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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第3章 ガチャで俺は最強になれるかも?
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第66話 覚悟なんて決めたくないな…

あのダンジョンの続きを...

 

「.....え?」


 下を向いていたユノの顔が上がる。その顔は驚きに満ちていて俺の言った言葉を理解できないと言わんばかりだ。


「正確には死んでるはずだった。っていうのが正しいのかな?本来なら俺はもう一度ユノ達に出会うことはできなかったんだ...」


 そう言いながら、俺はあの日のことを思い返す...




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ど、どうしよう、ここじゃ私の力も弱体化しちゃうし、脱出するなんてとても...」


 ここに来たことに動揺しているのだろう。アビスの言葉は先ほどとの口調と変わっており、おそらく本当のものへと戻っていた。声の大きさ的に本人は小声で呟いているのかもしれないが...俺の耳にはちゃんと聞こえてしまっている。

 それにアビスが気付いていないこと、このダンジョンの異様な雰囲気から相当ヤバイ場所なのだろうということはすぐに推測することができ、当然それは周りの者達にも感じられており...ウニやレオナにも不安の陰りが見えていた。


 スゥー.......フゥー.......


 俺は目を閉じて周りに者達に気づかれないように深呼吸をする。それと同時に頭の中をクリアにして1つの覚悟を決める。

 今俺達がしなければならないことはここからの脱出だ。では、その脱出の方法は.....。

 こういう風に次の行動に迷った時はまず、最終的にやらなければいけないことを考える。そしてそれを成し遂げる為に必要な行動を...と徐々に行動を分配していくことで、今の現状に辿り着くことができる。


「おいアビス、どうやったらここから出ることができるんだ?」


 俺達がしなければならないことはここからの脱出だ。だから次はその『脱出』するための条件を知る必要がある。ではその脱出する方法を知っているのは誰か...それは俺達をこの場所に連れてきたアビスだ。

 なので俺はアビスにその方法を尋ねてみたのだが...アビスはまだ動揺のせいか俺の言葉が聞こえていないっぽい。


 ふーむ...それじゃあ.....


「おい中二病」

「誰が中二病だ!!」


 おっ、反応した。


 中二病と言われることに怒ってたみたいだからそう言ってみたけど、効果があって良かった。


「まぁまぁ、落ち着け。それよりここから出る方法を教えてくれ」

「ふん!誰が貴様なんぞに教えるか」


 俺の言葉が伝わるようになったので改めて脱出する方法を聞いてみたのだが...アビスは腕を組みながらそう言いツンとそっぽを向いてしまう。


「ふーん、あっそう。お前がそういう態度をとるっていうなら...ここから先は互いに干渉はなし、ってことになるがいいんだな?」

「誰が貴様なんぞに好き好んで話しかけるか」


 まぁ、そうだな。うん、俺もお前ならそう言うと思っていた。だからプランBに移行するだけだ。


「わかった。それじゃあジーク、ここら辺に人1人が通れるくらいに穴を開けてくれ」


 俺がそう言うとジークは剣を振るい、岩壁に長方形の穴を開ける。そして次にそのその穴を広げるように切り進めてもらい、最初の長方形の穴を皮切りに中に空洞を作ることに成功した。


「こんなもんか?」

「そうだな。ありがとう、助かった。それじゃあ、皆この中に入ってくれ」


 アビス以外の全員を空洞へ入るように促す。アビスは俺の行動に首を傾げていたが、アビスには関係ないことである。

 なので俺は全員が入ったのを確認するとアロエに土魔法を使ってもらうように頼み、換気用の穴を残して入口の穴を塞いでもらう。


「ふぅー、これで一安心だな」


 岩壁にもたれながら俺は安堵の息を漏らす。


「あの、センヤ様?これには一体どういう意味が?ダンジョンの魔物対策でしょうか?」

「大正解、まずは安全の確保が先決だからな」


 ウニの言葉にあえて声を大きくしてそう言う。


『本当は半分正確だ。確かに魔物対策でもあるし、拠点の確保であることは変わりない。でも本当の目的は別にある』


 だが、本当は違うということを【会話通信(パーティチャット)】を使って皆に伝える。わざわざ嘘をついまでそうする必要があったからだ。


『べ、別にですか...?』


 俺が会話通信を使ったことでウニも声に出さずに会話通信を使ってそう聞いてくる。

 なので俺は周りを見渡し、皆が意識をコチラに向けていることを確認し、説明を始めた。


 まず、会話ではなくて会話通信を使わなければならないという理由なのだが…これは実にシンプルで、単にアビスに会話を聞かれないようにしたかったからだ。

 最初はアロエには伝わらないところをどうするか考えたのだが、何故かアロエに対しても使うことができたので素直に喜び、有用させてもらうことにした。

 アビスは俺の【不明不定箱(ガチャガチャ)】に干渉することが出来ていたので、【会話通信】の内容も聞かれるのではないか?と懸念したのだが...それは元々出来ないのか、それともこの場所に来たせいで出来なくなったのかは不明だが...アビスには会話通信の内容が伝わっていないようだったので、会話通信を用いることを決めた。

 どうしてそれが分かったのかって?それはもちろん、アビスに対する悪口を会話通信で言いまくって反応を確認して何もなかったからだ。


『それで?どうしてこんなのを作ったの??』


 レオナの質問に俺はニヤリと笑って質問に答える。


『それは、こうすることでアビスから脱出する方法を知ることができるからだ』


 アビスと俺達は現在、互いに不干渉という状態になっている。これでは先ほど俺が聞いても教えてくれなかったように情報を得ることは難しいだろう。

 ではどうすればいいのか?...その答えは『アビスが俺達に情報を提供しなければならない状況を作り出す』ことだ。

 俺達とアビスは互いに同意した上で不干渉という現状に至った。じゃあもしも、もしも不干渉の相手に頼らざるを得なくなったらどうだろうか?不干渉でいることを同意したのに、それを覆すような状況になったのなら?...それ相応の見返りを要求できるし、相手はそれに応じなければならない。


 だからそういう形を作ることで俺達は見返りとして、ここから脱出する方法をアビスに求めるわけだ。それでは...具体的に何をするのか?という話になるのだが…俺が考えた中で1番確率の高かったのがこの『籠城する作戦』である。

 人間の三大欲求の中の1つに食欲という欲求がある。何故なら人間は飢えをしのがなければ生きることができない生き物だからだ。アビスは俺でも正直よく分からない存在で簡単に俺達の前へと姿を現せたりすることが出来るほどの存在だ。

 もしかしたら、この世界の存在でない可能性もなくはない...だが逆にそうだとしても今はこの世界にいる以上、食べ物を食べなければならないという制約が課せられることも十分に有り得るのだ。もし、アビスがこの世界の住人でそういう固有スキルで俺に接触を果たしていたのだとしたら…それはそれで食欲という欲求を持っているだろう…だから籠城することによってその飢えを解消すべく俺達に頼る状況を作ることにしたのだ。


 仮にアビスが食べ物を持っているor創り出す力、食べ物を必要としない体だったとしても俺達にはそれほどマイナスの影響が出ないのもこの作戦の利点である。


 だから俺は籠城する作戦を決行したのだ。



一応、今回のダンジョンでの話は「死にかけた」ことが主題となってますので、あと1~3話で終わる予定です。

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