりすることだ。

「どわーん」

「はいはいはい、お腹すきましたね~ご飯ですよ~」

私の母にあたるこの女性は大変聡明で、状況に応じて変化する私の奇声の微弱な違いを聞き分け、適切に対応することが出来る。加えて性格は明るく話し上手、手先が器用で要領も良く大抵のことはそつなくこなせるようだ。極めつけに胸の触り心地も良い。良いとこを挙げ出すときりがないが、唯一欠点があるとすれば授乳の際に私をあやす声音が、私の父に当たる人物と行為に及んでいる際のものと酷似している点くらいだろう。

 何はともあれ今日もこうして二人のありふれた日常が過ぎていく。澄んだ秋晴れの下、ベランダから涼やかな風が流れてくるこの部屋で二人過ごした時間は、人生のなかで最も幸福だったひとときとして我々の脳裏に刻み込まれることだろう。


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