名は体を表す
プロローグを少しだけ書き直しました。たいして前とかわってないので、読みなおさなくても問題ありませんがお伝えしておきます。
「おい、召喚が成功したときいたが本当か!?」
マイと現実を受け入れつつ、今後のことを考えていると、これまたかなり派手な髪色をした男が部屋に来た。赤髪なのだ。しかもかなり原色の。目は…こっからじゃよく見えないけど茶系。もしかしたら赤っぽい茶かな。…まあ、この部屋にいる人みんな黒髪以外だから違和感はないけどさ。
ザっ
しかもこの人かなり高い位なのか、皆彼をみて頭をさげた。騎士さん達は敬礼。
「おい、お前らも頭さげとけ。あの方はこの国の第二王子だ」
私たち二人だけ棒立ちだったので、近くにいたシンさんが囁く。
え。リアルガチな王子様!? あ、まあ、王国ならそりゃあ王子いるか。
あー…。ただなあ。なんかザ・俺様って感じっぽいなぁ。嫌いじゃないけど、俺様系はあまり好きな方ではないので王子が俺様かぁってちょっぴり残念に思う。
一応、会釈程度に頭をさげる。ちらっと横にいるマイをみると…顔が輝いていた。…あれが好みだったりするのだろうか。正直、顔だけなら中の上ってくらいなんだけど。
「おい、これは一体どういうことだ。なぜ二人もいる」
「それが、儀式の際、どういうわけか二人召喚されまして。わしらもどうしたものかと…」
あ、この人、生理的に無理かもしれない。高圧的な態度が気に入らない。こんな人にちゃんと返すカイズさん偉いなぁとか私は思った。
「…わかった。おい、そこの女二人、名は?」
え、そこは自分から名乗るものじゃないの? とゆーか、王子とはいえ上から目線すぎてなんか…イラっとする。なんだよ、女って。
「あ、えっと! 姫川舞です!」
「…春です」
目をきらきらさせてほんのり赤くなって返事をするマイとは対象に、淡々と名乗る。
「…マイ、この場合、マイ・ヒメカワだったりするんじゃない?」
「あ! そうだね、どっちかな?」
なんか、王子さんと話したくないからついついマイに話しを振ってしまう。
「…ほう? こっちの君は姓があるのか。どっちが名だ」
いや、私もあるけどね? なんか面倒だから黙っておく。
「えと、舞、です!」
「マイか…。で、それは君の従者か僕か?」
は?
それ、と言い赤髪が顎で指したきたのは私。
「いや、ルシースト王子、こちらの二人は今会ったばかりのようです」
「そうか」
誰かが補足してくれたが、この際そんなことはどうでもいい。なんだ従者か僕って。マイはと言うと、ちょっと困った顔で私をみてきた。
「はぁ…。こちらは名乗りましたよ。そちらは名乗らないのですか、オージサマ?」
ちゃんと敬語つかったんだから、そんな眉を思いっきり寄せなくてもいいじゃない。
「俺は、アムネスト王国第二王子、ジェント・ナ・ルシーストだ」
「ひゅっ」
ふふん、とわらいながら、漫画とかならドヤァって効果が入らそうな感じで言ってくる。
あかん。笑うのなんとか堪えたけど、声がでかけて空気が口から漏れた。
「すみません、もう一度お願いします」
「はっ…。1回で覚えられないとは。まあいい。ジェント・ナ・ルシーストだ。よく覚えておけ」
ナ・ルシースト(笑)
忘れるわけがない。ナルシストだなんて、彼にぴったりすぎて、くふっ。やばい。俺様も、かなりレベルが高い(笑) あ、だめだ、わらったら絶対殺される(笑)
ちらっとマイをみると、彼女もナルシスト、って音でとらえたらしく、笑い堪えている。器用に、名前を教えてもらって嬉しく微笑むって図を保っているが、口角が不自然にあがっている。
「だい、じょーぶです。ちゃんと覚えましたので(笑)」
「私も、覚えました(笑)」
「…なにか可笑しなことを言ったつもりはないのだが?」
機嫌を悪くしたのか、不機嫌な声音で言ってくる。わかりやすいな。まぁ、私も人のこと言えないほうだと思うけど。
「ふん、まあいい。それよりもどちらかが神の乙女なのだろう?」
「ええ、恐らく…」
カイズさんの返事に、マイに近づき、先ほどより機嫌がいい声で王子さんが続ける。
「なら簡単だ。マイ、君が神の乙女。そうだろう?」
うわー。うわー。リアル顎クイとか初めてみたよ!
やる人っているんだなー。あ、マイ、真っ赤だ(笑)
「ルシ王子!?」
「あ、あの…!?」
ナルシスト王子の言動に、マイだけでなく、カイズさんや他のみんな慌ててる。私くらいか、慌ててないのは。
マイ赤くなってかわいーなぁ、とか、この王子、ルシ王子って呼ばれてるんだーとか呑気に思っていた。まあ、王子さんはそこそこにはみれる顔だから、可愛いマイと並ぶとまあまあ絵になる。だから、みるぶんにはいい。あ、マイが困ってなければだけど。
「ルシ王子、なぜそう仰るのです? まだこの者たちの能力はわからないですぞ? それに、このような事態は異例。もしかすると二人、神の乙女かもしれぬ」
皆の思いをカイズさんが代弁してくれると、ナルシスト王子はなかなかの爆弾を落としてくれた。
「決まっているだろう? マイはこんなにも可愛いんだ。あんな平凡な女が神の乙女であるわけかない」
はい?
部屋の空気が凍った。
その1さんとシンさんがとてもドン引きした顔で王子さんをみている。
そして、皆、気遣わしげに私をみてくる。
「…ナルシスト王子が」
ぼそっと地を這うような私の声にヒッ!?と近くにいた人が悲鳴をあげた。
ギョとした顔のシンさんが私に落ち着けと声をかけてくる。
「あ、おい、気持ちはわかるが落ち「私の名前覚える気ないよですよね!?」
「…は?」
「え? そこ!?」
ちょっとズレたとこに怒りを向けてる自覚はあるけど、やっぱり大事なことだと思う。
「人には名前覚えとけと仰っておきながら、自分はあれ呼びするとかないですよね?」
「いや、だからそこなの!?」
「そこでしょう!? だって自分の容姿くらい理解してるよ!? むしろ平凡で留まって嬉しいくらいだわ!」
「いや、どんだけ卑下してんの!?」
シンさんってノリがいいらしい。ボケたつもりはないが、キレのいいツッコミをいれてくれた。
「…」
そんな私たちのやりとりをナルシスト王子は眉を寄せてみていた。いやー、かなり私が気に入らないらしい。
「…ルシ王子、今のはいささか問題のある発言だと思いますぞ? 仮に神の乙女でなくとも、我々が喚んだことに違いはない。なら、この国で面倒をみる事になる方々だ。こちらの都合で、これ以上彼女らを住みづらくさせるのは良くない」
沈黙に耐えかねたのか、思うことがあったのか。カイズさんが王子さんに話しかける。
「ああ、だが神の乙女は一人いればいい。俺がマイの面倒をみて魔学なり基礎知識など、キッチリ教える。魔力さえ扱えればそりなら力はが発揮されるだろう。そうすればマイが神の乙女ということもはっきりする。彼女は…、まあ適当に部屋でも与えておけばいいだろ」
わー。もう王子さんの中ではマイが神の乙女ってのは決定事項なのね。そして、当の本人目の前にしてよくそんなに言えるなー(笑)
それから、マイの肩に腕を回して自身に寄せるようにしてるのは…ねぇ? まあ、マイは王子さんと近くにいれて嬉しそうだからいいんだけどさぁ。…なんか、さっきからマイの様子がなぁ。
「あ、あの、王子様、私といてくれるんですか?」
「ああ、君の事は俺が面倒をみよう。マイは可愛いし、きっと今までの神の乙女より皆に慕われる乙女になるはずた」
「…ほんとう? 私、心細かったから、王子様がいてくれると凄く嬉しい」
「マイ、王子様ではなく名前でよんでほしい」
「…ルシ王子? ですか?」
首を傾げながら上目遣い。うん。マイ違和感ないな。てゆーか、ねえ、マイ? 私がいたら心強いんじゃなかったっけ?
「ああ、マイ、本当に可愛いな。やっぱり可愛くて素直な女はいい」
あーなるほど。私、結構最初っから無愛想にしちゃったからなー。そんでもって平凡。まあ、こんな王子に好かれても嬉しくないからいいんだけど。そしてマイのこの様子はあれかー。
「よし、どうするかは決まったし、マイ、さっそく服を着替えよう。侍女に服を持ってこさせ、合うものをさがそう」
「わぁ! 服ですか? 嬉しい!」
そんな会話をしている二人を放っていたら、あっけにとられる周囲を置いて、部屋をそのまま出ていってしまった。すれ違うとき、一瞬こちらを見たマイは…なんて表現しようか。勝ち誇った?ような笑みを私だけに向けた。
あー…。やっぱりそうゆう感じだったんか。ちょっと残念だな。可愛いこと仲良くなれたと思ったのに。
マイが可愛いのは知ってる。んで、たぶん王子さんは女好き。しかも王子だからか、美形じゃないと自分とは釣り合わないくらい思ってそう…。
「だからって、いくらなんでもこれはないんじゃない…?」
美人が優遇されるのは知ってる。けどさ、仮にも一国の王子が、大事かもしれない客人?に、よくこんな態度がとれたものだ。
「ねぇ、質問いいかな?」
全員が未だポカンと扉の所を見つめるので、私もそのまま頭を動かさずに隣にいたシンさんに言う。
「…なんだ」
「ルシ王子ってカイズさんが言ってたからルシーストが名前だと思ってたけど、ジェントが名前だったりする?」
「いや、ジェントは家名だ。王族は権威のひとつとして家名が先にくる」
「そっか、ありがと。それが知れてほっとした」
家名がくる順番で権威がどーのこーのってのは元の世界じゃなかったからピンとはこなかったけど。
「どうしたんだ?」
「いや、私のいた世界で名は体を表すって言葉があるんだけど」
「おう」
「ジェントって私たちのとこじゃあ、礼儀正しいとか優しいって意味があったんで、家名とわかって安心した」
「…おまえ、それまちがっても王子の前で言うなよ」