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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第2章 ガチャで俺は最強になれる?
35/85

第31話 オークションに行ったのさ

オークションに行くお話です


間話30.5話との2話投稿となります。よろしければそちらの方も見てください!


 

「目覚めよ…意識を覚醒させるのだ…」


 そんな声が聞こえてきて俺は目を覚ます。声の方に視線を向けると見慣れた姿を視界が捉える。


「…おはようアビス…」

「随分と深き眠りについていたようだが…もしや、きさ「大丈夫だ」」


 俺はアビスの言葉を遮りそう告げる。そしてアビスの頭を撫でながらもう一度伝える。


「安心しろ、昨日の今日だぞ?ひとりでかんばるなんて無茶はしないさ」

「なら良いが…」


 俺の言葉にアビスはそう言い、それ以上聞いてはこなかった。


「それじゃあいくか…」


 俺はアビスと共に部屋を出て下の階にある食事のできる部屋を目指す。



 扉を開けると中の大きなテーブルにはすでに料理が並べられており俺達以外の者達が着席していた。

 俺とアビスが空いてる席に向かう途中、俺達の存在に気づいた者達が挨拶をしてくるのでそれに応じる。

 テーブルは長方形タイプのものなので短い方の面、上座の位置に当たる場所に俺は腰を下ろす。

 俺とアビスの場所に飲み物を注ぎ終えたメルトが席に座るのを確認して俺は言う。


「それじゃあ…いただきます」


 俺がそう言うと各々がいただきますと口にし料理を口へと運んでいく。

 今朝のメニューはパンにシチュー、焼いた一角猪の肉それにサラダだ。


「お味はいかがでしょうか…?」

「ん?ああ、普通に美味いから安心してくれ」


 メルトに聞かれたので俺は素直に感想を述べる。というのもメルトはこの為にわざわざウニから料理スキルを習得してくれたのだ。その他にも家事系のスキルを習得してくれて…とても働いてくれるメイドさんだと思う。というか服装がもうすでにメイド服だしな…


「やー、やっぱリアルメイドはいいなぁ…」

「え!?あ、その…ありがとうございます…」


 メルトは顔を赤らめ礼を言う。


 あれ!?え、なんで…??


「センヤ…口に出てたわよ…」


 俺が疑問に思い驚いているとルアが教えてくれる。なので俺が改めてルアに聞いてみると…


「ああー…口に出てたか?」

「ハッキリと出ていたわね」

「出ていましたね」

「出てたねー」


 などなどルアだけでなく周りの者達からも言われてしまう。


「まじかー。ルアじゃないから油断したのかな…?」

「あら?その言い方だと普段私に思うことがあるように聞こえるわね?」


 俺が思ったことを口にするとルア様は大変に素晴らしい笑顔で俺に聞いてくる。


「あ、あれだほら…」

「ほら?」

「その…」

「その?」

「つまり…」

「つまり?」


「すんませんでしたぁぁぁああ!!!」

「はや!諦めるのが早いよ!?誤魔化す方法あったでしょ!?」


 俺が覚悟を決め全力の謝罪をするとレオナが驚いた顔でそう言ってくる。


「ダメだレオナ。俺は…おっぱいに関して嘘をつくことができないんだ…そこにあるものを否定すればそれは…偽装した紛い物と変わらないものになっちまう…」

「うん。センヤの言いたいことはわかるしその考えは立派だと思うよ?でもほら…」


 俺がレオナにそう語るとレオナは理解をしてくれたがある方向に指を指す。


 あぁ…わかってるよレオナ。わかってるんだ…


 俺がレオナの指が示す方向に顔を向けると…


「センヤ、素直に謝罪した貴方に選択肢をあげるわ。水と雷どっちがいいかしら?あ、でもセンヤは水系統に耐性があるから水だと強くするわ」


 実に素晴らしい笑顔で微笑みながら尋ねてくるルアがいた。

 俺は席を立ちテーブルから少し離れ土下座をし…


「雷で…お願いします」


 選択する。


「ふむ…見事な土下座だな」


 メビウスがなんか言ってるけど知らん。だけどアイツには後でグーチョップをお見舞いしてやろう。


 その後、何回目なのかわからないルアの雷魔法をくらった俺は意識を失うのであった…



「せっかくの料理がセンヤのせいで冷めちゃったわね…って何ニヤけているのよ!」


 ルアはそう言いながらも料理を口へと運ぶ。他の皆は当然ながら既に食べ終えているので俺とルアの2人だけが料理を食べていることになる。

 つまりルアは…そんなことを言ってはいるが俺が目を覚ますまで料理を中断していたのだ。だから特に俺はルアに対して思うことはない、むしろ嬉しいと思っているのが本音だ。

 だから自然と顔がニヤけてしまうのも当然のことであると俺は主張したい。


「何でもないけどぉー?」


 俺はニヤついた顔のままでそんな風にルアに言葉を返す。するとルアは少し顔を赤らめ、なるべく俺の方を見ないように意識して食事を進める。


 その仕草のせいで俺は余計にニヤつきたくなるのであった。




「はい。というわけでオークション会場にやってきましたー!」


 食事を終えた後、俺達はオークション会場へとやってきた。


「センヤさん…急にどうしたんですか…?」

「いや、なんつーか一度やってみたくてな…まぁ気にするな」


 オークション会場に到着するや否や、俺が唐突にそんなことを言い出したせいでアロエに心配されてしまう。

 俺のいた世界のテンプレだとアロエに説明するとアロエは納得はしてくれた。


 オークション会場の中に入ると中は当然のことながら沢山の人々でいっぱいだった。

 係員さんのような人がちらほらいて、入場するとすぐにその中の1人が紙を渡してくる。

 それを見てみるとオークションリストだということがわかった。目玉のものなんかには違う色で文字が書かれて目立つようにしている。


「へぇー、奴隷や武器なんかだけじゃなくて魔物のオークションなんかもやってるんだな」

「名称の横に記載されている時間をみる限り…どうやら終わっているものもあるみたいですね」

「それにオークション品によって場所が違う…これは、手分けする必要もあるかもしれないな…」


 そう。このオークション会場内にはいくつものオークション場所があり、それぞれでオークションを行なっているため狙っているオークション品の時間が被ってしまう可能性があるのだ。

 今回のオークションでは即決落札がないので、その点は運が良かったかもしれない。


「まぁ、どっちにしろ見て回るのには変わりないけどな」


 そう言いながら歩き始める。どちらにせよ鑑定をしないことには始まらないからだ。

 そして俺は深青眼改エラッド天水眼改フランを使って上空からザッと目星をつける。後はより正確な情報を確認するために目星をつけた所に行き鑑定する。


 最初に訪れたオークションは…


「お?お客さん、この娘に興味がお有りで??」


 担当者のロンという男性がそんな風に声をかけてくる。


「そうだな、興味はあるな」

「おわ!お客さんのお連れさん、可愛い娘ばっかじゃないですか!それなのにその若さで他の女性とは…お客さん貴族の子どもか何かですかい?」


 ロンはウニ達の存在に気づくと驚きそう口にする。


「まぁ、ちょっとした有名ではあるかな?それよりこの娘と話したいことがあるんだが…」

「それじゃあ現在の落札予定額はそこに記載されてるから、落札したい場合はそれより高い額を言ってくれ!」


 そう言うとロンはその場から離れて別の客の所に行く。


「どうもサラスティと言います。それで話とは…何を答えれば?」

「ああ、ちょっと聞きたいんだが…どうして奴隷に?」


 俺は気になったことを聞いてみる。


「私達の住んでいる村のため…ですかね?つまりお金のためですよ」


 サラスティは普通に話す。その表情は変わっておらず、それが当たり前のことだと受け入れているようだ。


「不満とかそういうのは…ないんだな」

「ええ、村の安全のためですし…本当に不満とかはないんですよ?」


 サラスティは笑顔でそう答える。


「なるほど…どうだウニ、メルト?俺は悪くないと思うが??」


 俺はウニとメルトに聞いてみる。


「彼女なら問題ないと思いますよ?」

「はい。私も問題ないと思います」


 ウニもメルトも問題ないと答えるのなら…購入してもいいかもしれないな。


 サラスティ・ ノーレン。彼女を選んだのは洗濯スキルと料理スキルを習得しているからだ。まぁ、あとは話を聞いてウニ達が良いと言えば落札しようと思った。


 俺はロンに現在の金額よりも多い金額を提示する。そして終了前の段階でさらに多い金額が提示されているのなら俺の代理で誰かが来るかもしれないといことを伝えておく。


 とまぁ、これの繰り返し作業を行いオークションをしたわけだが…これは前菜達にすぎない。本当の…いわゆるメイン料理はこれからである。


 なぜならそれらは全員参加が可能なオークション…つまり全てのオークションを終えた後にあるメインオークションだからだ!


 ということで俺達はメインオークションの会場にて時間が来るのを待っているのだが…


「やぁセンヤ君。隣に座ってもいいかい??」


 そんな声とともに俺達の前に現れたのがオルドリックだ。

 会場はステージを囲うように半円状になっており、さらに階段状となっていて段ごとにイスが設けられている。なるべく近くで見たいのだろうステージとほぼ同じ高さには立ち見客でいっぱいになっていて、周りに注意を促す人もいないので必然的にイスに座りたい人達は下から7〜10段ほど高い位置に座っていることになる。まぁ、大抵の人々が前の方で立っているので座って見ている人も多くはない。

 ましてや俺達のように最上段付近で見ている物好きなど数えるかなり少ない。


「こんだけ余裕があるのに俺の隣に座る意味がわからん…それにそこはルアが座る予定の席だ。近くがいいならなら俺の前の席にしてくれ」


 俺がオルドリックにそう言うとオルドリックはピョンと一段下に飛び降りイスに座りこちらを見る。


「それで?何の話だ??」


 俺はオルドリックにそう言う。話がなければ近くに座る意味がないからだ。


「話が早くて助かるよ。なに話というのは護衛の件についてなんだけど…やっぱり引き受けてはくれないだろうか?」


 護衛の件っていうと…即位式の護衛のことか。


「ムリだ。あのSランクでいいじゃねえか、いつも護衛してるんだろ?」

「うん、でもセンヤ君が勝ってしまっただろう?実はそれが問題なんだ…」


 オルドリックが申し訳なさそうな顔をしてそう言う。


「どうしてだ?」


 確かに俺は勝ったが…それだけの話だろう?一生治らない怪我をさせたわけでもないし…あー、考えるとしたら心がヤラレちゃった…とかか?プライド高かったしその可能性はあり得るな。


「王様がね…不安なんだって」

「王様ってことは国王か…どういうことだ?アイツ1人じゃ不安ってことか??」


 俺がオルドリックに聞くとオルドリックは違う違うと苦笑いしながら言う。


「君だよ…センヤ君のことが不安なんだってさ」

「…なんで?」


 俺はそう言葉にすることしかできなかった。だって意味がわからない…


「君が護衛を断ったから…だから国王は不安になったのさ。だってそうだろう?自分のことを護衛してくれる存在よりも強い存在がいるんだよ?」


 あぁ…やっとオルドリックの言いたいことがわかった。


「そいつが護衛を依頼したのに断った…じゃあそいつは即位式で何かをする気なのか…ってか?」

「そういうことさ」


 だからオルドリックは苦笑いしてたんだな。俺がそんなことをする気なんてないのを知っているから…


「つっても見るだけなんだけどなぁ…」

「だろうね…でも見るだけなら護衛してもいいだろって考えてるんだよ」

「だけど…」

「すいません…私のせいで…」


 丁度、席を離れていたルアとメルトが帰ってくる。そしてメルトは申し訳なさそうにそう言ってくる。


「お前が謝ることじゃない…それに大丈夫だ。護衛の依頼は受ける」

「え…でも…」

「安心しろ、お前の件も護衛前に片付く」


 メルトが俺の言葉に疑問を持つが口にはしない。


 なぜ依頼を受けても大丈夫なのか…そう、なぜなら…


「これはこれは…お久しぶりですオルドリックさん」

「おや?これはマリオン大臣ではないですか…今は即位式もあり多忙ではないんですか??」

「私も息抜きが必要ということですよ…それで、お話していた貴方は…」


 ルアとメルトの後から現れたソイツはマリオン大臣、この国を守る者として重要な男である。そして…正確にはルアとメルトの後をつけて現れたソイツは昨晩俺が進入した屋敷の持ち主でもある。つまり…


「どうも初めまして…俺は加藤 千弥という者です。わざわざこんな場所を選ぶということは…お忍びということですか?」


 メルトの父親を殺し俺達の襲撃を協力させ、メルトの母親を監禁していた親玉である。


「カトウ殿の言う通り、ここにはお忍びできておりますので…内密にしてくれますかな?」


 マリオンはそう言いながらオルドリックの隣に腰を下ろす。


「それは構いませんが…それはつまり今は平民と一緒ということですよね?実は…個人的にマリオン大臣に聞きたいとことがあって…」

「はい、今は私は平民です…それで知人のカトウ殿が私になんの質問が…?」


 よし、言質はとった。あとは…


「じゃあ質問なんですけど…どうして半年前みたく俺達を襲わないんだ?」

「…さて、なんのことか分かりませんな?」


 俺はマリオンにそう聞くが当然マリオンはそういう対応をする。なので俺はさらにマリオンに聞く。


「あれぇ?半年前に俺達のことを襲撃、さらにメルトにその手伝いをさせるためにメルトの父親を殺させたのってー…マリオンさんですよね?」


 俺がこう言えばマリオンは当然


「私が?ありえないですよ…いくら平民の立場でも、そんなことを言う人の近くで見たいとは思いませんので…失礼します」


 俺の質問を否定・・しこの場から離れようとする…が、それを拒む者が現れる。


「ちょっと待ってくださいよマリオン大臣」


 そう言ってマリオンを呼び止めスクッと立ち上がったのは…


「貴方今…最低最悪な嘘を吐いた」


 先程までとは全く違う雰囲気を醸し出したオルドリックだった。


間話であんなことを言ってたのに…これじゃあ再開が早くなっちまうよ

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