第37話 そしてまた少年は新たな高みへと登る
引き続きガチャガチャ回となります
それじゃあ次のカプセルを開けていこう。
種類:武器カード★6
名称:紅魔剣アルセイド
分類:剣
性能:攻撃+120・火属性100+燃焼+魔力消費上昇
説明:凍燃龍エルアルを討伐した際ごく稀にドロップする剣で蒼魔剣エルセイドと対をなす。魔力を消費することで燃焼時間増加と攻撃・火属性の威力が上昇する。
透明化可能で凍燃龍エルアルの素材を用いることで進化可能。
種類:魔法カード★6
名称:アースボム
分類:土魔法
消費:魔力30
説明:地面に設置型の爆弾を仕掛ける。最大5個設置可能。
種類:技能カード★6
名称:報酬増加
分類:特殊スキル
説明:【討伐】【報酬】【倍加】の複合スキル。通常よりも効果が上昇する。
討伐:魔物を攻撃する際ダメージが上昇する。
報酬:魔物を討伐した際一定確率で貰える報酬が1つ増えるときがある。
倍加:素材を入手した際一定確率で2つ手に入るときがある。
「「「「あ…」」」」
最後に技能カプセルを開け中に入っていたカードを見るや否や複数人の呟きが重なる。
「これって…1番出ちゃいけないやつですよね…」
「そうねアロエ。見て見なさい…あの男、天を仰いでるわよ…」
そんな声が聞こえ何やら視線を感じるが知ったことではない!俺は今ひたすらにこの奇跡を噛み締めているのだから。
…ということで少しの間、悦に入ってた俺はさっそくスキルを習得する。
「これで俺はまた1つ高みに登れる…」
「わかったから、さっさと次のカプセルを開けなさい」
ルアに急かされたので俺はカプセルを開ける。個人的にキャラカプセルは最後に開けたいので残っている道具カプセルを開けることにした。
種類:道具カード★7
名称:スキル強化の実
説明:場所や入手方法が不明な特別な果実。食べるとあらゆるスキルの性能を1つだけ上昇させることができる。固有スキル・特殊スキルも可。
!!!その時センヤに電流が走る。
「…おい。このスキル…俺の【不明不定箱】に使うが異論はないな…?」
俺の静かに放たれた言葉に皆頷いて肯定の意思を示す。それどころか皆、肯定の確認を取りカードに表示された実を実体化させている行動を緊張した顔で表情で見ている。
「では…いただきます」
スキル強化の実はメロンのような見た目をしており、その香りもメロンそのものだったが…皮はメロンのように硬くなくそのまま食べられそうだったのでそのままかぶりついた。
口の中に広がるメロンの味を噛み締めていると脳内に不思議な感覚が広がり、それがスキルを選択するように告げていることがわかった。
俺は頭の中で【不明不定箱】のスキルを選ぶ。するとその感覚は霧散して消えていった。
そして一瞬の間の後フッと開かれていたガチャガチャの画面が消える。
俺はスキルを確認するとそこには…
【真不明不定箱】
と表示されていた。以前と読み方は変わらないが新たに真という言葉が追加されている。
俺はスキルを発動する。
『どうも始めましてカトウ・センヤ様。』
そんな声とともに現れたのは妙に丸っこい姿で可愛くデフォルメされた機械っぽい生物だった。
「え?なんなのお前?」
『マーペントのペントです。以後お見知りおきを…』
ああ!確かにデフォルメされてるが獅子竜に見えるな…
「わー!可愛いー!!よろしくねーペント!」
そんなことを言いながらレオナは早々にペントに抱きつく。つーか、お前の方が可愛いよ!!
『よろしくお願いします。レオナさん。』
「おお!私の名前もわかるんだ!!」
『はい。皆様の名前はわかります。』
どうやら随分と賢いらしいぞペントは…というか考えるにコイツの役割はやっぱ…
「ペント、お前は知りたいことを教えてくれる存在…で合ってるか?」
『はい。聞きたいことがございましたら何でも聞いてください。他にも様々な技能が備わっております。』
やっぱり俺の予想は合ってたわけだ…
「それじゃあ…他にどんなことができるんだ?」
『そうですね…それではカトウ・センヤ様、カード化されたスマホを出現させてよろしいでしょうか?』
なっ…コイツ、スマホがわかるのか??
ペントの目が青色に光り辺りを見渡したかと思うと俺にそう告げてくる。
俺はコクリと頷いて肯定する。
『ありがとうございます。それでは出現させていただきます。』
パァーッとペントの目が黄色く光りだしテーブルの上を照らす。すると少しの間の後そこには俺のスマホ…iPhone6が出現した。
するとペントは出現したスマホを今度は緑色の光で照らしだす。何度も往復するように行われる作業はスキャンをしているようだった。
時間にして1分ほどだろうか?それほどの時間で光が消える。そしてまた黄色い光を放ち、充電もなくなり役に立たなくなったスマホをテーブルの上から消す。
『ありがとうございます。これで準備ができました。』
そう言うと今度はペントの目が白く光りだす。ただし今度の変化は俺の目の前に現れる。
大きさはタブレットほどで、ガチャガチャの画面のように急に空中に投影された。
「おいおい…嘘だろこれは…」
そこにはミュージックと表示されており、アーティストやアルバム、プレイリストなど一般的な音楽機器の表示がされていた。
「これ…聞けるのか…?」
『はい。カトウ・センヤ様のスマホに入っていた音楽を全てお聞きなさることができます。』
「俺の呼び方はセンヤ様かセンヤでいい」
『わかりました。これからはセンヤ様と呼ばせていただきます。』
そんなやり取りをペントと交わし俺は画面の全曲をタッチする。すると画面が変わり50音順に曲名が表示される。画面の左側に並べ替えの項目があり、そこをタッチして再生された回数順に並べる。
すると1番上には某アニメの途中に流れた◯◯の宝物という曲になり、俺はそれをタッチする。そして画面がまた変わるのだが…俺はその画面を見て驚く。何故ならそこに表示されたのはただの再生の項目だけではなくて…
「なんで…こんな項目がある…??」
声を消してカラオケ状態にする項目や逆に音源だけを消して声だけ再生する項目、スピードを速くしたり遅くしたりする項目に歌手の声質を高くしたり低くしたりする項目などが存在していたのだ。
当然、俺は普通に音楽を買って取り込んだだけである。その為こんな項目は絶対にありえないハズなのだ…
俺はおそるおそる音源を消した状態で曲を再生する。すると本当に音源が消え歌手の声だけがペントから流れだす。しかも画面には歌詞が表示されており、カラオケのように歌う場所の歌詞を塗り潰していく。
俺は音源を消す項目のチェックをハズす。すると音源が戻り本来の曲が室内に流れる。
俺はただ呆然と曲を聞くことしかできなく、やがて曲が終わる。
「ペント…認めるよ。お前はスゴい」
『はい。ありがとうございます。』
「それじゃあペント、スマホには電話をする機能があるだろう?電波のないこの世界でその機能は使えるのか?」
俺は無意識に気がつけばペントにそんなことを聞いていた。
『申し訳ございません。代替の方法も検索してみましたが検出されませんでした。お役に立てなくてすみません。』
「いや、いいんだ…大丈夫だ何も問題ない」
俺は意識を切り替える。今はペントのできることを詳しく聞くべきではないからだ。
「…以前と違う変化はお前が現れただけか?」
『いいえ。以前よりも出来ることが増えています。以前の状態と以前の状態から追加・変更された点を表示します。』
ペントの目がまた白く光り、俺の手元にあった画面が切り替わる。
そこには分かりやすく今まで出来たこと、新たに出来るようになったことが表示されており俺はそれを読み進める。
「なるほど…」
読み終えた俺はイスに座り、フーッと深いため息を吐きながら背もたれに体を預けるように天井を見る。正確には頭を休めるようにしてるため天井の方を見てるだけでぼんやりとしか感覚しかないのだが…
「何か違いはございましたか…?」
俺がテーブルの上に置いてあった自分用の茶を飲んでいると聞くタイミングを伺っていたウニがそう聞いてくる。真っ先に聞いてきたのがウニというだけで他の者達も興味津々といった表情でコチラを見ている。
俺は残っていた茶を全て飲み干しウニ達に書かれていた内容を説明する。
今回の進化でペントの他に変わったことは…
1.スキルを強化・合成する機能が進化しピースを消費せずに特殊スキルを作成出来るようになったこと。
疑問に思った者もいるかもしれないが俺の【天水眼改】は40個のピースを消費して得た権利を使い、合成しまくって育てた【特級鑑定】と新たに習得した【遠眼】のスキルを組み合わせ誕生させたものなのである。具体的にはその創り上げた時点ではまだ【天水眼】でそこから更に強化して改にした。
それが今回の進化によりピースを消費せずに出来るようになったのだ。まぁスキルを進化させた時のように素材は必要になるらしいが…それでも入手方法が限られているピースを使わずに利用できるのはかなり嬉しい点だといえるだろう。
2.いつでも野生の魔物を調教できなくなったこと。
これだけ聞くとマイナスのイメージしか湧いてこないが実際には違う。まず、基本的な調教の仕方が変更された。
以前のように弱らせた魔物にモンスターボールを投げるようなやり方ではなく、魔物を倒した際に手札調教が自動的に発動し、成功すると倒した魔物がアイテムをドロップした上で調教されるようになった。ドラ◯エ5のモンスターを仲間にする方法といえばわかるだろうか?
簡単に説明すると魔物を倒すだけで一定確率で勝手に調教できるのだ。
そしてその他にもう1つの調教方法がある。それが従来の手札調教の方法である。ただし少し前に述べたように基本的ではなくなっている。具体的にはコチラの従来の方法…使用してから時間を置けば置くほど成功率が上昇するのだ。
レアリティの高い魔物を調教する際、普通の魔物に比べて確率は大きく変わり難しくなる。だがこの調教…(俺の中で特殊調教、一般調教と分けて呼んでいる)特殊調教を用いれば時間を置くほどに成功率が高くなるのでレアリティの高い魔物でも調教しやすくなるのだ。
なのでこの変更された点も十分にプラスといえるだろう。
3.俺と奴隷契約を結んだ者も召喚者同様に強化できるようなったこと。
さらに今回の進化で俺と奴隷契約を結んだ者…と何故かアビスとアロエも召喚したウニ達同様にレベルアップ、スキルの強化・進化が可能になった。
これが俺の中では1、2を争うほどに嬉しい点だと思う。ちょうどさっき話したが、これでメルトの料理スキルを強化でき【上級料理】にすることが可能になった。
4.硬貨などを消費することで色々なものが購入できるようになった。
新たに購入という項目ができ、そこで硬貨やメダル、獅子竜石を対価に消費することで様々なものが購入できるようになった。
例えばスキルを進化させる上で必要となる★4素材やそれこそ★4の素材10個分に役目を果たす特殊な素材、レベルアップするために必要な経験値を大量に含んだものなど色々なものが購入できるようになった。
コチラもいずれ余り用途に困ると思われる硬貨を利用できるようになったので素晴らしいとしかいえない点である。
5.ガチャに複数のタイプが追加されたこと。
こちらが最後になるのだが、従来の獅子竜石に加えソシャゲにありがちな火属性モンスターの出現率アップ!体力タイプのモンスターの出現率アップ!といったような感じのものが追加された。
コチラは本当にソシャゲのように配信期間が決まっており、その期間が過ぎれば新たに別のガチャに変わる…といった感じになっている。しかも限定したものであるため必然的にレア度の高いもの=といった図式になるため、当然ガチャガチャ大好きな俺はものすごく喜んだ。むしろこれが一番嬉しかったかもしれない。
と以上の5つの点を周りの者達に伝えた。
センヤがまた一つ強くなりました...




