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9/11

本当の気持ち②

最近投稿遅くなっててすみません……!後で修正予定です。もう一作の方は明日投稿予定です(訂正です。夜の7時頃です。すみません!)


 

あれから一週間が経った放課後。



「最近、楓の様子がおかしい」


 開口一番、俺は春樹に言った。……いつもの様に俺の邪魔をしてくる楓はいない。あんなに俺にベッタリだった彼女が、だ。

その変貌に、春樹だけでなくクラスメイト達も困惑している様子だった。



「確かに、それは俺も感じてるよ。いつもお前にベッタリだった西園寺さんが……」


 「どうしたんだよマジで……」


乙女心は複雑怪奇、楓の突拍子もない行動の真意が全然分からない。やっぱり、愛想を尽かされたか嫌われたか。嘆くように言うと、



 「でもお前への愛が消えた訳じゃあないな」


 杞憂だとばかりに、余裕そうに春樹が呟く。


 「お前、何で分かるんだよ」


 訳が分からない。楓が近くに居ない事もあって、身体ともに参っているのにこの言い草だ。俺が少しキツイ口調で聞くと、



 「気づいてないのか?これだから湊は……。あのな、授業中休み時間問わず、西園寺さんお前の事ガン見してんぞ?それも、恋する乙女って表情で」



 春樹は怯むことなく、むしろ呆れるように言い放った。彼の言葉が真実ならば、俺はまだ楓に好かれているということで……、



 「マジか!?」


 つまり嫌われたり愛想を尽かされた訳じゃないのか!?俺が、反射的に楓の方を向くと、


 「……っ!」


 楓にサッと視線を逸らされてしまった。今の光景を客観視すれば、完璧に自意識過剰の可哀想な奴だ。



「おい春樹、俺が自意識過剰野郎みたいになったじゃねぇかどうしてくれる」


「大丈夫大丈夫!大体、嫌いだったら最初からお前の顔なんて見てないって!……というより、明らかに何か企んでいる顔なんだよなぁ」


「……まあ、それもそうか」


後半の呟きは、小さすぎて聞き取れなかったが。彼の言う通りだと思った。


 が、同時に。頭に混乱の波が押し寄せてくる。


 なら一体どうしたというのか。嫌いになったわけでもないのに彼女が距離を置こうとする理由なんて、それこそ理由が分からない。

 ひたすらに思考を巡らせていると、



「みーくん、聞こえてる?」


「うおっ!?」


 いつの間にか楓がすぐ側に来ていた。彼女との会話は、ほぼ一週間ぶりだ。その顔は真剣そのもので。


「後で話があるの。校舎裏まで来て。」


有無を言わせぬその雰囲気。


「……おう、分かった」


 

それに気圧された俺は、ただ頷くことしか出来なかった。













数十分後、俺と楓は現在校舎裏にいる。ちなみにここまで会話はゼロ。いつもの元気過ぎる姿、それはどこかへ置いてきたようで。

妙に余所余所しい雰囲気に距離を感じ、胸が締め付けられる。そして……、



 「みーくん、驚かないで聞いてね。私……許嫁が出来たみたいなの」


 「え……」


 早速切り出した楓の発言によって、ただでさえ参っていた精神が粉々に破砕された気がした。



 だって、彼女はいつもはお見合いなんて来ても雑にあしらっていたんだ。それなのに、何で今回は。


……楓を好きな事を自覚して、ようやく一歩進んだと思いきやこれだ。



 「ここまで来て、それはないだろ……!」


 俺は、滲む視界にも構わず、心の底から叫ぶ。すると楓は弱々しく言った。



 「……私だってみーくんと幸せになりたいよ?でも今はみーくんとの過度な接触も止めろって言われてて……。このままじゃ、あの許嫁と結ばれることになる。」


仕方のない事なのかな、彼女は力なく笑う。

それを見た俺は―――――――――――



―――――――――頭が真っ白になる。それは、これまでに感じたこともない激情だ。



 「じゃあ!それなら諦めようとするなよ!何で!今までみたいに粘らないんだ!少し前まで君を嫌い、雑にあしらってた俺が言えたことじゃないかもだけど……!この数日間で気付かされたよ……。俺はお前の愛がどんなに重くとも受け止めるから。……行かないでほしい」



気付けば、俺は衝動的に叫んでいた。もう楓を好きだと、君の愛を受け止めると宣言したに等しい発言。後戻りは出来ない。

 この一週間、本当に苦しかった。


 思えば、彼女はいつも俺の傍に居てくれた。つまらない日常を彩ってくれていた。お弁当だって作ってくれたし、いつも献身的に尽くしてくれた。


 ……それを、その愛情を無下にしたのは俺の方だ。だからこれは贖罪なのかもしれない。楓に何を言われても受け入れよう、そうやって悲痛な覚悟を決めた刹那、




 「はいはーい!言質取りました!これボイスレコーダーに記録してるから。」


 「……は?」


 先程とは一転、悲痛な表情を放り出した楓が勝ち誇った顔で宣言する。


今の俺は、さぞ間抜けな面をしていることだろう。唖然とした俺を意に介する様子もなく、興奮したように楓は捲し立てる。


 「みーくん、この一週間私も本当に辛かった……。みーくんから盗んだ体操服と下着がなかったら頭が狂っていたかもしれないよ。私もね……みーくんが大好き。これで本当に相思相愛。遂にみーくんも私に一生を捧げる覚悟が出来たかぁ!嬉しいな」


その様子を見て俺は理解した。こいつに、また一本取られたのだと。


もうそろそろで完結予定です!(ただ、次回か次々回の更新は話の進展ではなく説明の足りてない部分への補足回になると思います。(割り込み投稿です))


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