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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第2章 ガチャで俺は最強になれる?
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第26話 少女の涙と新たな決意

すいません…ガチャるのは次回となってしまいました。本当に申し訳ありません。

 

「いやぁ、まさかここまでとは思わなかったよ。ミレーネ君が脅威を抱くのも当然だね」


 そう言いながら人混みの中からやってきたのは中年より少し若めの男性だった。その男は俺の元にやってくると自己紹介を始める。


「どうも私はオルドリック・ラマークス。このボーシュリクス冒険者ギルドのギルドマスターをやっているものだ」


 オルドリックは実に丁寧な物腰で挨拶してくれる。


「どうも、俺はカトウ・センヤと言います」

「話しやすい話し方で構わないよ?何なら敬語も使わなくていい。俺は素の君と話がしたいからね」


 どーやら、このギルマスさんは話が分かるタイプらしい。それに纏っている雰囲気がリベラルなんかと比べものにならない。ステータスが見える俺にとってこの違和感はさらなる脅威を感じさせる。


「それは助かる、正直敬語は苦手だからな。それで…このタイミングで話しかけてきたということは俺に話があるってことだよな?」

「理解が早くて助かるよ。それじゃあ付いてきてもらっていいかな?もちろん仲間達もね。それと…マリン君、君もきてくれるかい?」

「わ、私もですか?わかりました!」


 というやり取りを交わし俺達はギルドマスターの部屋へと移動する。部屋の中にはミレーネともう1人先客がいる。この部屋は俺が以前捕らえられていた部屋だ。だが前と違うのはそこに拘束されていたのが俺ではなく…


「メルト…」

「お久しぶりです…センヤさん」


 そう、そこに捕らえられ拘束されていたもう1人の先客は半年前の襲撃事件に関わっていたメルトだった。


「な…メ、メルトがどうしてここに!?」

「あぁ、そういえばメルト君とマリン君は幼馴染だったね。彼女は謎の失踪をしていたのだが、私が見つけてね…ここで保護していたんだ」

「な…オルドリックさん!見つけてくれたのなら普通の生活に戻してあげればよかったじゃないですか!それに…これじゃあ保護と言うより監禁じゃないですか…」

「これには訳があってね…実はメルト君は半年前にセンヤ君を殺そうとしたんだよ。正確には暗殺の片棒を担いだんだ…」

「そ、そんな!?センヤさん!それは本当何ですか??」


 オルドリックと会話をしていたマリンが俺に真偽を聞いてくる。その目はとても信じられないといった目をしている。


「オルドリックの言うことは真実だよ…」

「そ…そんな…」


 マリンはそう力なく呟くとその場にへたり込んでしまう。マリンにとってよほどショックなことだったのだろう。それよりも…オルドリックはメルトのことを保護・・したと言った。半年前に起こった襲撃の状況を考えるに俺の予想が正しければ…


「ワーニルの背後にいたのはそんなにマズイ相手だったのか?」


 俺がそう言いとオルドリックはニヤリと笑いミレーネは目を見開き驚きを露わにする。この反応を見る限り間違っていなかったようだ。


「センヤ君…君は思った以上に素晴らしい人材だ。これはミレーネ君の評価も上げてあげないといかないなぁ。それよりも…君の推測通りだよ。ワーニル達の後ろに付いていたのは厄介な相手でね…先にメルト君が捕まっていれば…正直どうなっていたかわからない。殺されていたかもしれないし、壊れるまで犯されていたかもしれない…」

「はい。私もオルドリックさんに見つけてもらわなければ危ないところでした…」

「え?本当にオルドリックさんはメルトを保護していたんですか…そんな…す、すみませんでした!」


 話の内容を聞いたマリンが慌ててオルドリックに頭を下げる。


「気にしなくていいよ。マリン君は事情を知らなかったんだし…それにミレーネ君よりはマシさ」

「大丈夫ですよマリン。私はブン殴ってしまいましたから、それに比べればマシですよ…」


 ミレーネって見た目の割には結構ワイルドなんだね…いや、仲間や部下への思いやりが強いんだろうな。


「とまぁそういうわけなんだが…どうするセンヤ君?

 」

「どうする…ってのはどういうことだ?」


 オルドリックか俺に聞いてくるが、俺にはわからない。ワーニルの背後にいる奴らについてだろうか?でも実際それくらいしかないよな…?


「メルト君のことだよ…処分を決める権利は君にあると俺は思っているが?」


 あぁ、なるほどね。メルトの罪に対しての処分を決めろってことか…確かにそれは俺に1番の権利があるわな。


「君のことを直接ではないにしろ殺そうとしたんだ。君が死刑を望むなら死刑にすることだってできる。メルト君もどんなことをされても仕方ないと言っている。ただメルト君にも事情があったのだ…だからギルドマスターとしての意見としては死刑にはしないでくれると助かる…」


 オルドリックは本当に申し訳なさそうにそう言う。冒険者はダメな奴らの印象が強いがギルド職員達は皆良い人そうだ。オルドリックもミレーネもきっと職員達に好まれているのだろう。


「メルト…事情とは何だ?俺はお前の口から聞きたい…」


 なので俺もメルトに聞いてみる。というのも半年前のあの日、俺はメルトのギルド職員としての心構えと誇りを知った。その時のメルトは紛れもなく本心だったはずなのだ。だから俺はメルトの口から真実を聞いてみたかった。


「あの日…センヤさんを暗殺するのを手伝わされました…両親を人質に取られたんです…詳細もお伝えしますか…?」

「頼む…」

「両親が私に言いました。断れと…悪党どもの言葉を聞く必要なんかないと…私もギルド職員の一員です…その話を断りたかった…だけど断ろうとしたら…父が殺されました…」


 次第にメルトは涙を流しながら話をする。

 これは予想していた1つだが…思ったよりも最悪だな。1番最悪のパターンだ…

 俺が考える中メルトは話を続ける。


「母を殺されたくなかったら…センヤさんを殺せと…できないなら暗殺の手助けをしろと言われました。母はそれでも聞く必要はないと強く言いました…でも私には…とても耐えられなかった…それで…」

「それで…俺を暗殺する手伝いをしたんだな?」


 メルトはコクリと頷く。その表情はとても悔しげで目からは止めどなく涙が溢れている。


「私は暗殺の手伝いしました…でも連中は…暗殺が失敗したからと…母を返してくれませんでした…そして…計画が露見した以上私は不要だと…私を犯した後に殺てやると言いました…でも…でも…母が私を逃がしてくれたんです!貴方は逃げなさいと!貴方は生きなさいと!母は命をかけて守ってくれたんです!!」


 そう強く叫ぶメルトに俺は胸の奥から熱くなるものを感じる。


「私は必死に逃げました…少しでもボーシュリクスから離れようと…そんな時…オルドリックさんと出会いました。私は全てが終わったと思いました…ギルド職員でありながら両親の為にセンヤさんの命を差し出し…それなのに両親すら救えず命を守られ…母が言ったように逃げることすらできない…本当に私のしたことはなんだったのかと…でも同時に思ったのです…最後は…センヤさんに委ねようと…たとえ死んでも、少しでも償いになるのであればそれが一番良いと…」

「元々、メルト君は1度保護する予定だったからね。そして今のメルト君の考えを聞いてそうしようと思い君が来るまで保護していたわけだ…」


 オルドリックが話に補足を入れてくれる。つまり、これで話が繋がったわけだ。


「だからセンヤさんが望むままにしてください。死ねというなら死にます!奴隷として扱うならボロボロになっても働きます!性奴隷として扱うなら喜んでこの身を差し出します!その後に売り場に出したって構いません!落札額が少しでも高くなるように精一杯頑張ります!だから…センヤさんが決めてください…」


 メルトの言っていることは全て本心なのだろう。本当に少しでも俺の望むこと俺にとって利益になることを考えて言っている。だが、俺が聞きたいのはそんなことじゃない…


「お前は…どうしたいんだ?」

「ですから私はセンヤさんの望むことを「いや、そうじゃない」」


 俺は再び同じことを繰り返すメルトに釘をさす。


「お前の罪が無罪だと言ったら…お前は何がしたい?自由の身だぞ?何だってできる」

「わ、私は…」


 俺の言葉にやっとメルトは俺の言いたいことを理解し考えている。


「それでも俺の為に尽くすか?死地に追いやられて死ぬかもしれないぞ?それとも奴らの脅威に怯えながら両親の言葉を守りヒッソリと暮らすか?」

「私…私は…」


 メルトは目を閉じ考える。本当の自分のしたいことは何かと…そして泣きながら再び悔しそうな表情で唇を噛む。その行為の代償に血が流れるが、それが誓いの印だと言わんばかりに自分の意志を口にする。


「私は…私の望みが叶うなら…」



 〝奴らに復讐したいです…″



「よしわかった」

「え…か、枷が…」


 俺はそう言うとメルトに付けられている枷を全て斬る。メルトはそのままその場にへたり込む形となった。


「それじゃあメルト…今からお前は俺の、俺達の奴隷であり仲間だ。だから安心しろ仲間のお前は俺が絶対に守ってやる。そして仲間の両親を殺した奴らを絶対に俺が殺してやる」


 これは決めていたことだ。メルトなら絶対にそう言うと思っていたからな…それにウチのメンバーで協力しない奴は1人もいないだろう。何せあのルアでさえ涙目になっているくらいだし同時に怒りも感じるからな。ちなみに怒と哀で言ったら1番ヤバイのがレオナなだ…今のコイツなら平気で人を殺せるだろうなってくらいヤバイ。


 メルトがまだ固まってるので俺は手を差し伸べる。その行為でやっと現実に戻ってきたのかくちを開く


「でも…私は何の罪も受けて…」

「罪?罪かぁ…それじゃあ…てい!」

「痛ッ」


 俺は差し伸べた手でメルトにデコピンをする。痛さのせいかメルトは額をさすっている。


「これでお前は罪を受けた。だから後は俺の言葉に従うだけだ」


 そう言って俺は再びデコピンした手を差し伸べる。メルトは片手で額を撫りながらもう片方の手で俺の手を取る。その目はしっかりと俺を見据えていて覚悟を決めた顔をしている。


「わかりました…私は今から貴方の奴隷です。私のことは好きに使ってください。そして…奴らに復讐を…」

「ああ、わかってるさ…これからよろしくな…」

「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!!」


 メルトは涙を流しながらも笑顔でそう答えた。


これで半年前の続きが動き出す形となりました。そしてセンヤはある決意をしており、次回実行することになります。後、申し訳ないので少し話すと…次回あのキャラが出ます!

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