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プロローグ~開戦~

新作です。多分後で修正します。



「みーくん、いる?」


  俺、結城湊は冴えない高校2年生。成績、容姿、運動能力……。どれを取っても平凡な、つまらない人間だ。


 現在朝の7時、場所は俺の部屋。

つまらん高校生の日常など知らんわ、と思う人も多いだろうが……。この状況、一つだけアブノーマルなことがあるのだ。


何故か、目の前には一人の少女が立っていた。というか、それは昔から見知った顔で……もっとはっきり言えば俺の"彼女"だ。


名前を西園寺楓。俺の幼馴染であり、才色兼備の美少女である。


「ねぇ、みーくんってば!」


 さらさらの、生まれつきの綺麗な栗色をした長い髪。少し幼さを感じさせる顔は庇護欲を掻き立てる。その美貌は男子女子問わず憧れの的で、彼女に告白し玉砕した男は数え切れないほどだ。


 はいはい!ここまで聞いて"何が冴えない、つまらない高校生だよリア充が!"とか思っちゃっそこの君!違うんだなぁこれが。

西園寺楓、完璧美少女とまで呼ばれた彼女には……。たった一つ、重大な問題点があるのだ。実は……、


彼女は重度のヤンデレなのだ。俺の事となると人殺しも厭わない、何なら勢い余って俺ごと殺してしまいそうなレベルでヤバい。 ……何なら"彼氏彼女の関係"も楓に脅されて、半ば強制的になったのだ。


「おーい、みーくん?」


てか説明はいいから早く返事してやれよ、とか思った人いるでしょ?

 ……いや、これは儚い現実逃避だ。彼女の恐ろしさを、少しでも意識から外すための。

ずっと楓と向き合い続けるなんて事をしてたら、俺の胃は穴だらけになってしまうだろう。


ああ……そんな風に考えていると何か腹が立ってきた。せめてもの抵抗として、俺は今から彼女が何を言ってこようが絶対に無視を決め込むと今決めた。


「ねぇ、みーくんってば!返事してよ!これ以上無視するなら……!」


しかし彼女は俺が無視を決め込んでいると分かった途端に、そのまま腰に隠してあったナイフを取り出して……って!


「って、おい!何ナチュラルに人を刺そうとしてるんだよ!てか、そもそも何で俺の家にいるんだ!?」


 流石に命の危険が迫っては無視なんてできない!てか、本当に何で俺の家にいるんだよ!? あまりに自然すぎて気づくのが遅れた。だってさ、楓って俺の家から3キロくらい離れた場所に住んでいるんだ。

それなのに当たり前の様に、さも当然みたいな感じ接してきたら脳の処理が追い付かない。 俺の絶叫に彼女は……。


「来ちゃった♪」


悪びれる様子もなく、彼女は太陽よりも眩しい笑顔を俺に向けてきた。

思わず見惚れそうになるが……。いや、ダメだ。それは楓の狡猾な作戦である。ぜぇ~ったいに!乗せられてはいけない!


「来ちゃった♪じゃねぇよ!大体鍵閉めてたはずだぞ……一体どうやって――――――」


「ん?ああ、私合鍵持ってるから」


「はぁ!?」


思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。おのれ楓……!いつの間に合鍵なんて作りやがったんだ!?

焦った俺は、ストーカー能力が日に日に向上していっている彼女(恐怖の対象)を問い詰める。


「おま、いつそんなもん作りやがった!」


「え?みーくんのお義母さんに貰っただけだよ?」


「か、母さん……」


 それを聞いて、俺は何も言えなくなった。くそっ……。今の俺は、苦虫を潰した様な顔をしているに違いない。何を隠そう、俺の両親は……滅茶苦茶、楓に甘い。琴葉は猫を被るのが上手なのだ。


 嗚呼、楓は外堀も順調に埋めてきていた。このまま何も抵抗することなく日常を過ごしていけば……。

間違いなく俺は楓に、今以上に絆されてしまう。


「……で、何のようだよ」


それだけは絶対にお断りさせて頂きたい。これ以上彼女が俺に近付いてこないようにするためにも、俺はなるべく素っ気なく返す。

すると楓は、


「もぅ、相変わらず冷たいなぁ……。決まってるじゃん。早く学校に行こ――――――」


「断る」


"恐ろしい提案"をしてきたので秒で断った。いや、楓と登校すればとんでもないことになるのだ。これはその内分かることだが……。


「……何で?」


ちょっと、そんな事を思考している所ではなかったかもしれない。琴葉が、明らかに機嫌を悪くして問うてきた。楓の様なヤンデレを怒らせたらどうなるか……お分かりだね?

俺はどうにか釈明しようとするが、


「いや、だって楓。……今日も"アレ"をやるんだろ?それを止めてくれれば別に良いけど――――――」


 それは途中で遮られた。


「"彼女"である私を差し置いて、もしかして浮気?私という完璧美少女がいながら浮気したの?もう、仕方ないなぁ……。みーくんには"お仕置き"が必要かもね?」


目から光を消した彼女が、勢いよく捲し立てる。その姿に……。


「……すみませんでした」


俺は屈した。今までの威勢を放り出して、早速屈してしまった。 だって、……仕方ないじゃないか。俺の脳が明らかに警告していたのだ。ここで抵抗したら殺されちゃうって。

そうすれば。


「最初からそうしてね。」


 先程の表情とは一転、天使の様な笑顔を浮かべている。流石、楓は切り替えが早い。


「じゃあ、早く学校行こっか!」


「……ああ」


冷たく返しながら、俺はこの何でもない平凡な朝に決意した。何としてでも彼女の魔の手から逃れようと。絶対に幸せな高校生活を掴みとってみせるぞと。



そう、これから始まるのだ――――――



――――――俺と楓の青春を賭けた熱き、残酷な戦いが。


ヤンデレ物を書きたくなったので投稿しました!新作です!10部?程で完結予定です。あと、今もう一つ書いている作品があるので投稿は一日一回ほどになるかも……。ちなみに、そちらは「素直になれないクーデレ美少女幼馴染を、俺は全身全霊を注いで甘やかす」という名前の作品です!もし良ければ、見ていただけると幸いです!

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