永遠の刻
プロローグ
俺は瞼越しに強い光を感じ、目が覚めた…
ここはどこだ
瞼を激しく刺激していた光は、天から俺を睨めつける太陽だった。
俺はゆっくり上体を起こし、周りを見回した。
そこはいつも見慣れた…
何も誰もいない空間が広がっていた。
大地は荒れ果て、水など一滴も存在しない。
見た瞬間に生物など存在するはずがないと思えるほど、絶望的な光景が広がっている。
俺はそんな世界に一人いた…
人間がこんな光景を見続けながら、正常な精神を持ち続けられるのか。
何もない、誰もいないこの場所で…
正直俺は無理だ。
しかし、そんな世界で俺は存在していた…
そう俺はただ存在しているだけだ…
肉体など、いつ失ったか皆目見当がつかない。
精神以前に、こんな世界で普通の人間が生きていられるはずがない。
俺は俺だけが、俺だと認識しているだけのあやふやな存在…
誰も俺が存在していると肯定はしない…
しかし、『無』でもない。
なぜなら、俺自身が存在を否定しない限りは、こうして非科学的な行動、『思考する』ことができるのだから。
俺は肉体を失ってからも、太陽が昇れば目覚め、沈めば寝るという行動を永遠と、この世界の変化と共に行ってきた。
俺が許されたのは、夢と現実の往復だけだった。
そして、俺はなぜこのような存在になってしまったのか?
それを模索する旅を夢の中で行う事が唯一する事であり、それが俺の呪縛を解く唯一の方法だと、心中のどこかで感じていた。
夢=俺の生前時の過去
俺を幽霊と定義するならば、未練が残ったためこの様なことになったのではないか、と幽霊らしからぬ冷静さ…幽霊だから冷静…いやいや、まぁそう思ったわけだ。
誰も俺を成仏させてくれないなら、自分自身で成仏するしかない。
だから、俺は夢(過去)へと旅立つ…
「さてさて、今回はどんな過去に飛ぶのか…そろそろ真相にたどり着きたいんだけどね」
俺は声がでているのか、でていないのか分からないが、荒れ果てた世界へと呟いた。
そして、俺は眠りに着くのだった。
《プロローグ》完