表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第2章 ガチャで俺は最強になれる?
34/85

第30.5話 ミッドナイトミッション

この間話と31話の2話投稿となります。

 

 深夜、皆が寝静まったであろう時間に目を覚ます。


 俺は隣で寝ているアビスを起こさぬようにベッドを抜け出す。本来なら他にも女性陣の誰かが寝ているはずなのだが…本日のドーナツの一件で今日は遠慮すると皆、自室で眠ることにしたからだ。


 そんなことを考えながら俺は身支度を済ませると家の中を密かに移動し外へと出る。そこにはすでに先客がいるので俺は詫びる。


「すまん、待たせたか?」

「いや、そんなことはない」

「そうだね、俺もさっき来たばかりだし」

「問題ない…」


 そこにいたのはネビロス、ジーク、スネークの3人だ。彼等とここで待ち合わせたのはこれから行う仕事のためだ。


「女性達は誘わなくてよかったのかい?昼間に何か言われたんだろう?」


 ジークことジークフリートが確認するように俺に聞いてくる。ジークは昼間のレオナやルア達が俺に対して言っていたことを言っているのだろう。


「大丈夫だ。これは一人・・で頑張ることじゃない…それにもしかしたらアイツらには見せたくない光景が待ってるかもしれないしな」


 俺がジークにそう言うとジークはそうか…と引き下がる。これ以上俺に言うことはないのだろう。


「それじゃあ、そろそろ行くとするか…スネーク頼む」

「了解した…」


 俺はそう言うとスネークは返事をする。そしてその返事を聞いてネビロス、ジークと共にスネークの近くへと寄る。

 するとスネークを中心に3mほどの小さなサークルが広がる。スネークの固有スキル無音走行スニーキング・ランだ。

 初期の能力ではスネーク個人しか対象に出来なかったが、現在の無音走行はサークルを展開でき、その中にいる任意の対象者にも効果を反映させることができるようになった。


「次は俺の番だな」


 そう口にしたのはネビロスである。ネビロスがそう言った次の瞬間、俺とジークとスネークの3人は少し空中に浮く。なぜなら見えない何かに掴まれて持ち上げられているからである。


存在不明エグジスタス・アンノウン】ネビロスが持っている固有スキルだ。


 詳しいことは説明しにくいのだが…決められた範囲内であれば自分の意志で様々なものを創り出せる創造系のスキルである。それらは見ることができない不可視なものであるが…存在はしているので俺のコンビニにある暗視探知のソナー機能を用いることで俺はその輪郭が認識することができる。

 任意あるいは範囲外で消滅するため、ずっとそこに残るわけではないのだが…はっきり言って強力なスキルだと言っておこう。


 俺達を掴み上げたネビロスは空へと駆け上がる。周りに目撃している者がいれば驚くことだろう。俺が持っている【空歩】というスキルがあるが、こちらは2.3歩しか空中を蹴ることができず連続での使用ができないため普通の一般人が見ればすごいことなのだ。

 実際は存在不明のスキルで空中に足場を創り出し、その上に着地して飛ぶの繰り返しである。


 空中を飛ぶことにより最大限のショートカットをし、街の近くまでやってくる。ここからは空中だとバレる可能性があるので屋根の上などを移動することになる。

 はっきり言ってここからがスネークのスキルが最大限生かされるのだが…念のため自宅からスキルを発動した。


「ここからは…頼むぞセンヤ?」


 そして俺の出番でもあるわけだ…


「任せとけ」


 ネビロスに言われサムズアップしながらそう返す。


 そして、コンビニにある周辺地図のスキルを使い立体的に表示されたマップをネビロスの前に出現させる。さらに自分の視界、上空から深青眼改エラッドを用いての視界で暗視探知のスキルを使い、暗視機能により熱感知したもののみを探知機能を用いて輪郭を施した正確な情報をネビロスの前に出現させたマップに反映させる。

 これにより熱の温度、人の形になぞられた輪郭により、その人が寝ているのか起きていたとしてどういった行動を取っているのかがわかるようになった。


 後はネビロスが与えられた情報から目的地まで最適なルートを移動するだけだ。


「チートだね。センヤのスキルは」

「センヤの場合、存在自体がチートの間違いだろう?」

「ハハッ、確かにそうとも言えるね」


 ジークとネビロスが俺のスキルを見て話しだす。

 俺だけチート扱いされるのは大変遺憾なので、俺もネビロスやジークに対して言おうと口を開こうとするが…


「まぁ、それだけ頼りになる存在だということだな」

「そうだね。俺達が仕えるのにセンヤほどの存在はいない」

「…(無言の肯定)」

「そういうわけだから怒るなよ、頼れるチーターさん」


 ジーク達にそんなことを言われてしまい、俺は思っていたことを口にできなくなる。


 つーか最後のネビロスの言葉、言う必要ないだろ…ああもう本当セコイわー、コイツら本当にセコイわー。


「てめぇら、こき使ってやがるから覚悟しろよ…」


 俺は結局そう口ににすることしかできなかったが…俺の言葉に対し3人はわかっていると言わんばかりの顔をして俺の方を見る。


 ああもう…本当にセコイやつらだよ…


 俺は無視するように目的地の方向を見る。


 決して恥ずかしいからジーク達の方を見ないわけではないんだからね!



 広い庭に囲まれた大きな建物。時間帯のせいであろう窓ガラスやカーテンからこぼれる小さな灯りですらその建物からは放たれていなかった。建物・・からは…


「やっぱり見回りはいるか…」


 建物からは一切の灯りはないのだが…その建物を囲うように広がる庭には何人もの見回りらしい存在が灯りを灯して徘徊している。

 メビウスが俺の方を向くが、俺はその行動に対し頷きを返す。当初の予定通りでいくという意味だ。


 俺の頷きを確認したネビロスはなるべく人の少ないところに移動し、こちらを見ていないタイミングで存在不明のスキルを使い先程のように足場を創り出し一気に建物の屋根へ到着する。


 俺は改めて暗視探知のスキルを使い範囲をこの建物に絞ることでより精密な情報の入手、さらに天水眼改フランを使用して名前の確認を試みる。


 そして…


『見つけた…』


 予想していた通りの者を見つけ、そのことを会話通信とマップを使いネビロス達に伝える。

 俺達はそれを確認し互いに頷くと人のいない部屋の上へと移動する。


『ジーク』

『任された』


 その場所まで移動し、建物内に侵入するためにジークに頼む。

 そしてジークは了承すると剣を抜き、真下の建物を四角い穴を開けるように切る。


 切られた天井の残骸が下に落下し床にぶつかるが…大きな音どころか小さな音すらしない。


【無音斬】


 ジークが使った技であり切ったときの音、切った対象が発する音を一定時間内であれば発生させない効果を持つ。


 俺達はジークの開けた穴から建物内へと侵入する。そこは使われていない物置部屋のような場所だ。

 目的の人物は2階の部屋に存在しており、この建物は3階建てなので下の階へと降りる必要があるため部屋を出る。ドアは内側から鍵がかけれるタイプだったので問題なく開けることができた。

 だが、外ほどではないにしろ中にも当然見回りがいるので俺達はスキルを使い目的地の部屋まで移動する。


 当然鍵はかかって…いるよな。しかも魔法的な仕掛けがされてるか…


 俺はドアノブを回し鍵がかかっていることを確認し、天水眼改フランを使ってドアに仕掛けがないかを調べるが…どうやら専用の鍵を使わずにドアを開けたり、破損させたりすると警報が鳴るようだ。


 ふむ、そうなるとここは…


『ネビロス、魔法的な仕掛けが施されてる…頼めるか?』


 俺はネビロスの方を向きながらそう言うとネビロスはドアを確認しだす。


『この程度なら問題にすらならないな』


 ネビロスはそう言いドアに触れるとドアに触れているネビロスの手が淡い光を放ち、このドアに仕掛けられた魔法を解除していく。

 それは10秒程度で終わりネビロスの手から光が消えたかと思うと、ドアが何かの模様を浮かび上がらせるように薄く光る。


『魔法的な仕掛けを施すなら少なくとも二重構造にするべきだな。でないとこんな風に…』


 そう言いながらネビロスはドアノブを回し…


『簡単に開いてしまう』


 いとも簡単にドアを開けてしまう。


 それを確認した俺達は部屋の中へと入る。部屋の中は当然灯りがなく、カーテンのない窓から月明かりが差し込んでいるだけだった。


「………」


 中にいる人物は俺達が部屋の中に入ってきたことに気づくが暗くて姿が見えないせいか何も言わない。いや、正確にはえないが言おうとしない。

 なので俺は姿を確認できるように月明かりが差し込む窓の前へと移動する。


「…!?」


 するとこの建物の者でない存在だと理解し驚きの表情を浮かべる。そして俺は自己紹介を兼ねて目的を伝える。


「どうも俺の名前は加藤 千弥と言います。ここに来た理由はですね…貴女を助けに来ました」


 そう言って俺は女性に近づくと恐らく舌を噛めないように着けられたのであろう口に入れられたそれを取る。


「私を…助けに…?」


 椅子に固定されているため俺のことを見上げる形でそう呟く。その顔は現状を理解できていないのだろう不安で疑問に満ちた表情をしている。


「ケイト・ウェーバーさん、貴女を助けに来ました…俺達と共に来てください…」


 そして俺は安心させるように、理解できるようにさらに言葉を放つ…


 〝メルト・ウェーバーが貴女の帰りを待っています″


 俺がそう言うとケイトさんは唇を噛み締め…


「ありがとう…ございます…」


 そう言葉をしぼり出す。


 それを確認した俺はジークに目配せすると、ジークは頷きこちらに来てケイトさんを拘束している縄や足枷を切断する。


「それではここから脱出します。移動はそこのスネークに負ぶさって移動します。あと、ここからは言葉を話さないようにお願いします」


 ケイトさんにそう言うと彼女は頷き肯定を示す。そしてケイトさんの前で背中を向けしゃがんだスネークの背中に乗る。


『センヤ、ドアの仕掛けは終わったぞ』


 ネビロスがそう言いこれ以上ここにいる必要がなくなったので、タイミングを見計らい部屋から出る。


 通路に出た後、来た時と同じように3階建の部屋を目指し移動する。


 3階の部屋に到着し中に入ると中から鍵をかける。そして天井にある穴から屋根の上に出る。あとは…


『……修復完了だ』


 ネビロスが復元魔法を使って天井に開けた穴を元に戻す。後は来た時と同じようにネビロスや俺のスキルを使って家へと移動を開始する。



『いやぁ…あれだな…俺達って怪盗とかできそうだな…』

『そうだね…大抵のことなら何とかなるんじゃないかな?』

『実際に人を一人盗んだしな』

『そうなんだよ…ってそれよりネビロス、そういや帰りのドアの魔法の仕掛け時間かかってたな?やっぱ仕掛ける方が時間がかかるのか??』


 会話をしている中、ふと疑問に思ったことをネビロスに聞いてみる。


『ああ…実は少しおもしろい仕掛けをしておいた』


 俺がネビロスにそう聞くと、ネビロスは笑みを浮かべてそう答える。


『へぇー、どんな仕掛けを施したんだい?』

『元々あった仕掛けに幻惑魔法を使った仕掛けを仕込んでおいた。ドアに触れている間とドアが開いている間、ケイト・ウェーバーがいるように錯覚させる仕掛けをな…少しくらいなら時間稼ぎになるだろう』


 なるほど…つまり見回りがドアを開けるとケイトさんの姿が見えるということだ。中にいることを確認するだけならすぐにドアを閉めるから、いなくなったことに気づかないってわけだ。


「あ、そうだ。ケイトさん、もう声を出しても大丈夫ですよ」


 それほどの距離をすでに離れていることに気づきケイトさんにそう言う。


「皆さん、ありがとうございます…正直、まだ夢を見てるんじゃないかと錯覚してしまいそうです」


 ケイトさんは自分の頰を引っ張りながらそう言う。


 ああ…そう言えばまだ言ってないことがあったな…


「あー、そのケイトさん?そのですね…」

「なんでしょうか?」

「助けはしたんですが…その…まだメルトに合わせるわけにはいきません」


 俺はケイトさんにそう言う。ケイトさんは一瞬キョトンとした顔をするが直ぐに苦笑しながら口を開く。


「なにか…事情がお有りなんですね?」


 ケイトさんは大人のせいか落ち着いた態度で俺の答えを待つ。なので俺も隠さず正直に話す。


「ええ。正直に言いますが…これから貴女を連れて行く場所はまだ拠点を築いただけの場所でして…防衛・安全面としては不安が残るんです…ですので少し時間をいただきたいんです。貴女とメルトが危険に晒されないように…」


 万が一にも相手側に悟られるわけにはいかないのだ。準備が整っていない状況では対処できない可能性がある。


「こうして救っていただけただけでも感謝しなければならないのに…それくらいのことを我慢できないなんて思うはずがありませんよ…加藤さん、貴方の指示に従います」

「そう言っていただけると嬉しいです。準備が整うまで貴女には護衛をつけますので安心してください」


 ふぅ…ケイトさんがちゃんとした人で良かった。


 そんなやり取りをしている間に拠点である我が家に辿り着く。予想とそれを可能にする自信はあったが…上手くいって良かった。


 こうしてメルトの母の救出に成功したのであった。



救出成功です。メルト母は生きていました…生きては…いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ