第21話 ダンジョンに行くために…
投稿が色々とあり予定よりも遅れてしまいました。
俺達は宿屋に戻り皆と合流し朝食を済ませるとギルドに向かった。
「あ!みなさん、おはようございます!」
ギルドに入りカウンターに向かうととマリンが明るい声で出迎えてくれた。
「おはよう、今日は昨日受け取り忘れた硬貨を取りにきたんだ」
「わかりました!あっ、ライルさんとゲイリーさんの分は昨日の段階でキチンと用意されていましたよ?それでは少々お待ちください……はい、こちら合わせて60万硬貨になります。」
マリンをそう言うとトレイに白金貨を6枚乗せて渡してくれる。
「!…白金貨が…6枚…つまり…60万硬貨ですか…」
「そうだ…後、明日には別に50万硬貨手に入る」
「すごいです…そんな大金…見たことないです…」
「安心しろ…俺もだよ」
俺は驚くアロエに笑いながら言ってやる。するとマリンが思い出したように聞いてくる。
「あっそうでした…センヤさんって正式なパーティの申請はまだですよね?」
「パーティの申請ならクエストを受けるときにしたはずだが…あれとは違うのか?」
「はい。あれは仮のパーティ申請となりますので…」
「正式なパーティだと何か変わるのか?」
「はい。正式なパーティだとパーティランクというものが考慮されて、より上ランクのクエストを受けられるようになります。また、実績を重ねるとクランも作ることができるようになります。」
「へぇー、じゃあ正式なパーティを申請しておくか?」
俺は皆に確認するように聞くと頷きの了承を得る。
「それでは、こちらの用紙に必要項目の記入と皆さんの冒険者カードを提出してください。」
マリンから用紙を受け取る。用紙にはパーティ名とパーティメンバーの記入をしなければいけないようだ…
「うーん…パーティ名、俺が決めちゃってもいいか?」
「それは構わないけれど…もう決まっているの?」
「ああ、パーティ名は【グランブルー】だ」
俺は用紙にパーティ名とメンバーの名前を書き入れていく。どうやらこの世界の文字も言葉同様に日本語で書いてもちゃんと伝わるらしい。
「はい、それでは…パーティ名が【グランブルー】でパーティリーダーがカトウ・センヤ様、パーティメンバーがウニ様、ルア様、レオナ様、アロエ・ヒュースティア様ですね……はい、それでは冒険者カードをお返しいたします…はい!これで正式なパーティとして受理されました」
「ありがとう」
マリンから返してもらった冒険者カードを確認するとパーティ【グランブルー】の欄が増えていた。さらにガチャガチャのスキルでお知らせの通知を受ける。お知らせの通知やプレゼントの内容は頭の中で確認するように念じれば知ることができるので、確認してみたところ…どうやら会話通信のスキルが向上して同じパーティ内ならば奴隷や配下、俺が召喚した者でなくてもパーティチャットが使えるようになったらしい…つまり、これでアロエともパーティチャットができるようになったってことか。
「じゃあ、ギルドの用事も済んだことだし…買い物に行くか」
俺の言葉に皆は頷き、俺達はギルドを後にしようとするが…近くにいた冒険者の男性に声をかけられる。
「なぁ英雄、今日はクエストを受けないのかい?」
「ん?ああ、この国に来て冒険者になったばかりだからな。野宿用の道具とかを揃えておこうと思ったんだ…」
「なるほどねぇ、ダンジョンにでも潜るつもりかい?」
「ああ、そのつもりだけど…」
「 そうか…いや、そうだよなぁ。レベル上げをするもんなぁ…わかった、邪魔して悪かったな。」
男性の冒険者との会話が終わったので、今度こそ俺達はギルドを後にする。
「これからどうするのー?」
ギルドを出るとレオナが聞いてくる。
「とりあえずアロエも加入したことだし、まずはウィンズに行こうと思う」
俺はそう答え移動する。ウィンズならギルドから近いしアイテムボックスがある現状、手荷物が増えるわけでもないので大丈夫だろう。
俺達は早々に移動しウィンズに着く。そして扉を開ける。
「いらっしゃいませー…セ、センヤ!」
他にお客さんがいなかったようで、店内にいたウィラの声が自然と響く。
「よぉ、ウィラ。服を買いにきたぞ」
と俺が気軽にそう言うとウィラはコホンと一つ咳払いをする。
「き、今日はどんな服を買いにきたのかしら?」
「ああ今日はな、夜に寝やすいような服を買いにきたんだ」
「ああ、確かに冒険者用の服だと確かに寝るのに適していないものね…わかったわ、なら女性の方はこっちに来て…あら?新しいお仲間?」
ウィラはすぐに理解し女性達をエリアに移動させる。その時、新加入のアロエの存在に気づく。
「私は…アロエと…言います…センヤさん達の…仲間です…」
初対面の人で緊張しているのだろうアロエはたどたどしかしながらもウィラの質問に答えた。
その後、服選び〔やはり女子のせいかそこそこ時間がかかった〕を終え会計を済ませる。会計は5万硬貨だったらしいが、皆3着ずつ選んで5万硬貨で済んだのだから安いのではないだろうかと思う。
ちなみに5万硬貨だったらしいというのはウニが代わりに会計を申し出たからだ。
会計を済ませて外に出るときにウィラが寂しそうに見えたが…まぁ話し相手がいなくなったら暇だもんなぁとそんなことを考えながら店を出る。
「次はどこに行くのでしょうか?」
「先に港地区にいって魚貝類の食材を購入する。その後、商業地区で調理器具を購入して最後に冒険者地区の店で野宿用の道具なんかを購入しようと思ってる。」
ウニに聞かれたのでこの後のスケジュールを答える。
この世界では冒険者の職業を持つとアイテムボックスというスキルが簡単に覚えることができる。
なので料理の際もただ焼くとかではなくフライパンに油を引いたりして簡単にではあるが調理して食べる者達が結構いるらしいのだ。うちには料理スキル、しかも複合の料理スキルを持っているウニがいるので美味しい料理を食べるために調理器具の購入は早い段階で決めていた。
「魚貝類…大丈夫なんですか?…アイテムボックスの中に入れても…少しずつ時間は経ちますが…」
俺の発言に対しアロエが心配そうに言う。生ものだから腐りやすいことを心配しているのだろう。
確かに冒険者がアイテムボックスを活用できると言ったがアイテムボックスといえど完璧ではない。中に食材を入れて入れば日にちこそ長くなるが、やはり腐るのだ。
だから冒険者達の中に魚貝類を食材として持って行くものはまずいない。せいぜいその日に食べるうちの一食分程度だろう。
だが、俺には手札変化のスキルがある。カードの中では時間が経過しないので、これで食材をカード化すれば腐敗という問題点はクリアすることができる。と、このことをアロエに説明する。
「センヤさんのスキルって…ズルい気がします…」
「俺もそう思ったよ。いや、今も思い続けてる…この世界は俺に優しすぎるってな」
「確かに…会話通信という、私が知らなかったスキルが習得できましたし…」
「そうなん…ん?会話通信って知らなかったのか?」
「はい、私はサポートキャラクターなので、不明不定箱のスキルの知識はある程度知り得ています。その中には新たに習得するであろうスキルも含まれていました」
「そういや…手札変化を覚えるとき、新スキルって言っただけで手札変化のスキルだって知ってたな…てことは、まだ覚えられるスキルがあるのか?」
「はい。少なくともあと1つあります…」
ウニが申し訳なさそうに口を開く。なんでも新スキルに関しては聞かれない限り教えてはならないものだったらしく、教えたくとも教えることができなかったらしい。
ウニから覚える予定のスキルについて説明を受けるが今すぐ覚える訳ではないのでスキルについてはここでは伏せておく。
「まぁ、新スキルは今後の楽しみにしておくとしてだ…ほら、目的地の到着だ」
本日2度目の港地区の到着である。先ほどの光景を思い出してしまい若干恥ずかしいが…
チラッとルアの方を見るとルアも少し顔を赤らめている。するとルアが俺の視線に気づきプイっと違う方を向いてしまう。
少し気まずい気持ちになりながらも買い物を始めることにした。
おそらく、次回からは話の時間を飛ばしていく描写が増えると思います。




