第20話 俺はやっぱり正直に生きたい。
大人の階段をまた一つ登った少年は…実に寝覚めの良い朝を迎える…
「センヤー朝だよー!」
レオナに肩を揺すられ起こされる。
うむ、実に清々しい気持ちだ!なんだろう…今の俺なら大抵のことは許せる気がする。
「おはよう、レオナ」
「おはよー」
「皆も、おはよう」
昨日のように皆着替え終わっている。
「おはよう…」
「おはようございます」
「お、おはようございます…」
他の皆も返事を返してくれる。アロエは顔を赤らめていたが…あれ?どうして顔を赤らめて…まさか…
「アロエ…昨日はよく眠れたか?」
「いや…いえ!大丈夫です…」
そうか……ああああ!これ起きてたやつだぁあああ!!どーしよ今すっごく恥ずかしい!!ほら!ウニも今の発言で顔を赤くしてるよ!!あっ…ウニからパーティチャットが来た。
『センヤ様…どうしましょう…』
『まさか起きてるとはな…』
『先ほどまでは普通に会話していましたが…私今、アロエ様と話せる自信がありません!』
『大丈夫だ…しっかりしろ…俺も内心、すげぇ恥ずかしいから…』
『本当ですか!?でも、お顔に出ていませんよ?』
『だって今、顔に出ないように必死で頑張ってるもの!!』
どうしようか必死に考えていると次のアロエの一言で幕を閉じることになる…
「でも…まさか…あんなことをするまで…発展しているとは…思わなかったです…」
HQ!HQ!こちら無事に目的地へと爆弾を投下した!
こちらHQ!了解した!無事本体まで帰還せよ!
「…アロエ、ちょっとこっちに来なさい…」
「ルアさん?」
アロエがルアに連れられゴニョゴニョしてる…あっ…話終わったっぽい…
「…センヤ…昨晩は随分とお楽しみだったようね…?」
ルアがニコニコ顔で尋ねてくる。あれ?おかしいな…笑顔のはずなのに何か怖い!鳥肌が立つくらいの変な寒気がするんだけど…
「そうだな…アロエの加入により、これからさらに楽しくなるかなと思いを馳せていたな…」
「センヤ…?」
「はい!楽しんでました!」
「そう…別に私は構わないのよ…ただね…時と場所を考える必要があると思うの…」
「そうですね!ルアさんの言うとおりだと思います!」
「はぁ…まぁ…わかればいいわ…」
「あれ?怒らないのか?」
「最初は私も怒ろうかと思ったんだけど…私も怒るとさすがに可哀想だと思ったのよ…」
ん?私もってどういうことだ…?ウニは怒るはずないし…アロエも怒りはしていないはずだが…となると残りは…あっ…やばいやつだ…
俺は残りの該当しそうな人物の方を見る。そこには…
今にも魔法をぶっ放しそうなレオナの姿があった。だが…
「…やっぱりやめた」
レオナは攻撃の構えをとく。
「レオナ!?それでいいの??」
「うん…やっぱり私にはセンヤを攻撃することなんてできないから…それに…」
「それに?」
「私は別に構わないなって思えたんだ…センヤの1番にはなれないけど…センヤは多分、私もウニも同じだけ愛してくれるって思ったから…」
レオナがはにかみながら言う。どーしよ、超可愛いんですけどこの娘…やベーな俺の世界のアイドルとか比になんねぇんじゃねぇか??
「わかった…返事も返していなかったし俺の素直な気持ちをここで言おう…俺はレオナとウニが好きだ…2人に好きと言われて素直に嬉しかった…けど…どちらか1人を選ぶことはできない…なぜなら…」
俺は自分の思っている正直な気持ちを伝える。
「俺はハーレムを築きたいからだ!!」
室内が静寂に包まれる。ああ…わかってた…こうなることはわかってたさ…安心してくれ…俺の気持ちはまだ伝えきっていない。
「そりゃこういう空気になるよな…でもな、さらに正直に言うと…レオナとウニと同じくらいルアとアロエのことも好きなんだよ…俺は…」
また、静寂に包まれるが先ほどとは違い今度はつかの間ことで…
「は、はぁ!?…な、なにを急に言ってるのよ!!」
「なにって…俺の正直な気持ちだろうが…」
「な…だ、だとしても!何でセンヤが私を好きなのよ!!」
「好きになるのに理由なんているのか??」
この時、内心かなり恥ずかしかったが俺としてはもう開き直ると決めていたので本当に正直な気持ちだった。そして、この俺のセリフにはさすがにルアも…
ボフッ!と急激に顔を真っ赤にする。そして…
「〜〜〜〜〜〜」
ダダダダダダ…バタン!!と何か言いたげな顔をしながら部屋を出て走り去ってしまう。
「………ってルア!?」
呆気にとられた俺は慌ててルアを追いかける。店の外に出てみるがルアの姿はどこにも見当たらない。
「くそっ…ただでさえアイツの方が素早さ高いからな…」
そんなことをボヤいているとスネークから通信がくる。
『スネーク、悪いが話は後…』
『少佐、ルアは港地区に向かってる…』
『本当か!ありがとう助かった!!』
俺はスネークに礼を言い通信を切ると港地区へと走り出す。
港地区に到着すると、そこは市場などがあり非常に賑わっていた。俺は周りを見渡しながら深青眼を用いつつルアを探す。すると、俺の深青眼が船を停める停泊場から少し離れた海に対して土台が少し突き出している場所の先端にルアの姿を見つけた。
俺はその突き出ている根本の部分まで走り、そこからゆっくりとルアの方へと歩み寄る。
「私ね…海が好きよ…海を見ていると…潮風を浴びていると…心が落ち着くのよ…」
俺がルアに近づくとルアは俺に気づいたのかそんなことを口に出す。
「俺も海が好きだぞ…魚介類が好きだからな…」
「ふふっ、食事の問題じゃない…」
「生きてく上で重要なことだろ…?」
「確かに…それもそうね…」
ルアはそれから言葉を話さず、俺もまた言葉を話さずにルアの後ろ姿だけを見る。何も会話がないそこには、ただ波の音だけが存在しておりその音が俺とルアの耳へと染み込んでいく…
どれくらいそうしていたかわからないが…その時間はルアが口を開くことで終わりを告げる…
「センヤ…私…本当にわからなかったの…センヤが私を好きな理由が…センヤは好きになるのに理由なんているのか?なんて言ってたけれど…やっぱり、少なからず好きになるには理由があると思うのよ…」
ルアの言葉に俺は、確かにな…と考えさせられる。確かにルアの言う通りだ。理由もなく人を好きになるのはおかしい…
「ねぇ…どうしてセンヤは私のことを好きになったの…?自分で言うのもなんだけど…私が可愛いから?」
「それもあるが…それだけじゃない…」
「じゃあ他に何があるの…私はウニ達みたいに胸も大きくないし…センヤも微妙だっ」
「好きだよ」
「え…」
俺は改めてルアに言う。
「俺がいつルアの胸を嫌いと言った?微妙だって?だからなんだ…俺は好きだよ、ルアの胸が…それに言っただろ?美少女なだけで充分だって…だから俺はルアの胸が好きだ…」
「え…それじゃあ…私は…それなのに何回もセンヤに攻撃を…」
「あのなぁ…それとこれとは話が別だろ…誰にだってコンプレックスはあるし…それを言われたら怒るもんだろうが…知ってるか?俺は怒られるの知ってて、それでも自分に正直でいたいから微妙って言ってるんだぞ??なら、それを怒るルアに何の罪があるんだ…?」
「アナタ…また…微妙って…言ったわね…怒られるのがわかってて…それでも…言うのね…」
「自分に正直でいたいからな…」
「ふふっ…何それ…でも…センヤらしいわ…」
ルアは笑いながらそう答える…そしてまた口を開く。
「センヤ…アナタはこの先また私の胸を微妙扱いするのね…?」
「あぁするな…確実にする自信がある…」
「私もレオナみたいに優しくないから…確実に攻撃する自信があるわ…それでも…」
〝そんな私を好きでいてくれる?″
「あぁ…これも自信を持って言える…」
「そう…なら…」
〝私もセンヤのことを好きになってあげるわ″
ルアはそう言うと振り返り俺に抱きついてくる。
俺もルアのこと優しく抱きしめた…
おぉ!…これは…次回外伝っぽいですね…。




