雨
私は雨が好きだ。
太陽が雨雲に隠れ、光が刺さない、薄暗い光景が好きだ。
薄暗い中に灯す、家の灯りが好きだ。
雨の日の家の中の静けさが好きだ。
その静けさに流れてくる、雨粒に打たれた地面のボタピチャBGMを聴きながら、寝転がるのが好きだ。
外に出た時の傘に落ちる雨粒のパラパラ乾いた音が好きだ。
緩く吹く雨風の涼しさが好きだ。
足の濡れる感覚が好きだ。
家に帰って、いつもより早めに風呂を用意することが好きだ。
確かに、靴や服が濡れることの不快感は否めない。
しかし、それが良いのである。
雨は生き物だ。
雨雲は空でぐるぐる動き回っている。
時には、光の心臓が脈打って、音を鳴らす。
時には、滝のような雨が降ることもある。
もう一度言う、雨は生き物だ。
生きている以上は私達にも危害を与えるかもしれない。
それを考えたうえで、仕方なしと言える人間に私はなりたい。