第52話 バスケットボールが浸透している…
勇者様から伝わったバスケットボールという球技が浸透している世界があるらしい...
「ふむ...」
こうして見ると獣さん達...人間じゃない方々が結構いるな…
犬の顔をしており、二足歩行しているガタイの良いに犬にしか見えないもの。猫耳や髭、尻尾や尻尾を生やしており顔や体格が人間のもの。猫耳だけで体格や顔が人間にしか見えないものなど色々なタイプがいる。
獣さん達だけでも人獣、獣人、半獣人とそれぞれ違うのである。
人獣同士または獣人or人獣と人間が交わり、遺伝的に獣要素が強ければ人獣になるし人間要素が強ければ獣人となる。そしてさらに人獣同士でなく人獣と獣人が交わったときに人間要素が多かった場合に半獣人となる。
獣人と獣人が交わると人獣が生まれることはなく獣人が生まれ、人獣と獣人が交わるよりも半獣人が生まれやすくなる。
人獣と人間が交わっても人獣が生まれることはなく基本的に獣人となり、それよりも少ない確率で半獣人が生まれ、獣人と人間が交わると基本的に半獣人が生まれ、それよりも少ない確率で獣人が生まれる。
半獣人と半獣人が交わると基本的に半獣人が生まれ、それよりも少ない確率で人間が生まれることがある。さらに極めて少ない確率で獣人が生まれることもある。
半獣人と人間が交わると半々くらいで半獣人と人間が生まれ、獣人が生まれることはない。
竜人なんかも確率的な違いこそあるがこんな感じである。ちなみにユキは白狐、センは茶猫の獣人です。
あとは…ボーシュリクスは王があんな感じの人だからこの国には基本的にはないのだが...国によってはやはり差別的な扱いがある場所もあるらしい。
まったく...ケモミミ女性を差別とは誠に遺憾である。
まぁ、逆に人獣・獣人ばかりがいるケイルマレードという国なんかもあるらしいので、いつかは行ってみたい。
そんな感じでパーティにいる人達を見てそんなことを思っていると...何やら端の方に人だかりが出来ているのが見えた。
しかもこれは...ルア??いや、他にもルカとパナとノエル、レオナにアビスにアロエって女性陣全員じゃねぇか!!...あ、ウェルナもいる...ってこれは!?
付着目印、周辺地図のスキルを使いさらに深青眼改を使って確認したところ...そこには俺にとって予想外のものが存在しており、すぐに足を向かわせる。
「こ、これは...」
「おや知らないのですか?これは勇者様より広まったバスケットと呼ばれる球技ですよ」
俺が直に目の前の光景を見てポツリと零した言葉を近くにいた貴族っぽい男性が聞いていたらしく、そう教えてくれる。
そう...俺の目の前には綺麗に並べられたレンガで出来た少しばかりの広場に見慣れたラインコートなどが引かれ、支柱が刺さりそこに取り付けられているバスケットゴール。そして現在フリースローラインと呼ばれる場所から順番にバスケットボールを投げているルアの他に複数の人達がいたのだ。
「今はフリースローという、あそこの線からボールを投げて競い合ってるところなんだ」
「えっと...バスケットは結構広まってるんですかね?何というかその、一般の方々ができたりするんですかね?」
さらに話を続けてくれた男性にそう聞いてみる。
「何ヶ所かできる場所はあるけど、基本的にはまだ貴族やお金持ちの人達が遊べる遊びって感じかな?ゴールはともかくボールって安くはないし、スペースの問題もあるから」
「そうなんですか...ありがとうございます」
「いやいや、あっそうだ!君も良かったらやってみるといいよ!おーい!この男の子も参加するって!!」
「は?」
いや、おいちょっと待てっ!!ってうぉっ!!!
ちょうどルア達の勝負が終わり次の参加者を募集している時にこの男がそう言ったものだから自然と周りにいる人々の視線が集まり...
「それではコチラに...ってセンヤじゃないですのっ!?」
募集の呼びかけをしていたウェルナ王女様がそんな風に言ってしまうものだから断る空気になるわけもなく.......
結果、人々に避けてもらいコートに出ることになってしまった。
「センヤ...あなた死にそうな顔をしてるわよ?」
「いやだって、こんな注目されるのはちょっとな...それに...」
ルアがコートに出てきた俺にそう言ってくる。しにそうなかお?それもそうだろう、なぜならこんな空気になってしまったせいで他に参加を希望する者が現れないということだ。俺だって逆の立場なら参加など遠慮している。
だが、持つべきものはやっぱり仲間というべきか…
「はいっ!誰もやらないなら私またやりたいっ!!」
「私もやりたいっ!!」
元気っ娘ツートップのレオナとルカが挙手しながらそう言ってくれたのを皮切りに...
「では私もやりたいです」
「それでは私ももう一度挑戦したいものだな!」
「クク...それならば我も参加しよう!」
「皆さんだけなら...私も...」
パナ、ノエル、アビス、そして人見知りのアロエまでそう言ってコートに出てきてくれたのだ。
「あら?皆やるなら私もまた参加したいわね。誰が一番か決めましょ?」
「いいねー!負けないよー!!」
「おもしろいではないか…我は賛成だ!」
「うむ、私も先ほど1度やってコツは得た!」
「お姉ちゃんには悪いけど勝つのは私だよ!!」
「あらあらルカちゃん、宣戦布告ですね」
「へ?えっ!?いや、パナさん私はそう言うわけじゃなくてっ!!」
「大丈夫ですルカちゃん。パナさんはからかっているだけです…」
お前ら...最高かよ...!!
「そうだぞルカ、それに安心しろ勝つのは俺だ」
「あらセンヤ?ずいぶんと自身満々じゃない?」
「そうだよセンヤ、アロエ以外は私達皆1回やってるんだよ??」
「ハハ、たかが1回だろ?そんなんじゃ勝てないよ」
「なるほど、それではセンヤさんに勝利した暁には何でも1つ言う事を聞いてもらうというのはどうでしょう!」
「全然いいぞ?なんだったらハンデもつけてやるよ」
俺が最後にそう放った言葉はここにいるメンツのやる気を上げるには十分だったようで...楽しめたらいいと思っていたアロエもスっとボールを1つ拾いフォームの確認を始めだす。
「...というか皆さんセンヤと知り合いですのっ!?」
「うん」
驚いた表情でそう聞いてきたウェルナにそう返す。
「えっ!皆さん、センヤとどのような関係なんですの!?」
「彼女...かな...?」
「どういうことですのぉぉぉぉぉ!!?」
どういうことも何もそういうことだ...その...そういうことなんだ。だから俺の襟首掴んで体を揺らすのをやめなさい。
「どういうも何もそのままの意味で彼女みたいな存在ってことだ...」
...というかこの状況ってよく考えたら...
チラッ...
コチラの状況に対し興味ありまくりといった瞳を飛ばしてくるたくさんの視線があった…
あー...やっぱり気になっちゃうよね…うん、もうここまできたら諦めしか出てこないや。うん、だからさ…とりあえず殺意むき出しで視線飛ばすのはやめようか...?
あとそこで照れてる勢、モジモジしたり顔を手で隠すような行為はやめなさい。殺意の度合いが増してるから。
「あー...周りの視線もあるんで、そろそろ離してくれ...」
「はい?...あ!いえ、こ、これは違くてですねっ!」
ウェルナが周りの視線に気づいていないようなのでそう教えてやるとウェルナは気づくや否や顔を赤らめ慌てたように周囲の誤解を解くように熱弁する。
俺がウェルナの危機を救ったことは口外しないことになっているので、ちょっとしたことで助けられことからお知り合いになったということになっている。
周囲の人々も初めは俺とウェルナの恋仲的可能性について怪しんでいたのだが...ウェルナの話を聞いたのと俺が貴族でないことから、そういった可能性はないだろうとその事に関しては納得してくれた。
代わりに男性人から貴族でもない俺がルア達というタイプの違う様々な美少女達と関係を持てているのか訳が分からないといった感じの嫉妬を越えた先ほどよりも強い死(視)線を向けられることになったがな…
解せぬ...お前ら金とコネがあるんだから俺何かよりも簡単にハーレム作れるだろうが...ってか絶対ハーレムは作ってるだろ!!コッチは知ってるんだぞこの世界の貴族は何人も奥さんがいる一夫多妻制が基本でその他に愛人いるのも当たり前だってなっ!!
あ、何か考えたらムカついできちゃったな俺...
「ゴホン...え、ええ...それではフリースロー対決の続きといきましょうか…それでは誰から投げま」
「ウェルナ、それちょっと待ってもらえる?」
「え?どうかしたんですの…?」
俺は仕切り直してフリースロー対決を再開させようとするウェルナの言葉を遮る。ウェルナも言葉どおり疑問を浮かべた表情でコチラに聞いてくる。ルア達も同様に頭に?マークを浮かべコチラを見てくる。
「いや、何か男性人から凄い不満を持たれているみたいだからさ…それだったらいっそ勝負してみようかなって...」
「勝負...ですか…?」
ウェルナやウニ達女性陣がより分からないといった表情でコチラを見てくる。
「そう。先ほども言ったように俺と彼女達は彼女みたいな関係と言ったけど、正確に言えば恋人ではない訳だ。それはつまり当然ながら夫婦の関係ですらないということ...ですので...」
俺は周囲の男性陣達を引きつけるように数秒そこで言葉を止める。
「俺と勝負して勝った人達には彼女達と本日のパーティーで共に行動してもいいですよ?もちろん、積極的にアピールしてもらって構いません。全力で口説きにいっていいです」
俺の言葉を聞いた男性陣達がルア達の方を品定めするように見つめ明らかに興奮しているのがわかる。
ルア達は一瞬動揺した表情をコチラに向けるが俺は【会話通信】で頭に描いた計画を伝え納得してもらう。
「その代わり負けた場合、ランダムに書いたお願いを聞いてもらいます。あ、これはくじ引きのような感じにしますのでモチロンお願いなしというのも用意します。それでどうでしょうか?」
俺の言葉を聞いた基本貴族の男性方はザワザワとざわめきだす。頭を悩ませるもの、周囲の男性と相談する者と様々な反応をする。
「は、ハズレのくじはどれくらいの割合なのだっ!」
そう質問してきたのは30代後半くらいの...あ、26歳の男性である。ごめんなさい見た目が30後半にしか見えなかったんです…
「え、えーと…そうですね...では3倍でどうでしょうか?」
確率的には33%である。だが、これで納得しないのは明白である。商売する時にあえて最初に高めにふっかけるのと同じである。
「ご、5倍ではどうじゃ!」
聞いてきたのは52歳の男性か...ずいぶんと元気だな?いやでもそんなもなのかもなぁ…
「そうですね...それでは間を取って4倍と言いたいところですが...これも何かの縁ですし…5倍でいいでしょう」
縁って何の縁だよ…
と自分で自分にツッコミを入れるが…男性陣からは反応が良かったらしく若干大きい歓声が湧いている。
俺としてはまだ確率を下げるつもりでいたのだが…上級の【交渉】スキルを持っている関係もあるんだろう。
参加を希望する男性達が前へと出てくるが、その表情は色んな意味でやる気に満ち溢れている。
イラッ...
ちょっと自分で言い出しておいてアレなんだが…そういう目で見られるのはムカついてしまう。
「それではフリースロー勝負といきたいところですが...普通にフリースローだけの勝負だと挽回的要素がないので...ここのリングとフリースローラインの中間を1点、フリースローラインを2点、スリーポイントラインを3点、そしてスリーポイントラインから1mほど後方からを4点としましょう。1人10球ずつ投げてもらいポイントの合計で競います」
俺が提案した勝負内容に最終的に参加を示した7人の男性は特に異を唱えることもなく納得する。というか女性陣と同じ数と出ていった男性陣を見て引き下がったやつらもいることを考えると...うん、思いっきり階級的に下がりざるを得なかった感じだろうな…権力ってのはいつの時代も付き纏うものだから仕方ないし、争いのある世界ではより上下をハッキリさせないといけないので大変なんだろう…
そう考えるとやはり、日本は平和だったんだな…
「さて、それでは順番はどうしますか?何なら俺から始めても構いませんが...?」
俺がそう提案すると...俺は最後にとの意見が全員から言われてしまったので俺は最後にやることになったので、改めて最後に勝利条件と勝者・敗者の内容を確認を審判も含めて若干強制的に協力してもらったウェルナに確認してもらいフリースローもとい、シュート勝負が始まったのであった。
普通ならセンヤはルア達のことを賭けの対象になどしませんが…本当の目的はナンパ等によりルア達がパーティーを楽しめないことを危惧しての行動です。
先にあえてチャンスを与えることによりフリースロー後にナンパをさせにくくするという発想に至りました。




