目が覚めまして
ごめんなさい
今度こそちゃんと異世界にきました(笑)
前までと少し書き方変えました。
ちょっと詰めてます。
ガヤガヤ…ザワザワ…
…うるさい。
「…ったぞ!」「…だ! …をよべ!」
…ちょっと黙ってよ。
「…たぞ! ついに、つい……が…された!」
「……だ。 すばら…!」
いや、ほんと黙って!
眠いから!!
「いや、だが…」
「……そうだ…」
「…ふたり…が…きっと…!」
「…うるっせぇ」
ボソっと呟いた声は、自分でも驚くほど低かった。
むくりと体を起こし、頭いたい、と手を頭部にもっていく…というか、私床で寝てたの?体が痛い。
騒いでいる連中は、黙ることを知らないのか、なおうるさく騒いでいる。まあ、呟く程しか私は声を出していないから、きっと声が届いていなかっただけだろうけど。でも、こいつらならうるさいと言われてもずっと騒いでそうだ。
…とゆうか、ここどこ?
今さらだけどこの人たち誰よ?
痛くて働いていなかった頭が覚め始めると、私は目の前の光景にフリーズしかけた。コスプレイヤーは今まで何回かみてきてるし、私も何回かしたことあるけど…なんだこいつら。クオリティがおかしいわ!
部屋の中にいる50人?近くの人は皆、同じような白いローブを身に纏っていた。ゲームとかの白魔術師のような装いだ。それだけではなく、扉付近には剣を腰に差した男が2人。
…本物じゃないよね?
とにかく、刺繍やら装飾やらが、やたらめったら凝っていた。遠目でそれ程わかるのだ。本当に、どんなクオリティだよ。
しかも、つっこむべきはそこだけではない。目の色や、髪の色まで…なんというか、カラフルだった。今日は何かイベントか?
そして、今私がいるこの部屋。どこの城だよ!?というような造りである。
…細かい。全てにおいて細かい。服も建物も魔方陣も…ん?魔方陣? これあれじゃん!道にあったやつ!
…でも今は光ってないし、なんかチョークみたいなもので描かれたみたいだ。
何がどうなっているんだともう一度部屋をみると。
あ、なんか、そんな離れてない場所にもうひとりいる。私みたいなコが!女子高生らしいコが!!
よかった…! たぶん仲間だ!
そう思ってフラつく体で立ち上がると、今だ座り込んでいる彼女の元へ近づく。
「ねぇ、あなたこr「ようこそ御出なさいました! 神の乙女よ!!」
…。
「あぁ、どちらが真の神の乙女ですか!?
貴女方わかりますか!?
どちらも本当に神の乙女でありますか!?」
…落ちつけや。
そんな興奮したオッサンに迫られて喜ぶのは1部の人達だけだから。
私はその1部の人達には、はいってないから。
とりあえず、私が彼女に話しかけようとしたところを、
遮ったこの男に不快感を覚えながらも、男のことを無視しなかった私を誰か褒めてほしいわ。
「あの、何のことだかよくわかんないんですけど…
ここはどこでしょう? あなた達は一体…?」
とにかく、状況把握のために、出来るだけ冷静に返す。
彼女は不安そうに私と男を見上げていた。
「ハっ!!…申し訳ない! 我々としたことが!
ここはアムネスト王国、ベネスグレド宮殿です!」
「は?」
「ですから、アムネスト王国、ベネスグレド宮殿です!!」
どこですか?
「我々は今日という日を待っていた!
数百年前に封印された魔王が徐々にその力を取り戻し、
再びこの地に舞い降りようとしているのです…!
日に日に強くなる魔力に、皆、怯えている…。
そこで! あなた方神の乙女に力を貸していただきたいのです!!」
近い近い近い。こんなに興奮ぎみに迫られても気持ち悪いだけだから。
彼女も、引いてるし。
「はい、わかったのでとりあえず離れてください」
「貴女が神の乙女でしたか! わかっていただけましたかっ!!」
「うん。しるか、そんなもん」
満面の笑みで、抱きつかんばかりの勢いで迫ってくる男に、満面の笑みで返す私。瞬間、男の顔だけでなく、部屋の空気まで固まった。
「い、今、何と…?」
「だから、理解できないってことを理解したんだよ」
ねー?と同意を求めるように彼女をみると、彼女はコクコクと首を縦にふる。
うん、これではっきりしたね。彼女も同士だ。
何なんだろうねこの状況。…拉致られた?
「あ、あの、…何をしておいでで?」
「ん? カメラ探し」
拉致かなー?とか思ったけど、こちらに危害は加えないみたいだし、考えられるのは他にはドッキリ番組くらいだ。「もしも、目が覚めたら異世界だったら信じる?信じない?」…みたいな、内容といったところか。
「いやー、悪いですけどさすがにこれはないですよ。引っ掛かりませんって。カメラさんどこにいるんですか?」
「は?…えと、かめ?」
番組撮影ならどこかしらにカメラがあるはずだが、それらしいものはみつからない。
「ずいぶん凝ってるんですねー。セットといい服といい、めちゃくちゃ費用かかったんじゃないですか?」
状況が飲み込めた私は誰よりもはやく立ち直ると、この場を楽しんでいた。
番組のために騙されたフリをしてあげればいいのに?
いや、今を楽しみたいんでそれは他の人でお願いします。私にはいいリアクションはできん。
「すっごい。細かいなぁ。あ、騎士さんもなかなか凄いっ!」
ドッキリだろうが撮影中だろうがもうなんだっていいやと、オタク全開ではしゃぐ私。まわりは少々困惑ぎみだった。すごいね。まだ演技続行するんだ。役者魂はんぱない。まあ、そんなもの、こちらからすれば体験型舞台(そんなのあるのかな? なかったらできればいいのに)みたいでなおさら面白くていいんだけど。
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