第48話 仲良し家族
50話だと切りがいいが...あと本編2話で2章を終えることができるのだろうか…?
門番の務めを全うしている兵士を尻目に馬車はアーチ状になっている入り口を通り抜ける。
「やっと帰ってこれましたわ…」
窓から広がる街の風景を見て、ウェルナは吐き出すようにそう言う。
何せ久しぶりの帰国に加えあんな出来事があったんだ。より一層実感するように感じても不思議ではない。
少し街中を進むと馬車が一度停止し人が乗り込んでくる。
「センヤ君、本当にありがとうっ...」
乗り込んでそうそう頭を下げてそう言ってきたのはオルドリックだ。
「あぁ...うん、まぁ無事だったしいいんじゃね?」
俺は「なぁ?」と確かめるようにウェルナに確認するがウェルナもオルドリックに対して思うことはないのか「はい。頭をあげてください」とオルドリックに言い、オルドリックをイスに座らせる。
ギルドマスターとしての立場的に謝らないといけないのかもしれないが…今回のことは別にオルドリックに非があるものでないので...オルドリックに謝られたところで返す言葉も特にない。
オルドリックを馬車に乗せたのを確認してきた馬車の操縦者の男が馬を再び歩かせる。オルドリックと合流する目的を果たしたのであとはこのまま王城へと向かうだけだ。
ああ、今回の件は当然ウェルナの祖父で現国王にあたるノルディン・ボーシュリクス、次期国王を受け継ぐ父のセグルス・ボーシュリクスにも伝わっている。
ウェルナ...家族が窮地に陥っていたのだから心配して迎えに来そうなものだが、居たのはオルドリックのみだ。
普通に考えて薄情な人達だとか愛情がないんじゃないかと思うところがあるが...ここは日本よりも危険な世界であり、生き抜いていくためには一つ一つの行動も考えなければならない。
今回の件もあえてここに姿を表さないことでウェルナの拉致を示唆した者達に余裕があるように見せる...(俺がウェルナを救出する一連の流れが迅速だったことを利用する)ことでコチラの守りが堅いことを相手に理解させる目論みがあるとのことだ。
その証拠に...
「ウェルナ!!」
「お父様!!」
城に到着するなり周囲の目も気にせずセグルスはウェルナの元に駆け寄り抱きしめる。
そしてそれに続くようにノルディンや妹のマキナやイルナもウェルナの元に駆け寄り抱きしめている。
「仲が良いんだな…」
俺はウェルナ達の光景を見てついそんな言葉を零してしまう。この世界に来てから不意にあんな光景を見てしまうとどうしても家族のことが頭を過ぎってしまう。
帰りたいという気持ちよりもこの世界にいたいという気持ちの方が強いのだが…両親に心配いらないくらいの伝達はしたいと思ってしまうのだ。
うん、俺の役目も終わったし帰るとしよう。オルドリックから馬車内での移動中に情報も得られたことだし、その情報を含めて考察していけば...即位式後のの街中を回る際も安全な防御体制をつくることができるだろう。
「あれ?もう行くのかい?」
「まだ、やることが残っているからな…今夜のミニパーティも不参加だ」
俺が帰ろうと背を向けたところオルドリックに声をかけられたのでオルドリックにそう返答し城外を目指して移動する。
「やっほーセンヤ、王様達とお話しなくていいの?」
少し歩くと何もない空間から突如レオナが出現する。幻影魔法を使って周囲の風景に紛れていたのだ。
レオナはノルディン達の方に指を差しながら俺に聞いてくるが...お礼を言われるだけだと思うし、何よりあの空間を邪魔したくない。
俺はレオナに「大丈夫だ」と伝えるとレオナは納得した表情を見せ...
「おっけー!それじゃあ、お家に向かってしゅっぱーつ!!」
とそう言い空間魔法を使ってこの場から俺を連れ出してくれた。
あ、カイルももちろん一緒にね?
「とうちゃーくっ!!」
そんなレオナの元気のある声とともに視界に広がるのは俺が購入したマイハウスである。
レオナが使った空間魔法はやはり便利だと思う...とそう思ってしまうのも仕方ない。何せあっという間にオーシャン邸に到着してしまうのだから...
やっぱり...俺も覚えようかな…?
と今はそれよりもやらねばならないことがある。
俺は頭の中でやらねばならないリストをリストアップ...あ、やっぱペントの力を借りてスマホに入力してメモしておこう...
俺は【真不明不定箱】のスキルを使ってペントを呼び出し、ペントに俺のスマホを同期させる。同期が終了すると俺のスマホの画面・機能を空中に映し出してもらう。
これで空中に大きく見やすくなったスマホの画面が表示される。あとは空中のパネルをタッチして文字を入力していくだけで簡単にメモができる。
①万事屋オーシャンの人員確保
②配下のレベル上げ
③龍装武器の調査
④元の世界に帰る方法
俺はまず4つの大きな項目のフォルダを作る。これは数字が若いほど優先順位の高くなっているものだ。
まず①の万事屋オーシャン人員確保なのだが…先ほど回したガチャの結果に人間タイプがいなかったこともあるのだが…単純に何とかできるだけの人材が足りていないということだ。
というのも今の現状での構成は大きく分けて3つある。
素材確保班、店舗経営班、運搬護衛班の3つである。
素材確保班はその名の通り迷宮等に赴き必要な素材を確保する班である。
基本的に各店には直接依頼された値段よりも安い料金で素材を卸すことになっているので、日常的に使うもの・一般的に扱うものに関しては万事屋ではなく俺が素材を卸す各店にお客が来る形になる。その為、それ以外の必要な素材があった場合に万事屋に直接依頼をする形になるわけだ。
店舗経営班はお客様からの依頼の管理やその通達、会計や処理を行う。
まだ、各店に俺が卸す素材が安定していないこともあるが...それでも今朝の依頼されたリストを見る限り、万事屋を利用するお客様も少なくないと思われる。そしてウチの店の一番の特徴でもある24時間営業を円滑にするためにも上記で唱えた仕事をできる人材を一定数確保する必要がある。
運搬護衛班は一番シンプルである。漁業に行く船が魔物に襲われた際に対処したり、鉱石を採掘する際の道中・採掘中の護衛をしたりする。運搬は一応モノ次第によっては協力する可能性もあるので項目に入っている。
コチラもコチラで他の業者と協力して行うことになるので嫌われるような行動をとる者は入れることができない。
以上3点に重複する形で②のレベル上げも絡んでくる形になる。これらの問題は俺の仲間であるルア達やメイドとして奴隷にしたサラスティ達がこれらに大きく関わっていることにある。
というのも...正直ウェルナが俺の友達と予想以上に親密な関係を築いていることが大きく、予定していたよりも早めに対処する必要があると思うに至った。
今回のウェルナのように突如何が起こるかわからないので早めに準備しておこうというわけだ。
③はアロエの件や存在も含めて調べる必要があるのだが…これは前にも言ったがアロエが急ぐ必要はないと言ってくれたので優先順位は下げさせてもらっている。
④に関しては...一応ウェルナの話では帰る手段があるのだろうが...100%信用できるわけでもないので保険として模索しておいた方が良いと思ったのでメモしておいた。
うーん...ガチャを回すべきか??それとも奴隷を購入した方がよいのだろうか…
俺は頭を悩ませ考え込み...結局、ピースを使いある程度の強さを約束された存在を何体か作り出すことにし、残りは購入するかオルドリック辺りにちょうど良い人材がいないか聞いてみて気に入れば雇うことにした。
ピースを使おうと思ったのは先ほどペントに聞いたことを試してみたいのと...
こう言うのもアレなのだが...実はウェルナの窮地を救ったおかげでまたプレゼントが届いており、その中身が破格のピース100個という内容だったのだ。
なので少しでも還元する...という訳では無いのだが...ある程度しっかりしたものにしようとピースを使うことにした。
さて...それじゃあサクッと作っちゃおうか
本編か.5話系の話がわかりませんが…キャラ作成の話になります。




