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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第3章 ガチャで俺は最強になれるかも?
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第60話 出発

本編も60話を迎えることができました。

いつもご覧くださる皆様、誤字脱字や感想のコメントをくださる皆様に改めて感謝とお礼を...

 

 馬車を購入してから数日が経ち、着々と進めていた準備も終わり...いよいよ出発の日となった。


「ほら、コイツがあれば大丈夫だ」


 オルドリックが渡してきたのは2つの封筒。中を確認すると新旧ボーシュリクス国国王の紹介状とオルドリックの紹介状だということがわかった。

 この紹介状はジョーダー学園に行くにあたって必要となるかもしれないと...それぞれ用意してくれたものだった。

 2つとも王国の烙印と直筆のサインがあるため、それが本人のものであり、ボーシュリクス国自体が絡んでいるということの証明になる。


「ありがとう」


 俺はオルドリックに感謝の言葉を告げる。


「じゃ、学園長に会ったらよろしく言っといてよ」


 封筒を渡したオルドリックは最後にそう言うと馬車から離れる。


 オルドリックが離れたことによりそこに残るのはマリンだけとなった。


「センヤさん...」


 悲しそうな表情でマリンは俺を見る。その瞳や表情を見てマリンとの出会いを思い返す。


「大丈夫だ。すぐにまた会える」

「.....」


 それでも安心させるようにそう口にしたが...マリンは遠い何かを見つめるような表情をするだけで...その場には沈黙が流れた。おそらく...俺と同じようにマリンも過去の出来事を思い出しているのだろう…


 時間にして3分くらいだろうか…その沈黙を破るようにマリンは小さく息を吐き、その瞳に強い思いのようなものを宿らせ...口を開く。


「私...センヤさんが帰ってきたら好きだと告白します」

「ずいぶんと新しいフラグだなっ!?」


 マリンの言葉につい反射的にそう言ってしまう。


 いやだって、そういうのって普通行く側が言うじゃん!?なんで待ってる側がそう言うの!!?聞いたことないよ俺!?

 いやほんと空気壊して悪いかもしれないけど、こればっかりは無視できなかった。


「ふ、ふらぐ?」と口に出し動揺してるマリンを落ち着かせるため小さく咳払いをする。


「あーそのスマン。つい咄嗟にそう言ってしまった。えーと...その...ちゃんと帰ってくるよ」

「は、はい」

「.....」

「.....」


 一応返事を返しマリンもそう口にはしたが...なんというかとても歯切れが悪い感じになってしまい先ほどとは別の意味で沈黙が流れる。


「その...マリン?」

「な、なんでしょうか!?」


 変な空気に恥ずかしくなるが...1つだけマリンに言わないといけないことがあったので口にする。


「メルトをよろしく頼むよ...結構抱え込むタイプだからさ…」


 俺の言葉が意外だったのかマリンは気の抜けたような表情になり、目をパチパチさせる。そして少しの間の後、笑い出す。


「あははっ...大丈夫ですよ。何せ昔から一緒にいますから」


 マリンは楽しそうに笑いながらそう言った。


「…そんなにおもしろかったか?」

「ごめんなさい、笑うつもりはなかったんですけど…センヤさんはどんな時もセンヤさんなんだなって思うと...なんか可笑しくって」


 マリンの言葉にピンとこず、考えていると…マリンは笑顔でその意味を教えてくれる。


「ギルドで絡まれた時も、メルトの件も...センヤさんはいつも誰かの事を考えてる。あんな気まずい空気になっても最初に出てきたのはメルトを気遣う言葉。それが可笑しくて、でもそれがセンヤさんらしくて...あぁ、センヤさんはいつでもセンヤさんなんだなって考えたら自然と笑ってました!」


 満面の笑みでそう言うマリンは輝いてるんじゃないかと思うほど眩しく見えた。そして、その明るい雰囲気と笑顔は俺の中でのマリンのイメージと重なるように見え、気づけば俺も笑っていた。


「また会える。ちゃんと帰ってくる」

「はい、待っています。でもあんまり待たせないでくださいね?」

「ハハッ、わかった」


 最後にそう言うと俺は馬車に乗り込み、マリンももう悔いはないのか笑顔のまま下がっていく。それを確認した俺は御車台に乗っていたオロチに合図を出し、馬車を発車させる。


 手を振って見送ってくれる仲間や知り合いに皆とともに応じつつも...その姿は徐々に小さくなっていきやがて見えなくなる...




 去りゆく馬車ならぬ狼車を見送る人々。別格な存在である狼...グランディートウルフの速さは凄まじく、すぐにその姿は見えなくなった。


「速いなぁ...もう見えないや」


 ボーシュリクスの冒険者ギルド。その冒険者ギルドの制服に身を包んだ少女のマリンは...その速さを頭で理解しつつも、やはり目の当たりしてしまったせいかそう呟くように口にする。


「当たり前です。何せハチコウちゃんは私よりも先輩なんですから」


 以前まではマリンと同じ制服を着ていて今現在はメイド服に身を包んでいる少女...メルトはマリンの呟きに少しばかり誇らしげにそう口にする。


「はいはい、自慢の主様の愛狼だもんねハチコウは」


 マリンとメルト...お互い昔からの幼なじみというもあり、相手がどんなことを考えているのか何となくわかる。


「ええ、センヤ様は私の自慢の主様です」


 腰に手を当て自慢することをアピールするかのようにそう言うメルト。


「でも私の方が先に知り合ったから、付き合いなら私の方が上だね」


 そしてそのメルトに対抗するようにそう口にするマリン。


 昔からの幼なじみだからこそ知っている...相手がどのような男性がタイプなのか。どうすれば心が動かされるのかを知っている。そして2人の心を動かした男性が現れたのだ。

 2人は良き友人であり、ライバルでもある。だからこそ好きな相手という題材において違いに相手を抜きたいと思う。


 だがそれも時と場合によるものだ...


「はは...」

「はは...」


 2人は互いに笑い出す。何故なら2人の心を動かした男性は...どちらかではなく、どちらも選ぶような男性だからだ。

 だから2人は笑い出す、良き友人でいられることを祝福する。そして思い描く...明るい未来と変わらない2人の関係を...



実は当初のマリンって冒険者ギルドをやめて一緒に学園行く予定だったんですよ。でもメルトを残すことに決めてから、幼なじみということもあり一緒のラインにさせたいなという考えになってその結果、とりあえずはギルドをやめずにメルトともにボーシュリクスに残ることになりました。


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