第43話 おそらくこれは必然だろう
ガチャ回です!物語も少し進みます!
「じゃあ...先こっち開けるか」
俺は白金色と赤色で染められたカプセルを開ける。
なんとなくだが...多分アレ系だろう...
種類:武器カード★7
名称:神魔風龍装 パンデモニウム
分類:弓=アロー
性能:攻撃+?・常時風属性+特殊効果付与+命中率上昇
説明:風龍神パンデモニウムが製作したといわれる弓で詳細は不明。矢を所持していなくても魔力消費により特殊な矢を作成することが可能。また魔力を消費することで矢に様様な効果を付与することができる。所持しているだけで『弓』スキルを習得できる。攻撃力は攻撃・魔力・命中率等により変動する。
「あー...やっぱこれ系かぁ…アロエ何か...アロエ?」
リバイアサンの時のようにアロエに何か変化があるか聞いてみようとアロエの方を見るとアロエは片方の瞳から涙を流していた。
アロエは俺の呼びかけにより自分の状態に気づいたのか涙の流れている方の頬に触れる。
「あれ...?どうして私涙を...それに...センヤさん...私...懐かしい...って...また巡りあえた...って...そんな感じがするんです…」
俺は涙を流すアロエをそっと抱きしめる。
アロエは元々弓を使う...というより弓を使うことだけに特化した能力を持っていた…もしかしてこの弓は...アロエのための弓なんじゃないのだろうか?
アロエは「また巡りあえた」と言った…それはつまり元々あの世界でアロエが所有していた、または与えられた特別な力だった可能性がある。
手紙を読んだ感じだと可能性が高いのは後者だが...
それはそれとして...だ...
「オルドリック...お前...コイツに似た何かについて...知ってるだろ?」
アロエが何らかのアクションを起こす予感の他に俺はオルドリックも何か知っているのでは?という予感もしていたのでオルドリックのことも観察していたのだが…
「お前...明らかに動揺していたぞ?…俺の前だから動揺を隠す必要なんてなかったからかもしれないが...」
俺の進む先の景色が見たいと俺に言ったコイツは...それ以降に話をもったいぶったり隠したりすることが極端に減ったのだ。
「ああそうだよ…これは隠す必要がないと思ったからね素の感情さ...素直に驚いたんだよ俺は...」
先までとは一転してオルドリックは真剣な表情になる。
「この弓に似た存在のものを俺は3つ知っている...1つは形状なんかの噂話でだが...2つは見たことがある。1つは魔法により撮影された写真で...もう1つは実際に見たことがあるんだ...」
俺はオルドリックの言葉を黙って聞く。というより内心ではこんなに心臓がバクバクしてことがあるか?というほどに緊張している。だってそうだろ?こんなにアッサリと情報が手に入るなんて思いもしなかったのだから...
オルドリックは話を続ける。
「そこは...この世界で1番の中立を誇る場所であり、それ故に1番安全な場所でもある。その場所は...」
「おい...まさか...」
「そう...その場所は...俺がかつて生徒としての学舎だった場所...」
`ジョーダー学園だ´
俺の中で何かがカチリとハマるような感じがした。まるで偶然ではなく必然であるかのように...こうするべきだと...こうあるべきだと誘うように...
「うーん...これは...本格的に学園に行くことを考えた方がいいのか...?」
「センヤさん...私のためにセンヤさんの優先事項を変えることはないですよ」
今後のことについて思考しているとアロエが俺にそう言ってくる。
そう言ってくれるのはありがたいんだが…何かフラグのようなものを感じるんだよなぁ…盗まれるイベントとか起こりそうで.......ん?
俺は何かそこで違和感を感じる。
「なぁ…オルドリック...そういや今日はどうしてウチに来たんだ?」
俺はオルドリックに聞いてみる。
「うん?今日来たのは...ジョーダー学園に通われているこの国の王女...ウェルナ・ボーシュリクス様がもうすぐこの国に来ることを伝えに来たんだよ」
「...ほぅ」
ウェルナ・ボーシュリクス。この国の第3王女で年齢は俺と同じ17歳、可愛らしい容姿と何事にも一生懸命なその姿勢から国民からの信頼も厚いと聞く。
「ほら?学園には君の知り合いがいるだろう?いち早く彼女から情報を聞きたいんじゃないかと思ってね…それに彼女は古代文化などが好きでね。もしかしたら...その武器のことも何か知っているかもしれない」
「...なるほど。確かにそれは気になることだ...」
やっぱりか...
ウェルナはおそらく...というよりほぼ確実にこの武器シリーズについて知っている。
俺がウェルナと話し学園について教えてもらうとき間違いなく学園にある別の武器の話題になる。アロエのことを考え俺は学園へと向かうだろう。
もしここでオルドリックがガチャに立ち会わなく、この武器の話にならなかったとしても...だ...
「だけど前も言ったが…ある程度のことはやはりしておきたい…ってのが本音だ。だからここはアロエの言葉に甘えさせてもらうことにする」
俺はこれで話は終わり・終わることを証明するようにガチャのカプセルに手を伸ばし開ける。
種類:キャラクターカード★4
名称:ネギムー
消費:60
説明:植物系の魔物。頭から甘い香りを出すことができ、近づいてきたものを捕食する。
種類:キャラクターカード★4
名称:シルバーフィッシュ
消費:70
説明:銀色の鱗を持ち、基本的に性格はおとなしいが怒ると凶暴になる危険な魔物。
植物と魚系か...新しい部類の魔物だなこれは。名付けるのは後でいいとして...
俺は銀のカプセルを開ける。
種類:キャラクターカード★5
名称:マグマスライム
説明:体に火を纏ったり出すことができるように進化したスライム。熱い地域に生息する。
種類:キャラクターカード★5
名称:ドラゴンフライ
説明:リザードフライ飛ぶことができるように進化した姿。リザードフライ同様、鳴き声で周囲の仲間を呼ぶ特徴がある。
種類:キャラクターカード★5
名称:タイタン
説明:体がとても大きな魔物。魔兵の一種で動きは遅いが力の強さや耐久力がすごく高い。
種類:キャラクターカード★5
名称:ドラゴンソルジャー
説明:二足歩行で行動する竜の魔物。頭が良く剣や槍などの武器を使い戦う。
あ、リザードソルジャーは戦ったことがあるな…仲間のリザードソルジャーと連携をとったりしてくるので中々に驚異的な存在だったのを覚えている。
あとは…金か…金って今のところ人間型のものしか出てきてないけど…またそうなのだろか?
種類:キャラクターカード★6
名称:シャーブリル
説明:蒼海竜と呼ばれ広大な海に生息する竜で強く、討伐するのが困難とされる魔物。
「「「あ...」」」
俺とレオナとアロエの声が被る。
「★6なんだね、シャーブリルって...」
「強さ自体の値は★6クラスということでしょうか...?」
俺の装備しているシャーブリルの★は5である。にも関わらず魔物自体のランクは★6...確かにおかしい点ではあるな…防具として加工している分、ランクが下がっているのだろうか...?
「シャーブリルって...やっぱとんでもないなセンヤ君のスキルは...」
「そんなに強いのか…?」
「Sランクの冒険者でも討伐できないんじゃないかな?ギルドの推定ではSランクパーティーかソロならSSランクないと厳しいと思うよ」
やっぱ★6って相当な強さってことなんだな…
カードに描かれている黒と青で施された鱗はカッコ良くその風貌も大変少年心をくすぐられるほどに魅力的でイラストレーターを褒めたいレベルである。描かれた絵には見えなく実現にしか見えないが…
「お前なら勝てるのか?」
「水中にいられると無理かなぁ…」
オルドリックは頭を悩ませながらもすぐに質問に答える。
「そうか...あと魔物によって本来のランクよりも低い防具になるのは加工しているのが影響してるのか?」
「それもあるし...ほら、魔物のランクって危険性なんかも考慮されてるから...何も攻撃していない防具なんてその分下がるんだよ。素材集めて強化してけば別だけどね」
オルドリックの答えに俺は納得する。そりゃそうだ魔物の強さ等=ランクなのに防具にまでその定義を当てはめるのがそもそもおかしい話だったのだ。
しかもちゃんと武器同様に素材次第で強化・進化できるシステムまであるのだから問題ないことなのにな...
シャーブリルという1番近しいような存在が現れたことによりで俺の頭の思考力は低下してしまっていたのかもしれない。
「てことはコイツもヤバいのか?」
種類:キャラクターカード★6
名称:へプトス
説明:誘死霊と呼ばれる魔霊の魔物。殺したものの魂をあの世に誘うと言われている。
「うわー...こわー」
「見ているだけで恐ろしい感じがします…」
「生きれる...気がしないです...」
まぁ...明らかにヤバそうだけど...
「へプトス...へプトスかぁ...うん。ヤバイねそいつは相手にしたくないよ普通に...そもそも魔霊って基本的に1番危ないやつらが多いからね…中でも悪魔よりももヤバイのが死霊種の魔物達さ...何せコイツらは命を奪うことを生きる意味としているからね」
「そうか...じゃあ出してみよう」
「「「「!?」」」」
俺がそう呟きカードをタッチすると目の前には骸骨で煤れた衣を身に纏い両手で鎌を持ったいかにも自分ヤバイですオーラがプンプンの存在が現れる。
「あれ?」
気づくと俺の視界からオルドリック以外の3人が消えていた。スキルを使い確認するとはるか後ろに3人の存在を確認することができた。
レオナの空間魔法で逃げたな…
チラッとそちらを見るとグッとサムズアップするレオナとその後ろにアロエとセンの姿があった。
まぁいい...
「えーと...へプトスだっけ?何か君の存在にあの娘達怯えちゃっているからさ...何とかならない?」
「センヤのバカぁぁぁ!!!」
俺がレオナ達の方を指差しながらそう言うと、レオナが声を荒らげる。
『ならない...』
へプトスがチラッレオナ達の方を向きそれでまたレオナ達が悲鳴をあげるがへプトスはそう答えるだけだった。
「そうか...俺は加藤 千弥。センヤでいい...お前は何て呼べばいいんだ?」
『なんでも...』
「なんでもかぁ…じゃあ誘死霊のユウとへプトスのトをとってユウトと呼ばせてもらうけどいいか?」
『いい...我の名はユウト...』
日本人っぽいけどまぁいいか…
「それじゃあユウト...お前って今人殺したいとか思ってる?」
『...なぜ...?』
「いやだって死霊種の魔物って基本的に命を奪いたいんじゃないの??」
『それは違う。そういう者もいるが…我はあくまで誘う者。生気を糧に生き、命を奪うこともあるが…常にそう思っているわけではない...』
「そうかそうか、いやそれならいいんだ。とりあえずユウト、俺の許可なく生命の命を奪うことは禁止だ。いいな?」
「わかった...センヤの指示に従う...」
うんうん。素直なやつじゃないか...やっぱ見た目何かの偏見で物事を見据えるのは良くないよな。
うーん...次回、センヤがあの娘と会えるかなぁ...?ちょっと微妙です...




