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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第3章 ガチャで俺は最強になれるかも?
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第58話 自惚れ

 

 現在俺はネビロスの私室にいる。特に理由はなかったのだが...ふと話でもしようと寄ったところ...ちょうど読書の休憩をするところだったので相席している。


「今回の件で懸念すべきものはなくなったわけだが…どうするんだ?」


 ネビロスはそう口にすると紅茶を一飲みするとカップをテーブルに置く。飲んでいる紅茶は近くにいたサラスティにお願いし持ってきてもらい入れてもらったものだ。

 ネビロスは両膝に両膝をかけ指を交互に組むような体勢になるが、その瞳はジッと俺を見据えている。

 お互い椅子に座っているので座っている体勢的に俺がネビロスを見下ろすような形になっているが…そのネビロスの瞳の力強さと雰囲気から見下ろしているという感じがしない。


 ネビロスが口にしたこれからというのは今後の行動...具体的にはジョーダー学園に行くのかということだ。


 俺は1人、この世界へと転移してきたと思ったのだが...どうやら俺の在籍していたクラスのクラスメイト全員がこの世界へと転移してきたらしいのだ。

 そして現在色々あって俺のクラスメイト達はジョーダー学園という学校に通っている。

 つまり、ジョーダー学園に行けば俺の親友、友達やクラスメイトに会えるというわけで...その為ネビロスは今後の行動を聞いたのだ。


「この世界の学舎に興味あるし、アロエの件もある。クラスメイト達にも会っておきたいし、この世界を冒険したいなら先に行っておくべきことだと思うんだよ」


 俺は紅茶とともに持ってきて貰ったクッキーを1つ摘むとそう言い口に含む。


「煮え切らない言い方だが...以前話していた人材確保は何とかなったのだろう?」

「そうなんだけど…」

「ならば、他に何の問題があるというんだ?」


 ネビロスもクッキーを1つ摘み口へと運ぶが...その表情は俺に対して疑問を投げかけるものとなっている。


「まぁ、色々とな...悪い可能性ばかり浮かんできてさ…」


 そう口にしながらも脳裏には様々な選択が浮かび描かれていく...

 ハッピーエンドもあれば最悪なバッドエンドもあるが…俺自身がありえないと思っていた異世界転移の現状を体感してしまっているため...知識等から常に悪い想定ばかり考えるようになってしまっていたのだが…


「悪い可能性?この期に及んで何をそんなに心配している」


 ネビロスから返ってきたのはそんな言葉だった。


 更にネビロスは続けて言葉を紡ぐ。


「センヤ...お前は何の為に俺やジーク、オロチという存在を望み創造した?望んだから俺達を創造したのだろう?ならお前は...既に望み叶えるために行動を起こしていることになるが...これ以上何を望むというのだ?」

「.......」

「そんなタラレバは考えるだけ無駄だ。何故ならこの世界に生きとし生けるものは全てお前の意思で動かせるものではないからだ。それぞれが意思と理由を持ち行動するからだ。だからお前の悩みは考えるだけ無駄だ」

「.......」

「起きてもいないものに対し行動を起こそうというのが土台無理な話だ。起きてから対処するという割り切る考えを持て。お前のいた世界にあったバスケットという勝負で相手を0点に抑えることは容易なことか?」

「いや、簡単じゃない...」

「ならば同じように割り切る考えを持て。失点を少なくする工夫も、得点を伸ばす努力も、勝利に繋がるための戦略も大事な要素だ。だが、大なり小なりの犠牲はでるものだ...だからこそそこにも目を向けろ」

「.......」

「その犠牲を抑えるための俺達だろう?」


 最後にネビロスはそう言うと俺に笑いかける。


 ガツーンと思いっきり殴られたような感覚が体全体に響きわたる。それだけネビロスの話は俺がどれだけ自惚れていたのかハッキリと分からせるような内容だったのだ。


 馬鹿か俺は...先の結末が分かっていりゃあ...そもそもバッドエンドなんて言葉すら存在してねぇじゃねぇか...この世界に来る前だってそうだったじゃねぇか!!


「悪い...俺が馬鹿だった」

「別に気にするな、誰かに話さないと見えてこないものもある。まぁ、今回はお前が言ったように馬鹿すぎたがな」


 笑いながらそう言うネビロスは馬鹿にするような表情している。


「それで...決めたのか?」


 ネビロスは紅茶を1口飲み、ニヤニヤした表情でそう聞いてきたので...


「あぁ、ジョーダー学園に行く」


 俺は本能のままの選択を口にした。俺の返答にネビロスはそう答えることが分かっていたようで「そうか...」と短く言葉を発し、また1口紅茶を飲む。


「...お前はどうするんだ?」


 ジークやオロチもそうだが…基本的にルア達同様にやる事成すことの強制を俺はしていない。周りにある程度迷惑をかけないなら好きに生きるように言っている。

 ネビロスも例外ではなく...読書か魔法の研究、魔道具の製作を趣味として日々過ごしている。

 だからこそ俺はネビロスがどうするのか気になり聞いてみたのだ。ネビロスがこれまで通りにこの家で魔道具の製作等に明け暮れるというなら、しばらく会えなくなるからだ。


「俺もお前について行く。俺だって学舎や話題の勇者達に興味があるし...やっぱりお前の周りにいるのが1番おもしろいからな」


 迷うことなくそう自分の意思をハッキリと口にしたネビロスに男ながら少しドキッとしてしまう。あぁ...勘違いするなよ?俺は女の子一筋だし、そういう趣味もないし興味すらない!ただ、カッコいいとか男気かあるとか思ってしまっただけだ。


「楽しませるつもりはないけど、お前がいいならそれでいいよ。それじゃあ、これからも楽しむ為の俺のために頑張れよ」


 だから俺は笑いながらそう言いカップを持ち胸の前に掲げる。すると俺の意図を理解したネビロスも同じようにカップを持ち胸の前へと運び...


「そうだな...全ては我が主センヤの為に...」


 カチャ...。


 そう口にしたネビロスの言葉を合図にお互いのカップをぶつけこれからの未来に向け乾杯するのだった。


センヤはホモではないです。言いたいことはそれだけです。

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