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お昼休み ジルベルトside.

いや、まいった。まさか朝からクローディアがあんな大胆なことをするなんて。一瞬クローディアの周りにキラキラとした光が出ていたように見えた。不意打ちでおでこに手を当てるなんて…ダメだ可愛すぎた。



とわいえ少し拒絶したような態度を取ってしまったのは反省点だ。動揺してしまったからとてあれではクローディアを嫌っているように見えてしまったかもしれない。



「はぁ…」



自分の態度についため息が出てしまう。その瞬間、周りの令嬢達が騒ぎ出した。



「ジルベルト殿下、どうなさいましたの?」

「何かございましたら私に…」



周りの令嬢は私の見た目と地位に寄せられてくるだけのもの達だ。もし私が廃嫡されでもすれば一瞬でいなくなるだろう。花にたかる虫も蜜が無くなれば来なくなる。



取り敢えず外用の笑顔を貼り付けて適当にあしらおうと考える。


「クローディア様関係でしたらお話をお聞きしますわ」

「殿下も政略結婚とはいえあんな方と婚約なさることなかったですのに」



前言撤回。

クローディアについては私もつい最近まではあまり良く思っていなかたが、今は違う。彼女は少しずつだが人間らしさというものを身につけているように思うし今では大切な婚約者だ。



「私の婚約者がどうかしたのかい?」



「いくら公爵家で見た目が良くてもあの愛想の無さじゃ王妃になんて慣れっこないですし、そもそもふさわしくないわ。それなら私の方が…」


「いえ!私こそ!」



はぁ…。令嬢同士の争いとはこんなにも醜いのか。皆誰かを蹴落としてでも自分の私利私欲のために媚びを売るのか。クローディアとは大違いだな。



「すまないが、クローディアは私の正式な婚約者で私もクローディアのことは大切に思っている。まぁ令嬢には令嬢にしか分からない事もあるだろうからそういう時はクローディアに教えてやってくれ」



にこっと微笑むと令嬢達は頬を染め『はい♡』と言う。




それはそうとそろそろ昼食の時間だ。いつもならアランとテラスで食べるのだが、やはり婚約者は婚約者らしく一緒に食べるのが良い。



「…本当はクローディア嬢と一緒にいたいだけでしょ」



突然横からぬっと顔がでてきた。



「!?アラン!…いつの間に…」




「クローディア嬢なら中央庭園の隅にいますよ」



…なんで知ってるんだよ。というかなんで考えていることが分かるんだよ。こいつは頭の中が読めたりするのか。


いや、そんなことはどうでもいい。今はクローディアだ。



「ありがとうアラン。」



「いいってことよ…って。もういないし」



風のような速さで去るジルベルトだった。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




くそっ。どこにいる!



ジルベルトがクローディアを探すこと早15分。中央庭園の『隅』と呼べる所は大体探した。だがいない。



一体どこへ…



ふと目線を暗く茂った茂みに向ける。



ん?

一瞬、本当に一瞬だがクローディアのシルバーの髪が見えた気がした。


いやいや、彼女は公爵令嬢なのだ。進んであんな暗い所に行くわけがない。いやでも…


一応行ってみよう。



意外と奥は明るそうだ。そんなことを考えながら茂みを抜けると…




―――クローディア!!




まさか本当にこんな所にいるとは…

彼女は1人で紅茶を飲んでいた。



「やあクローディア。私も一緒にいいかい?」



クローディアはあからさまに驚いた顔をする。



話をまとめるとここは彼女の隠れ家的な所のようだ。確かに見つけずらかった。アランの『中央庭園の隅』というヒントがなかったら恐らく今日は見つけられなかっただろう。



というかちゃんとこの場所を教えて欲しかった。あの感じだと知っていたようだが…あいつこの状況を楽しむためだけに私に曖昧な情報を教えたな。あとで覚えてろよ。




それにしても美しい場所だ。キラキラと降り注ぐ光に薔薇と池。美しいクローディアを更に引き立てる。まるでここだけ別の世界のようだ。




ふと彼女に顔を向けると、少し顔色が悪い。やはりまだ体調が悪いのだろうか。それとも他に何かあるのだろうか。



気になって聞いてみたが彼女は大丈夫の一点張りだ。



…少し無理をしているように見える。彼女はいつもひとりで抱え込む癖があり、誰にも頼ろうとしない。



私がなんとかしてやりたい。だがまだ信頼が足りていない。それどころか彼女は私との婚約を破棄したがっていて足枷とまで言う。



何としてもクローディアの信頼を得ないと…。



今日空いているだろうか。良ければ私がクローディアの悩みを聞いてやりたい。力になりたい。




でも普通に誘っても断られるだろう。

前の見舞いの時の話の続きとして誘おう。決してこれはクローディアと二人きりになりたいから誘うのではない。



決して。







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