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転生者が三人って多過ぎない?

作者: 下菊みこと

攻略対象者の一人も転生者です

「リーナ!みてみて!鼠を捕まえてきたよ!」


「そんな醜い鼠を私の前に晒さないで」


「はーい…」


はじめまして、ご機嫌よう。私、シュトリナ・デオンと申します。公爵令嬢です。そしてこの乙女ゲームの世界の悪役令嬢です。ここでしゅんとしてる男は侯爵令息で私の婚約者のシエル・ファナティック。乙女ゲームのヒロインである私の腹違いの妹、リーリエ・デオンの攻略対象者の一人。私とは仲が悪くなるはずなのですが…。


「それにしてもこの屋敷には鼠が多いね。リーナ、はやく結婚しようよ。リーリエの奴の毒牙にかかる前に」


この男も、転生者でしかもシュトリナ推しなのでちょっと…大分?設定から離れています。


この乙女ゲームの世界の転生者と思われる存在は分かっているだけでも私(確定)と妹(私が何もしなくても何故か私を虐めの主犯に仕立てあげようとするので多分)とシエル(確定)です。多いです。はい。


そしてシエルは前世で妹さんがやっていた乙女ゲームを見せられた時にシュトリナに一目惚れしたとのことで、一目惚れなので中身が私でもいいそうです。私は私で見た目的な意味でシエル推しなので、私達の婚約に特にこれと言った問題はありません。…が、リーリエがどうもシエル推しっぽくて、シエルルートを強引に突っ走っているので面倒くさいです。


「お父様はお義母様に夢中でリーリエばかりを可愛がるし、お義母様は正妻だったお母様の娘の私を煙たがるし、妹はアレだし。私だってもうさっさと結婚したい…」


「僕もだよー。リーリエみたいな頭の中お花畑な子に言い寄られるのもいい加減疲れたし」


「でも、あと一日。そう、明日の卒業パーティーさえ無事に終われば私達は幸せな結婚が出来るのよ」


そう、明日の卒業パーティーさえ無事に終われば、次の日…いや、その日の内に教会に婚姻届を提出する。そうすれば、私達は晴れて夫婦だ。まあその前に絶対リーリエが何か仕掛けてくるのが目に見えているから…というか今も暗殺者を仕掛けて来られたから、面倒くさい。


「まあでも、この鼠はリーリエを黙らせるのに使えるよね」


「そうね。まあ、ほどほどにいたぶってあげなさい」


「リーナ、知ってる?額に水滴を垂らすだけの拷問」


「知らないけど使えるならやっていいわよ」


「わーい!」


ということでまあ、卒業パーティー頑張ります。


ー…


「シュトリナ・デオン!君をリーリエ・デオンを虐めた罪で断罪する!」


私に注目が集まる。くそぅ、私は妹虐めなんてしてないのに。


「王太子殿下、その前に私からも一つ申し開きがあります」


やっぱりやりやがったよリーリエの奴。まあいいや。かかってくるならこっちも本気だ。


「…いいだろう。なんだ」


「シエル」


「はいはーい!王太子殿下、昨日の昼頃、リーナの元に鼠が入りました」


「…鼠?」


「これです」


シエルが昨日の鼠を連れてくる。


「リーリエがリーナを殺すために雇った暗殺者です」


一気に王太子殿下とリーリエに注目が集まる。


「なっ!?」


「ご、誤解です!」


「誤解じゃないよ。ね、鼠君」


「はい、私は確かに、リーリエ様から依頼を受け、シュトリナを殺そうとしました…」


可哀想なくらい震えている鼠。何されたんだろう。


「う、嘘よ!お姉様の仕込みだわ!」


「そ、そうだ!こんなに怯えて、きっと無理矢理言わされているに違いない!」


「国王陛下ー!だそうですー!」


「!?」


この場に居ないはずの国王陛下と私の両親が現れる。国王陛下は怒りで顔が真っ赤、私の両親はリーリエのせいで顔が真っ青。


「この馬鹿息子が!せめて証拠を集めてから動かんか!」


「証拠なら…」


「そこの小娘の証言は証拠にならん!実の姉を殺そうとした悪女だ!」


「な、なんで、父上までそんなことを!」


「そこの侯爵令息がリーリエ嬢から暗殺者への不正な送金があったという動かぬ証拠を持ってきたのだ!」


「リーリエ!なんてことをしたの!そんなことをしなければ貴女は公爵令嬢でいられたのに…!」


「リーリエ、なにかの間違いだと言ってくれ…」


「こ、これは…これは…」


可哀想なくらい震えているリーリエ。お顔が真っ青よ?大丈夫?


「ということですので、虐めの件に関しても冤罪です」


「お分りいただけました?」


「馬鹿息子!お前は王太子教育を最初からやり直しだ!」


「は、はい!すみません父上!」


「謝る相手が違う!」


「皆様もお騒がせしてすみませんでした!」


「シュトリナ嬢に謝らんか!」


「悪かった!」


「いえ別にどうでもいいです。…陛下、帰ってもいいですか?」


「ああ、構わない」


「じゃあそういうことで私達は失礼します」


「さよならー」


というわけで教会に婚姻届を提出しました。これで晴れてシエルはシエル・デオンになり、我が家の入り婿です。シエルは早速お父様とお義母様を追い出す準備をしています。リーリエの方は今頃牢獄でしょう。王太子殿下はお疲れ様です。


「ああ、これでやっと一緒になれるね、リーナ!」


「そうね、シエル」


「愛してるよ、リーナ!」


「私もよ、シエル」


まあこんな私達ですが、幸せになれそうです。

ヒロインは何をしたかったのか…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初はシュトリナがやる気ないのかな?と思っていたら、シエルも転生者で溺愛されている展開が良かったです。 [気になる点] 短編だから仕方ないのでしょうがもう少しキツメの断罪返しが良かったです…
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