闇を見る青
ランプの灯りを前にやるとそこには少女がいた。不気味な雰囲気の図書館に溶け込むようにそこに座っていた。
「ねえ、ここに来るってことは魔導師なんでしょ?」
目を本に向けたまま、少女はそう問いかけパタリと本を閉じた。埃っぽいひんやりとした空気がそこには流れていた。
「人を呪う方法を教えてよ」
ぽつり、とそんなことを言い出した。人間というものは恐ろしいな、と思いながらも少女の横に座ってこう言ってやった。
「僕は魔導師さ。だけどあいにく、呪術と魔術は違ってね」
それを聞いた少女は呆れたようなつまらないような、そんなため息をついてそのままどこかに行ってしまった。彼女に目をやりながら、薄暗い隅を眺めた。意識がどこかぼんやりする、闇の中にいるような感覚に視界を奪われる。持っているランプの火はただそこに揺れ続けていた。