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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第3章 ガチャで俺は最強になれるかも?
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第59話 メルトの告白

メルトの告白譚

 

「...こんなところか」

「そうですね。いざとなれば会話通信(パーティーチャット)で連絡を取ればよろしいですしね...」


 メルトと最終的な打ち合わせを済ます。先日、ネビロスとの会話の結果...ジョーダー学園に行くことを決めそのことを皆に伝えた。

 その為、俺がいない間でも万事屋や家の清掃等などについて詳しく相談しておく必要があったのだ。


「ん?何か不安とかある...?」


 何か歯切れの悪いような言い方と表情をしたメルトを不思議に思い、俺はそう聞いてみた。不安要素があるというなら除去しておきたいからだ。


「いえ...寂しくなるなと思いまして...」


 寂しげな笑顔を見せながらメルトはそう言った。


「私がいなくてもウニがいます…自分で言うのも何ですが...ウニほど身の回りの世話をするという奉仕の面で、優れている人は見たことがありません」


 ウニは窓の向こうの空を眺めながらも言葉を続けていく。


「私には私の役目があります。私の役目はセンヤ様がいなくともセンヤ様の代わりに成し得ることです...でも、頭で理解していても心はそういかなくて...私はまだまだ未熟者ですね」


 俺の位置からは窓の方を向いているためメルトの表情を見ることはできないが...悲しさや辛さのような感情を抱いていることは分かった。


「未熟者でもいいだろ、俺だって完璧じゃないしな」


 メルトは俺の方へ振り向く。少し驚いたような表情をしており、その瞳からは涙を流していた。

 だが...メルトはすぐに笑みを浮かべる。


「センヤ様...私は...貴方が好きです。私の両親を苦しめた敵を討ち、私の...父の命さえ蘇らせてくれた...優しい貴方が大好きです...」


 胸の前に手を置き瞳の端に涙を浮かべながらも笑顔でメルトはそう口にした。


 深夜の暗い静寂の中...その姿を窓から差し込む月明かりが照らす。それは映画のワンシーンのようで...とても幻想的で美しいとすら思ってしまう。

 自分の鼓動が早くなるのを感じ、顔と体が熱くなっていくのがわかる。

 冒険者ギルドでも人気があったその容姿はとても可愛らしく、世間一般的に考えて美少女に該当するには十分なものだ。

 そんな女性からの告白だ...ドキドキしないはずがない。


「...メルトの気持ちは嬉しい。でも、メルトも知ってるように俺は1人は選べない。俺は...皆が好きなんだ。この世界では一夫多妻も基本的なものだし、俺もそれを望んで決めたことだ。本当に寸分の狂いもなく平等に愛するということはできないけど...同じだけの愛情を捧げると決めたんだ」


「...センヤ様の気持ちは知っていますし、私としても素晴らしく思います。でも...私の気持ちを...ちゃんと言葉にしたくなってしまいました…何番目でも構いません。同じだけの愛情も望みません...ですが…少しだけ...ほんの少しだけでも...私にも愛情を注いでいただけないでしょうか…?」


 俺は恵まれている男だと思う。俺のことをこんなにも思ってくれている美少女がいるのだから...これで恵まれていないといったら嘘になるだろう。


「...俺はそういう行為は強要しない。皆のことは仲間や家族のような繋がりだと考えているから...でも...メルトが望むなら、それに応えたいと思う...その...メルトは可愛いし...」


 口にして余計恥ずかしくなるが…その恥ずかしさを堪える。メルトが俺のことを想ってそう言ってくれたのだから...俺もちゃんと言葉にしなければならないと思ったからだ。


「…ありがとうございます。そう言っていただいただけで...私は頑張れます」


 メルトは俺の言葉を聞くとそう言ってまた微笑んだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「...グランディートウルフ...あ、ダメだ俺死んだ」

「そいつは俺の...俺の...んー...仲間なんで大丈夫ですよ」


 グランディートウルフ...ハチコウを見て悟った表情になった馬車屋の人にそう教える。


「お客さん...冗談はよしてくださいよ…グランディートウルフなんて化け物を飼いならせる人なんてゼロではないですが...極わずかですぜ?」


 乾いた笑いをしながら馬車屋はそう言う。


「俺が連れてきてる段階で...まぁいいでハチコウ、伏せだ」

『ヴォン!(了解です!)』

「...まじかよ」


 ハチコウは体勢を低くする。その姿を見て...馬車屋は一言そう漏らし...何か覚悟を決めたような表情になる。


「はぁ...人生そんな生きたつもりはないが…生きてれば貴重な体験をするもんだ...お客さんが馬車の注文に来た時に大人数用のを特注した理由がわかりやした」


 そう言うと馬車屋は店の裏の方へ案内してくれる。


「おお!」


 俺は特注品の馬車を見て思わず声がでる。


「小回りやバランス等を考えて作った特注品です。その分値ははりやしたが…お客さんから頂いた硬貨で足りやした。あのグランディートウルフが引くなら全く問題もないでしょう」


 用意された特注品は御車台付きの馬車、そしてその馬車に連結するような形でもう一回り御車台のない大きいものが付いている。

 確かにこれなら十分乗ることができるだろう。


 念のためハチコウに取り付けて引いた感触などを確かめるが…全く問題ないようだ。


 つまりこれで馬車ならぬ狼車を手に入れることができた。



溶けてしまいそう...溶けてしまいそう...

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