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ガチャで俺は最強になる  作者: 青藤清也
第1章 ガチャで俺は最強になる?
22/85

第20話 外伝 海竜の巫女 ルア

はい、ということで外伝第2弾です!今回は海竜の巫女様のお話になります。

 

 私はルア、海竜族の半竜人よ。半竜人と言うのはその名の通り竜と人が交わってできた者のこと…

 強い竜は姿を人に変えることができ、その姿で子を成すと半竜人の子となって生まれるのよ…

 私の家は神社をやっていて、そこに生まれた私は巫女をやっていたわ。私には妹がいたのだけれど、巫女を名乗るのを許されるのは1人だけだった。これは私の家の決まりごとだと母様に教えてもらったわ。

 妹は巫女である私の従者として仕えるのが習わしだと教わったわ。従者と言っても形だけのもので家族で過ごすときに差別がされるわけでもなかった。母様は同等かそれ以上の愛を妹に注いでくれたもの…だから、巫女とその従者なんて関係に不満はなかった。あるとすれば…


「ルア姉、私外の世界に行ってみたい…」

「そうね…私も外の世界に行ってみたいわ…」


 外の世界に行くこと…かしらね…?


「お母様はその時が来れば外の世界に行けると言ってたけど…それっていつなのかな?」

「わからないわ…でも、チャンスは平等だと教わったわ…ルカは…外の世界に行けたら何をしたいの…?」


 私は外の世界に行けたら色んなところを回ったり、色んなものを見てみたいけけど…ルカはどうなのかしら?


「私はね…やっぱり恋をしてみたいな…お母様がしたような素敵な恋がしてみたい…ルア姉は?」

「私は…恋愛よりも…冒険がしてみたいわね…この世界にはないものを…見てみたいわ…」

「ルア姉、可愛いのに勿体ないよ?もしかしたら外に出してくれた人が男の子で…冒険する内に好きになっちゃうかもしれないよ?

「そんな運命じみた恋愛話なんて母様だけよ…」

「そうかなぁ…でも私だったらその人のことを好きになると思うな…」


 ルカは昔からこういう運命的な恋愛話に浸透するところがあるのよね…私だってそんなことをこれっぽっちも思っていないと言えば嘘になるけど…もう少し割り切って考えないと…いざ現実を目の前にした時にショックが大きいと思うのよ…その辺のこと考えてるのかしら?


「相手がすごいお年寄りだったら、どうするのよ?」

「うぅ…それは確かに嫌だ…でも、同い年くらいだったら…」

「そいつが残虐的なやつだったら?暴力を振るうのが当たり前のようなやつだったら?」

「うぅ…ルア姉にはロマンがないの?」

「可能性の話よ…それじゃあ…ルカはどんな相手なら理想なの?」


 私はルカに理想の相手を聞いてみる。運命なんてものを信じていたとしても、少なからずこうあってほしいという願望があるはずだ。姉としてはその辺を聞いてみたいわ…


「理想?えーとね…同い年くらいで…」


 同い年くらいね…さっきも言ってたからそこは結構重要そうね…


「身長が高くて…」


 まぁ…私も低いよりは高い方がいいわね…見下ろすのはなにか抵抗があるわ…


「仲間のことを大切にしてくれる人で…」


 確かにそこは…冒険願望のある私としても重要なポイントかもしれないわね…というか運命なんてことを口に出していたわりに結構願望があるのね…


「あとは…」


 あとは…てことは次が最後?まぁ結構多かったものね…さて最後は何かしら…?


「あとは…エロい人!」

「エロい人!?」


 え!ちょっと待って!!今までのラインナップの仕上げになんでそれを選択したの!?もっと他にあるでしょう!何で?理由がわからないわ??


「…どうしてエロい人がいいの…?」

「だってエロいことが好きな人じゃないと…積極的に子作りができないから…ルア姉…私ね?…赤ちゃん、産んでみたいの…」


 …あぁ…妹が眩しい…邪な考えしかできなかった私を許して頂戴…いやでも、これとそれとは話が別よ!そうよ!別に愛し合ってる2人なら自ずとそういうことをする回数も多いはずよ!


「でも…夫婦ならエロくなくても…自然とそういうことをするもんじゃないの…?」

「いやぁ…確かにそうなんだけど…」


 ほら、私の思った通りじゃない!でも、ルカにも考えがあるみたいね…なにかしら…?


「実は…ぶっちゃけハーレムを築いてる人がいい!!」

「本当にぶっちゃけたわね!?」


 この妹は本当になにを言っているのかしら…自分1人だけ好きになってもらう方がいいと思うのだけれど…何でハーレムなのかしら?


「どうしてハーレムを築いてる人の方がいいいいの?」

「うーん…言い方がちょっと違ったかな?要は私以外もその人のことを好きだと思える人がいる…そう思われるような人がいいんだ…そして、その思いにも答えてくれるような人がいいの…そうしたら必然的にハーレムが形成されるじゃない?」


 確かに…ルカの言う通りの存在ならば自然とハーレムは形成されることになるなるけど…ああ、なるほど…


「それでエロい人が良いって言ったのね…」


 複数の女の子がいても…同じだけの愛を注いでくれる人…なら、そういうことをするのも同じだけでなければならないものね…でもね…ルカ…


「はっきり言って…ルカの理想の人が運命な人の確率はゼロね」

「ルア姉ヒドい!?ゼロはないよ!!」

「そうね…ゼロじゃないなら…あの砂浜の砂一粒くらいかしらね?」

「それでもヒドいよ…うぅ…でも、もしかしたら相手がその砂一粒を探し当てるような強運の人かもしれないよ!?」

「ルカ…アナタまた確率を下げたわよ…」


 私がそう言うと妹はガーン!と衝撃を受けたような顔をする。


 本当にこの妹は…でも、もし私が願いが叶って外の世界を冒険できたら…なるべく探してあげるわよ…だって…


 私はアナタのお姉ちゃんだもの…


 と私は今、海を眺めながらこの世界に来る前の昔のことを考えていた…


 なぜ海を眺めているかというと…ある人に好きと言われて逃げ出してしまったのだ…そうして心を落ち着かせるために海を眺めていたら、そんなことを思い出した…


 話の発端は彼が昨日の夜にウニという少女としていたことによる…要は…その…よ、夜伽をしていたのよ…

 その話をアロエという少女から聞いたときに私は怒りを覚えた…でも、私よりも怒ってるレオナという少女がいたために私の怒りは収まっていき処罰をレオナに任せることにしたわ…

 初めはレオナも怒りが爆発しそうで今にも魔法を放とうとしていたのだけれど…レオナは魔法の構えを解いて結局、その人を攻撃することができないと言って罰することはなかったわ…

 私はどうして!?と思ったけれど…レオナはその人のことが好きだから…だから攻撃できないのだと言ったわ…そのときのレオナは天使のようなとても眩しいものに思えたわ…攻撃することを当たり前のように考えていた私とは…全然違う…

 このときの私はどうして怒ったのか分からなかった…いいえ…分からないようにしていたのよ…だって…彼は言ったわ…2人の気持ちに応えたいと…どちらかじゃなくて2人とも好きなんだと…そう聞いた瞬間…私は自分の気持ちを騙そうと思った…そうじゃなければ苦しい思いをすると思ったから…でも彼は…


 私のことも好きだと言った…


 理解ができなかった。どうして?と何度も頭の中に疑問を浮かべたわ…だって私は彼に好かれるようなことを何一つしていないのだから…

 だから私は理由を聞いたわ…私を好きになった理由を…そしたら彼は…


 好きになるのに理由なんているのか?なんて言ってきたのよ…


 この言葉を聞いた瞬間、鼓動が早くなっていくのがわかったわ…それと同時にまるで熱が出たように自分の顔が熱くなっていくのも感じたわ…

 そして…逃げ出してしまったのよ…


 海を見にきたのは心を落ち着かせるため…この広大さを見ていたら…波の音を聞いていたら心が落ち着くのよ…昔から出たそうだった…


 そして…先ほどのような昔のことを考えていると…彼がやって来たわ…彼が私の後ろまで来たとき…私は彼に告げてみた…私は海が好きだと…そうしたら彼も海が好きだと言ったわ…ふふっ、理由が魚介類が好きなんて…なんだか子どもみたいね…そうしたら彼は生きてく上で重要なことだと言ったわ…でも、確かにそうね…食事は必ず必要なものだもの…そして食べ物によっては人によって好みも変わるし、場合によっては食べれない物もあるものね…そう考えると好きな物を食べられるようから…というのは立派な理由ね…

 

 ねぇルカ…恋愛よりも冒険がしたいなんて言っだけれど…私も恋愛がしてみたかったのよ…冒険がしたかったのも本当だけれど…恋愛よりも冒険なんてのものはただの私の強がりよ…私だって、叶うのなら…恋愛と冒険を両立…好きな人と冒険がしたかったのよ…でも、私はどうしても可能性や確率を考慮してしまうから…そう思うことができなかった…


 でもねルカ…私今…願いが叶いそうなのよ…だって私多分…彼のことが好きになったと思うから…だから…怒ったり、逃げ出してしまったりしたの…だから私は彼に聞いてみた…


「ねぇ…どうしてセンヤは私のことを好きになったの…?自分で言うのもなんだけど…私が可愛いから?」

「それもあるが…それだけじゃない…」


 私の問いに彼はそう答えたわ…じゃあ他に言ったい何があると言うの…?


「じゃあ他に何があるの…私はウニ達みたいに胸も大きくないし…センヤも微妙だっ」

「好きだよ」


 そこまで言って私の言葉は彼の言葉にかき消されてしまう…彼の言った言葉の意味がすぐに理解できず…


「え…」


 そんな言葉を発してしまう…でも彼は私が理解できるようにか続けて言葉を並べたわ…


「俺がいつルアの胸を嫌いと言った?微妙だって?だからなんだ…俺は好きだよ、ルアの胸が…それに言っただろ?美少女なだけで充分だって…だから俺はルアの胸が好きだ…」


 そう言われたとき、私の体に衝撃が走る。

 嘘…でも…確かにアナタは一度も…私の胸を嫌いなんて言って…待って!?それじゃあ私は…


「え…それじゃあ…私は…それなのに何回もセンヤに攻撃を…」

「あのなぁ…それとこれとは話が別だろ…誰にだってコンプレックスはあるし…それを言われたら怒るもんだろうが…知ってるか?俺は怒られるの知ってて、それでも自分に正直でいたいから微妙って言ってるんだぞ??なら、それを怒るルアに何の罪があるんだ…?」


 ということは…アナタは…本当に…


 でもセンヤ…


「アナタ…また…微妙って…言ったわね…怒られるのがわかってて…それでも…言うのね…」

「自分に正直でいたいからな…」

「ふふっ…何それ…でも…センヤらしいわ…」


 私は思わず笑ってしまう…だって彼は正直にいたい…そんな理由で今まで私に怒られてきたのだから…そうして多分…彼はこの先も私と同じやり取りを繰り返すのだ…笑ってしまうのも無理もないわね…


 私は彼に聞いてみる。


「センヤ…アナタはこの先また私の胸を微妙扱いするのね…?」

「あぁするな…確実にする自信がある…」


 あぁ、やっぱり続くのね…センヤが確実だと言ってるんだもの絶対に実現するわ…でもね…


「私もレオナみたいに優しくないから…確実に攻撃する自信があるわ…それでも…」


 どうなんだろう?と一瞬頭を過ぎったがそれを振り払い彼に聞いてみる…


「そんな私を好きでいてくれる?」


「あぁ…これも自信を持って言える…」


 彼は迷うことなくそう答えた…そう言うことのわかってたはずなのに…私は臆病な性格なのかもしれないわね…


「そう…なら…」


 私は彼に思いを…自分の正直な気持ちを伝える…


「私もセンヤのことを好きになってあげるわ」


 さっきから潮風が目にしみるわね…こんな姿…センヤに見せたくないわ…だから…


 私は振り返ると彼ににそっと抱きついた。すると彼も優しく抱きしめ返してくれた。


 ねぇルカ?…私…好きな人が出来たわ…こんなに早く好きになる人が見つかるなんて…自分でもびっくりするくらい…でも…やっぱり素直に言葉にできなかったわ…だからあれは…



 ただの私の〝強がり″よ…



ルアには妹がいます…そして、疑問に思った方もいらっしゃるかと思いますが…ルアとレオナは同じ世界から召喚されていません。詳しい話はまたの機会に…

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