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プロローグ4

コツコツと2人の靴の音だけがする。向かう先はもちろん国王陛下の執務室だ。これから正式にわたくしとジルベルト殿下は婚約破棄するのだ。


「クローディア」



「なんでしょうか殿下」



「君は、私のことをどう思っていたんだ」



なんでしょうか、突然。ですがわたくしの答えは決まっています。



「殿下はご聡明でお優しく、将来我が国の国王となるにふさわしい方だと思っております」



「そのお優しい殿下は君との婚約を破棄した訳だが?」



「殿下がそれが我が国のためと思い至った結論であるならばわたくしは従います」



そもそもこの婚約は政略結婚だ。お互いに思い入れなどないのが普通であり、ある方が珍しい。



「ジルベルト殿下としての評価はわかった。もうひとつ、聞いてもいいか」



「はい」



「君は…私を一人の男としてどう思っていた」



…質問の意味が分かりません。殿下は一体わたくしにどんな返答を期待されているのでしょうか。先程の質問と何ら違いがあるように思えません。




「殿下は殿下。わたくしの政略結婚のお相手でした。それ以上でもそれ以下でもありません」




事実である。男として、の意味は分からないが私が殿下に対して抱いていた印象はそれだけだ。しかし左側にいらっしゃる殿下の顔を見ると、何故か心做しか残念そうです。



「…そうか」



そう呟き、わたくしと殿下はそれ以上は何も話さず執務室へ向かった。





━━━━━━━━━━━━━━━





遂に来てしまった。アイシャ様とのお茶の時間だ。先程無事に殿下との婚約を破棄した訳ですが、次期王太子妃の座はなくなってもわたくしは公爵令嬢のまま。子爵令嬢のアイシャ様にもこの際しっかりとマナーを身につけて頂かなければ。




「失礼致します」




ドアを軽くノックし、そう伝える。



「クローディアさまぁ?きてくれたのですね!どうぞ中へ入ってくださぁい」



そう言われたので中に入る。だが私はこの方と仲良くしに来たのではない。殿下の命令でこの方のふざけきったマナーを訂正するのだ。



「アイシャ様、前も言いましたがその怠けたような口調をおやめ下さい。次期王太子妃がそんなものでこの国はどうなるのでしょうか。本当に心配ですわ」



殿下の決定なので何ら理由があるのだろうが正直なぜこの方が選ばれたのか理解できない。殿下はわたくしに対しては常に社交辞令と接待スマイルしか浮かべない方だったが、アイシャ様にはニコニコとした素の笑顔をうかべていらっしゃった。これはきっと「恋」なる感情のせいなのでしょう。お互い思いあっているならば多少の贔屓はしてしまうもの。しかしこれは酷すぎる。



「クローディアさまったらぁ、今は私達2人しかいないんだからもっとリラックスしてくださいよぉ」



正確にはメイドが数人いるのだが。




「アイシャ様、勘違いされては困るのですが。わたくしはアイシャ様と仲良くお茶をしに来た訳ではありません。殿下の命令であなたのマナーを正すためにここにいるのです」



「チッ」



?今なにか聞こえたような…




「ご、ごめんなさい…クローディア様」




まぁ、わかっていただければそれでいいのですが。なんだかんだお茶が始まった。













…はずだった。



見本に、と言われてわたくしが入れた紅茶をアイシャ様が飲んだ瞬間、彼女はもがき苦しみ、倒れたのだ。




毒だ、そう思ってからは早かった。わたくしはすぐにメイドに医者を呼ぶように伝えた。



王宮のセキュリティは完璧なはずだ。毒なんて仕込む隙はなかったはず。



だれが、何のために…。

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