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テスト本番

なんだかんだあったが嫌でも時間は経つ。クローディアの周囲の様子はあいかわらず、ジルベルト達も嫌がらせの決定的な証拠もつかめないまま、テストの日が来た。



「おはようクローディア。テストの準備は出来てるか?」



クローディアの周囲を探っている事は本人だけでなく殆どの人が知らない為、いつもの口調で話しかける。何よりクローディア本人が隠している為、こちらから周りに曝露するわけにはいかないのだが。



「おはようございます殿下。出来ているか、と聞かれると答えかねますが、出来る限りの事はして来たつもりです。妥協はしない、と誓いましたので全力でやりますわ」



「私も今回はかなり頑張った方だ。今回こそ君に勝てるようにな」



嘘ではない。ジルベルトはクローディアの嫌がらせについて一から調査のし直しをしながらも、王族として恥ずかしくないように、今回はかなりの勉強をして来た。



少し胸を張り気味にいったジルベルトだが、後ろにいるアランから静かな声で突っ込まれる。



「殿下、クローディア嬢に勝つ、のは無理だと思うよ。並ぶ、というのは可能だろうけど」



「アラン様、買いかぶりですわ。今までは運よく良い点が取れましたが、今回もそうなるとは限りませんもの」



クローディアはそう返したが、それが謙遜である事は誰が見ても明らかである。今までクローディアが満点以外をとったことなんて一度もないのだから。



「クローディア、あまりそう言うことを言わないほうがいいよ。…嫌味に聞こえるから」



今度は少し肩を落としぎみで言うジルベルト。こんな姿を晒せるのはまだ生徒がいない時間帯だからだろう。

学園の朝は遅めだ。普通の学園ではなく貴族達が通う学園のため、生徒達は準備に恐ろしい程の時間をかけるためだ。特に令嬢達は服選びに化粧、ヘアセットにアクセサリーまで。『勉学に適した服装』という規則の隙を器用にすり抜け、いかに自分を美しく見せるか、朝から皆大忙しだ。



今日はテスト本番なのに、相も変わらず皆身だしなみを整えるのに夢中なのだろう。




ジルベルトもクローディアも朝にそこまで時間はかけないため、いつも早くから登校する。元々はそこまで早く登校はしなかったジルベルトだが、クローディアが朝一人で勉強していることを知り「正当に二人きりで話しができる時間が取れる!」と最近は朝早く起きて一緒にいる。誰にも見られない二人きりの時間を学園で取れるのだから早起きくらいどうという事はない。



次第に人の数が増えてくる。

話しているうちに時間が経ったようだ。ジルベルトとしては婚約者だからもっと二人で一緒にいたいのだが、クローディアが嫌がらせを受けている原因は他の令嬢の嫉妬である事は明らかなため、事が収まるまでは嫉妬心を煽らないように最低限の接触に抑えなければいけない。



「殿下、そろそろテストですわ。わたくしは筆記が先なので席に戻ります。殿下は実技が先でしたよね、早く移動したほうがよろしいと思います」



「あ、ああ…。お互い頑張ろう」



学園のテストは筆記と魔法の実技がある。各クラス滞りなくテストを行えるように受ける順番は違うが、結果に影響はない。



颯爽と去っていくクローディアを後ろから見送りながら、自らもテストに向けて集中を始めた。









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