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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第3章 ガチャで俺は最強になれるかも?
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第65話 大切なもの

気付けば60話から5話も...最近時の流れが早く感じたりします。


「あ、あれは…グランディートウルフ!?どうしてあんなヤツがここにっ...」


おそらく教師らしき人だろうが...その教師が驚きとともにそう口にしている。

そしてそんなことを危惧している事もお構い無しにハチコウは俺の元へと走ってきて停止する。


「おぉーよしよし、お疲れ様」

「ヴァオン!(ありがとうございます!)」


俺がここまで頑張ってくれたハチコウに労いの言葉とともに頭を撫でてやるとハチコウは嬉しそうにそう言って尻尾を振る。


「センヤ様、おまたせいたしました」

「うん、ウニもご苦労様」


そして御車台に座っているウニにも労いの言葉をかける。そしてそのウニの後方にあるドアと連結された後ろの方の狼車のドアの2つが開き、次々と人が降りてくる。


「まさかこの女性達...ん?ウェルナ??」

「あ、ユノ!!それに皆さんも!!」


そんな中、ユノは狼車から降りてきたウェルナに気づき、ウェルナもまたユノやクラスメイトの存在に気づく。


「ねぇユノ?どうしてセンヤの肩を掴んでいるの??」


そしてウェルナは降りてそのまま俺の...もといユノの元へとやって来て、その光景を見たままに口にする。


「へ?あ、いや、これは...って!?まさかセンヤ、ウェルナも!?ウェルナもその中の1人なの!?」


ユノは突如何かに気付いたような表情になるとガンガンと俺の肩を揺さぶり慌てたようにそう聞いてくる。


「その中の...1人...ですの?」


そしてウェルナにしてみれば事のあらすじが分かっていない為、理解することが出来ず頭をかしげるだけだ。


「あぁ...実はセンヤに彼女みたいな大切な人達が出来たと言われてな…その中にお前も入っているのか…ということだ」

「えっ!?い、いや...それは...その...」


そのウェルナの疑問をシュウがフォローするように教える。するとウェルナはカァーッと顔を赤らめていき、もじもじとしながらチラチラと俺の方へと視線を向けてくる。


「っ!?、やっぱり!?やっぱりウェルナもその中の1人なの??」


そしてそんなウェルナの様子を見たユノは、先ほどよりも強く俺の肩を揺さぶってくる。


「いや、ウェルナは大切っちゃ大切であるけど…国王の娘としてだよ?学園までの護衛を頼まれたんだよ」


そう言いながらチラッと横を見ると...ズーン...と何やら落ち込む者がいるが、それが事実なので仕方がない。


「...うん、わかった。ウェルナのことは納得する...でも、それ以外のことは私は納得できない」


ユノはその場に立ち上がると俺を睨みつける。


「私はセンヤを探したっ!センヤに生きてもらうために探したっ!!それでもセンヤが見つからなくて、センヤを探す条件だったから、この学園にも転入したっ!!そしてセンヤの為に強さを身に付ける努力も惜しまなかったっ!!なのに...」


ユノの言葉はそこで1度途切れる。ユノの瞳から再び涙を流れたからだ。それでもユノは涙を流しながらも再び口を開き言葉を紡ぐ。


「なのに...なのになんで...センヤの側に私がいないの...?」


ユノの言葉に俺は何も言えなくなる。言いたいことは色々あるし、理解してもらいたいこともある。だけど、そこにはユノの望むべきものが存在しない。だからこそ...何も言えなくなる。


「センヤは私の気持ちにも、なっちゃん達の気持ちにも気付いてた。でもそれでも私達が変わらないでいれたのは…センヤが選ばなかったから!センヤが変わらないでいてくれたから.....でも分かってた!いつか、それに終わりが来るのも分かってた...この世界に来た時にその時が近いことも!それでも...私達の誰かを...違う...センヤなら、私達を選んでくれると思っていたのに...どうしてそこに私もなっちゃん達もいないの!!」


ユノはそう自分の感情をさらけ出すと...右手で拳を作り、それを俺目掛けて振るってくる。


平手ではなく拳って...はは、ユノらしいな...


こんな時でも、つい俺はそんなことを考えてしまい...それと同時にこの拳を避けるという選択を頭の中から消し去る。目の前へと迫りくる拳を見ながら、それを受け入れる覚悟を決めたのだが…


「...離してよ」


俺に向かって振るわれた拳は俺の元に辿り着く前に遮られた。


「ピュア?」


何故なら...それは狼車から降りてきてピュアによって止められたからだ。よりによってなんでピュアが...?という疑問がすぐに頭に浮かぶ。

何故ならこの件に関して1番俺と無縁の女性は間違いなくピュアであるからだ。ウニ達のように俺にとっての恋人のような存在でもなく、スカーレット達のような関係でもない。

だからこそ、その拳を止めたのがピュアであることに俺は驚きを隠せなかった。


「貴女に...センヤを殴る資格はない」


淡々と...特に感情をあらわにすることなくピュアはそう告げる。いや、表に出していないだけで…少し怒っ...てる?


「な、なにをっ」

「貴女は望んだ。好意を持ちながらも停滞することを...今までの関係が壊れることを貴女は望まなかった。そしてセンヤはそれに応えた。だから変わらない日々を送れた。でもそれは、貴女が停滞することを選んだから...そしてこの世界に来てセンヤは自分で選んだ。でもセンヤが望んだのは停滞ではなかった」


ユノの言葉を遮るようにピュアは言葉を紡ぐ。淡々とした言葉ではあったが、ユノは悔しそうな顔をしながらも反論はしなかった。


「貴女は選択する勇気がなかっただけ」

「ち、違う私は!!」

「じゃあ、それまでの想いだっただけ」

「な.....」


ピュアは基本的に表情から感情を読みにくい。そして話す言葉にも抑揚のような感情の主張が少ない。だからこそ、その言葉は平等の見解のように感じる。そしてその言葉は余計に考えさせられるのだ。

ユノは言葉を発しない...ピュアの言葉が思考を鈍らせるからだ。信じてきたものが、正しいと思っていたものが...実は間違っていたのではないか?判断を鈍らせる。


ピュアがいて良かったな...


そしてそんなユノを見ることが出来たからこそ、俺もやるべき事を知ることができた。


「ピュア...ありがとう、もう大丈夫だ」

「ん...」


俺がそう言うとピュアは頷きウェルナの横へと退る。ただ、俺のことを去り際に見たときに見えたピュアの表情が不機嫌であるように感じた。その理由に関しても検討がついてるので、それはあとで謝っておくとして...


俺は1度、辺りを見渡すように視線を動かす。


クラスメイトや先生らしき人達は何ともいえないような雰囲気を醸し出しながらコチラを見ており、四ノ宮姉妹は不安げな表情で俺のことを見ている。

そしてシュウは俺の行動・言動を見定めるように真剣な表情で俺のことを見ていた。それらを確認し、俺は聞こえないように1度小さく深呼吸をした。


「ユノ、俺さ...実は死んでるんだよ」


そして俺はユノにそう告げる。


というわけで次回は7ヶ月ほど時が遡ります。あのダンジョンへといった続きのお話です。

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