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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第2章 ガチャで俺は最強になれる?
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第39話 生命の価値

ここ一ヶ月ほど執筆に割く時間がなかったため遅くなりました。すみません...

さすがに投稿が遅すぎるので1週間1話投稿できるようにします…


「よしっ、これで【建築】もスキルを習得できたっと...」


俺はこれで家を建てる際に最低限必要な 【建造】スキルと 【建築】スキルを習得したことになる。

これらのスキルは人が増えたことにより今後人が増えた時に改築・増築するために習得した。


「センヤよぉ...スキルを習得するのはいいんだが...お前さん冒険者なんだろ?もっと他に有用的なスキルにポイントを使った方がいいと思うんだがなぁ…」


俺にスキルを教えてくれた建築士のエジルが俺に忠告するように言ってくる。

エジルとは酒場で知り合った30代後半の男なのだが何故か意気投合し、こうしてスキルを教えてもらえることになった。

ちなみにエジルの建築スキルは【中級建築】なので普通に優秀である。


「冒険者の職業にしたからな...どうせなら普通じゃないような冒険者になりたいんだよ俺は」

「確かに酒場で知り合った時にもそう言っていたし、俺もそんなお前をおもしろいやつだと思ったところもあるんだが…」


エジルの言葉がはっきりとしたものではないのは俺の偽ステータスのせいだろう...俺の偽ステータスで選択したのは冒険者と剣士。

普通の人なら選択できる職業は2つである。これは冒険者ギルドや商人ギルドでカードを作った際に職業の選択数が1つ増えること込みである。

なので普通というか一般的な冒険者達は職業は特化型にする。例えば剣士+戦士とか魔法使い+召喚士とかである。

これはスキルポイントを消費してスキルを習得する際の効率が良くなり強くなることの無駄を少なくできるからである。

冒険者の職業を選択している冒険者も確かに普通にいる。だがこれは一般的に『アシスト』と呼ばれるタイプの冒険者であり、もう1つの職業には料理人や探索者など戦闘をメインとする冒険者達の身の回りに役立つようなものを選択する者、または職業選択の空きスロットが1つ多い者が便利性を考え冒険者を選択するパターンが一般的なものとなっている。

だからであろう…俺が冒険者の職業を選択しているのに戦闘系職業の剣士を選択していることに驚いているのだろう。


「まぁ、いいか…それより飯でも食いに行かねぇか?あまり知られてない名店ってのを教えてやるよ」


エジルはこの話は終わりという感じで俺に昼飯の誘いをしてくる。


俺的にも知られてない名店というのは気になるし美味しい店を知れるということだけでも嬉しいことなのですぐOKのサインを出す。




俺達がいたのはエジルが木材を加工したりする作業場で、そこから徒歩で移動すること15分くらいで目的地へとたどり着いた。


「喫茶オリーブ...」


俺は妙に見覚えのある店の名前を呟く。そして普通にドアを開け中に入るエジルに続き店内に入ると...


「いらっしゃいま...あらセンヤさん、それにエジルさんも...」


そこにはエプロンを付けカウンターに立っているいかにも喫茶店の店員といった身なりのケイトさんがいた。

そしてケイトさんの声に反応してか店の奥からもう1人の人物が現れる。


「おっ本当だ。やぁセンヤ君、今日は何か予定が...って何でエジルと一緒なんだい?」


現れた男の名はトリス・ウェーバー。その隣にいるケイト・ウェーバーの()、つまりはメルトの父親(・・)である...


「なんだセンヤも知ってる店だったのか...」

「知ってはいたけど…でも美味い料理が食える店だとは知らなかったぞ?」

「うん?じゃあお前らってどういう関係なんだ??」


エジルは疑問を浮かべた表情で俺とトリスさん達を交互に見ながらそう言う。

するとトリスさんがすぐさま、言わない方がいいよね的な目線を飛ばしてきたので俺は苦笑した表情で大丈夫ですといった感じで返す。


店内には他に客がおらず...というより開店前にエジルさんが店に入ったので当然といえば当然だ。

俺とトリスさん、ケイトさんはエジルに出された料理を食べながら本当のことを全て話す。

ちなみにケイトさんが外の札を休みに変えたので他にお客さんが入店することはない...と思ったのだがドアが開かれた。


「トリス、ちょっとご飯を食べに...おっエジルじゃないか?それに...何でセンヤ君がいるんだい??」


ドアを少し開き顔だけ覗かせたのはマリンの父親のクレイドさんだった。

マリンとメルトは幼馴染みの関係だと言ってたが...エジルのことを知っているということはこの3人は昔から交流があったのだろう...家も近いしな。


「センヤ?ほんとだセンヤがいるー!!」


父親の言葉を聞き顔を覗かせたのはアリンである。そしてそのアリンは俺を見つけると店内へと入り俺の元へと走ってくる。

アリンは勢いそのままに俺の膝へと座る。そして俺のことをにぱーっと可愛らしい笑顔で見上げてくる。


幼女って可愛いね...俺ロリコンってわけじゃないけど…


どうやらクレイドさんはアリンを連れてご飯を食べに来たらしい。


エジルに話したのは俺がステータスを偽造していることとパナケイアの固有スキルを使い、死んだトリスを蘇らせたことだ。


俺の現状はマリンも深く関わっているのでクレイドさんにもそのことを伝えた。


「じゃあトリスが変な奴らに拉致られて半年の時間をかけて逃げ出したってのは...」

「俺の嘘だ。じゃないとセンヤ君のことがバレてしまうからね...約束したこともあるけど、それを抜きにしたってそんなことは話せないよ」

「そう...だよな...」


クレイドさんトリスさんがそのように話している。傍らエジルは会話に参加せず腕を組み目と口を閉じ微動すらしない。


ところが突然クワッと目を開いたかと思うと俺の方を向きガッと俺の肩を掴む。


「よく...よくトリスを救ってくれた...ありがとう...」


顔を下に向けたまま涙を流しながら震える声でエジルは俺に礼を述べる。


「俺からも礼を言わせてくれ...ありがとう...センヤ君...」


クレイドさんも礼を言うが先程と違い声が震えていたのでそちらを向くと頭を下げたクレイドさんの瞳からも涙が流れていた...


「お前ら...」


エジルとクレイドさんを見たトリスさんもそう零すと涙を流す。


俺は胸の奥がどんどん熱くなっていくのがわかった。自分のした行いがどれだけスゴイことなのかなんて頭の中で嫌ほど理解していたはずなのに...

こうして言葉で態度で素直な気持ちを表されると...目に見えるものとして形に残されるとどうしても込み上げてくるものがある。

正直...抵抗があったと言えば嘘になる。蘇生という行為はこんなファンタジーな世界でなく文明の進化により成り立っている地球という世界でも成し遂げることができないことだからだ。

一寸先は闇。この(ことわざ)があるように俺達の世界にも普通に生活する中で急に命を落とす危険がつきまとう世界だった。


誰かが自ら命を経ち、周りの者が悲しんだ。

天災により命が消え、周りの者が哀れんだ。


そして...


誰かのせいで死に、周りの者が意味を成さないやるせない怒りを撒き散らした。


少し...昔の話をしよう。


ある日、ある部活は毎年恒例のマラソン大会を実施した。大会といっても学校の周りをグルッとまわるようなもので、距離が長すぎることもなく体力に自身のない者でもゴールができるように配慮されたものだった。

それでも信号を渡ったりコースの誘導なども必要もあったし、不審者に出くわさないとも限らない...当然、保護者達にも協力してもらいポイントごとに配備してもらうのが条件として行われることとなっていた。


とある女性が見知った男の子を見つけた。その男の子は我が子であり、まだ遠くを走っていたにも関わらす女性...母親は見つけることができた。

徐々に母親と息子の距離が近づき息子も手を振る女性...母親の存在に気がついた。

途端に息子は走っているペースを上げる。母親の前で良いところを見せようとする親思いの良い子だった。

そんな姿を見た母親は大きい道路を挟んだ向こうにも関わらず周囲の視線も気にせずに「頑張れー!」と大きな声で手を振りながらエールを送る。

その声援に負けないように息子は更にペースを上げ、二人の距離がかなり近づくが...息子は足を止めてしまう。

それも仕方がない、なぜなら信号が赤だったからだ。ペースを上げたせいで疲れているだろうに息子は膝に手を着くこともせず見栄を張るため腰に手を当て余裕があるフリをする。

だけど、それが見栄だということをずっと見てきた母親は誰よりも知っていた。だからそんな息子の態度を見て苦笑しながら自分の元に辿り着いた時どんな言葉を言おうか考えてしまう。

思春期真っ盛りの子どもは母親にとっても扱いが難しいものであり些細な言葉、多少の伝え方・話し方の違いで全然違う結果になることも母親は理解している。

だからこそ、こんな時にどんな言葉を伝えようかを考えるが…そのことに集中し過ぎて信号がパッと変わり青になったのを認識した瞬間、母親は慌ててどんな言葉を伝えようか考え...結局ストレートにもう少しだから頑張れと励ましの言葉を伝えようと決めた。

そうと決まれば話が早い、あとは自分の元へと来た息子にそう言葉を伝えるだけだと意識を息子に集中させた時だった...



自分の我が子が...大型トラックにはね飛ばされるのを見てしまったのは...



その景色を女性はスローモーションのように捉えることができたという。しかも景色だけではない、そのスローモーションの中で捉えた鳥の姿、トラックに着いた傷や泥。それだけではなく耳を痛めつけるような高いブレーキ音やその瞬間の体感温度やその場の匂いすら...未だに鮮明に覚えているらしい...


そんな違う世界の...とある誰かの話である...。


パナケイアの固有スキルを知った時、その話を思い出した…それと同時にメルトにいた父親という存在も...


抵抗もあったがそれ以上に救ってやりたいと心の底から思った。この結果が自分のエゴだと罵られても...それでも救ってやりたいと本当に思えたのだ...


だからだろうか...いつの間にか俺の頬を伝う涙を誇らしく思えてしまうのは...



多分後々出てくるかもしれませんので先にお伝えしますが...センヤの語る女性とはセンヤの母親のことです。センヤには昔、兄がいたのですが亡くなっています。

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