第13話 男は皆おっぱいが好き
タイトル詐欺じゃないです。ちゃんとおっぱいしてます。
静寂…ただただ静寂な時が流れる…
時間にして3分にも満たないが、その時間がとても長く感じる。誰も…何もできないのだ…
このままでは仕方ないので、俺は言葉を話す。
「捕らえろ…」
俺がそう言うとディアブロの4本ある腕が男共3人をアイアンクローで持ち上げる。今のディアブロは身長が3メートルくらいはあるので男共は簡単に持ち上がる。
男共は恐怖のせいか悲鳴を上げることすらできない…ただ、表情が絶望に染まっているだけだ。
「なぁ…どこまでは大丈夫なんだ…?」
俺の問いは突然すぎて周りの冒険者達は理解できない。
「どこまで壊すのは大丈夫なんだ…?誰か…教えてくれよ…?俺は昨日冒険者になったばかりだからわかんねぇんだよ…?」
「センヤさん!!」
その時、慌てて駆け寄ってきたマリンが叫ぶ。
「マリン、ちょうどいいところに来てくれた…なぁ?人のパーティの女に手を出して…しかも、胸を触るような奴までいるんだが…どこまで、痛めつけていいんだ?」
「!?…そ、それは……正直に言いますと…ギルド職員が駆けつけてしまった以上、これ以上の暴力行為は…認めるわけにはいきません…状況検証の後、こちらで処分を下す必要があります…」
「状況検証なら目撃者が大勢いる…俺の言葉に嘘はないよな?」
俺は周りの冒険者達に聞いてみるが…意を唱える者はいない。
「てことだが…この場合どうなるんだ?」
「賠償金の支払いとランクダウンになります。」
その声はドアの方から聞こえた…そこにいたのは昨日、俺達のサポートをしてくれたミレーネだ。
ミレーネはコツコツとこちらに歩み寄り俺の前で止まる。そして一礼して先ほどと同じ言葉を述べる。
「どうも、ギルドマスターのミレーネです。カトウ様…今回の場合は賠償金の支払いとランクダウンにより罰せられます。」
「ギルドマスター?その若さでか?」
「私はエルフの血が混じっているので見た目ほど若くないのですよ。あと少し訂正します…正確にはギルドマスター代理です。」
なるほど、エルフの血ねぇ…実に定番だな。耳がエルフ耳じゃないくて普通の人間の耳なのが残念だが…
「じゃあ、ミレーネ…賠償金もランクダウンもしなくていい代わりに、コイツらを痛めつけるのはダメなのか?」
「相手がそれを了承すれば問題ないですよ。」
「ほぅ…ってことらしいが…どっちがいい?俺としてはお前らをボコボコにしたいんだが…」
「…………」
「おい…沈黙は肯定だぞ?」
「ヒッ、金だ!俺は金を払う!」
「俺もだ!」
「俺も払う!」
「チッ…離せ…」
3人が賠償金の選択をしたので俺はディアブロに手を離させる。
『んだよ…ぶっ殺せねぇのかよ…』
『どちらにせよ殺しはなしだ…我慢しろ、俺も本当はブン殴りたいんだ…』
『チッ…わかったよ…』
ディアブロは少し乱暴に男共を地に落とす。
『ここにいると…ぶっ殺したくなるから俺は帰るぞ』
『あぁ、ありがとな…』
『ハハッ!気にすんなよ…それに…最後に置き土産もしたしなぁ…』
ディアブロはそう言い残し消える。
「それで…賠償金っていくらになるんだ?」
「それはこちらで判断することではありませんので…カトウ様達でお決めになってください。でも、普通はランクなどを考慮して判断します。」
「わかった…じゃあ、お前らいくら払うんだ?」
「俺は20万硬貨払う!」
「俺もだ!」
「俺はコイツらよりランクが低い…だから10万硬貨払う!」
「これはランクを考慮したとして…妥当なのか?」
「ライル様とゲイリー様は妥当だと思われます…でも、ワーニル様は確かにランクが低いですが…ウニ様の胸を触りましたよね?」
「うっ…わかった!20万だ!20万硬貨払う!」
「ライルとゲイリーだったか?お前ら30万硬貨払え…」
「は?嘘だろ…相場の額だぜ…?」
「そうだ…相場の額を払うんだぞ!」
「それはあくまで相場だ…それより高くなることの何が不思議なんだ?」
「そ、それは…」
「何ならお前らと一緒に盛り上がっていた奴らにでも少し恵んで貰えばいいさ…多分、あのままだったらお前ら以外にも手を出していただろうし…な?」
俺は周りの冒険者達に尋ねる。
「あ、ああ…少しなら出すからよ」
「俺も少し出すぜ?」
「俺もだ」
などと声がちらほら聞こえてきたので…
「わかった…30万硬貨払う…」
「俺もだ…払うよ…」
「じゃ、じゃあこれで話しは終わりだな…」
最後にワーニルが言い出したので…
「あ?何言ってんだよ…お前は40万硬貨払うんだよ…もちろん、周りの冒険者に借りずにな?」
「は?はぁ!?冗談じゃねぇ!何でそんなに払う必要があるんだよ!しかも1人でだと!?フザケんじゃねぇ!!!」
「だってお前…最初、誤魔化しただろ?」
「フザケんじゃねぇ!俺は払わねぇぞ!!」
「おいミレーネ…こういう場合はどうなんだ?」
「そうですね…私も40万の賠償金が範囲内の最高額だと思われますので、払えないとなると奴隷に身を落として働いて返すしかないですね。」
「な…奴隷だと!?そんなのごめんだ!た、頼むよ考え直してくれよ!!」
「じゃあ、3日やるから50万硬貨だ…それが嫌なら奴隷になれよ…」
「な…わかった!それでいい!やってやるよチクショウが!!」
「じゃあ、決まりだな…」
「それでは…マリン。誓約書を…」
「は、はい!」
ミレーネがマリンに指示を出しマリンが受付の方へ走っていく…そして、戻ってくる。
「はい!お持ちいたました!」
「それでは…ここに誓約していただきます。」
内容はライルとゲイリーがそれぞれ今日中に30万硬貨を支払うこと、ワーニルが今日から3日以内に50万硬貨を支払うことだ。これを守らなければ奴隷となり、奴隷商に売られ支払いが終わるまで働くことと書かれている。
「じゃあ、お前らもこれでいいな?」
あらかじめパーティチャットにて確認してはいたのだが、こう言っておかないと少し不自然だからな…
俺の問いに3人は肯定の返事をする。
それを確認した男共3人は準備のためかギルドを出る。
だが、ウニだけ少し不満そうだったので俺は個人チャットでウニに聞いてみる。
『ウニ?胸を触られたのがそんなに…いやまぁ、そりゃ嫌だよな…』
『直接ではないとはいえ…まさか初めて触られるのが知らない男性だと思いませんでした…』
『その…すまんな…本当は俺もボコボコにしたいんだが…どうしてもルールが存在しちまうから…』
俺は近づいてウニの肩をポンポンと叩いて慰める。
『いえ…センヤ様が謝る必要はありませんよ…呆気にとられていた私の不注意でもありますし…それでも…初めてはセンヤ様が良かったです…』
!?
『あ、あー…その…なんだ…俺でよければ喜んで触るが…?』
『本当ですか!じゃあ…今晩…その…触ってくださいね…?』
『!?…あ、ああ…わかった…』
『約束ですよ?センヤ様。』
ウニの顔が明らさまに嬉しい表情へと変わる。
「ウニ…急にどうしたの?」
「さっきまでと表情が違うよー、嬉しそーな顔してるー?」
「今晩、センヤ様が私の胸を触って上書きしてくれるんです!それは笑顔になりますよ…。」
ーーーーーーーーーー
先ほどとは違うが、雰囲気が変わるのがわかる…。
殺気だ…殺気を感じる…俺に向けてだ…しかも、周りの男性冒険者達からの他にも感じる…
「センヤ…どういうこと?」
「私もちょっと話が聞きたいなー?」
「いや…これは…そう!利害の一致なんだ!一石二鳥ってやつなんだよ!」
「へぇー…詳しく教えなさい」
「ウニはアイツに胸を触られたままが不満で、俺は胸を触りたい!ほら?利害の一致だろ?」
「へぇー…なら…」
ルアは俺の手を掴むとウニの胸をサッと軽く触らせる。
「これで問題ない…そうよね?」
「な…なんだと…」
「ルア様…ヒドいです…」
俺とウニはガクッとorzのように手と膝をつき崩れ落ちる…
「あははっ!そんなに不満ならー…後で私の胸揉むー?」
「本当か!?ぜガフッ!!」
レオナの神の言葉にガバッ!と顔上げ聞くが、直後にルアの蹴りを顔にくらい吹っ飛ぶ。
「アンタは見境いがなさすぎなのよ!」
「そこに胸があるんだぞ!揉んでいいって言ってるんだぞ!しかも美少女だ!断る理由がどこにある!!」
「うっ…」
俺の熱弁によりルアがたじろぐ。
何故か周りの男性冒険者達も先ほどまで殺気を放ってたというのに今だけは賛同している。やはり、男として熱いパトスが迸っているのだろう…
「で、でも…センヤは大きい胸が好きなだけじゃない!」
「否!そんなことはない!それはあくまで個人的嗜好の問題だ!美少女の胸である時点でおっぱいは至高の逸品なんだよ!おっぱいはな!触れたい【F】!揉みたい【M】!触りたい【S】!ものなんだよ!!」
おおおおおお!!!と男性冒険者達から絶大な喝采を浴びる!挙げ句の果てには…
「「「「「「F・M・S!F・M・S!」」」」」」
とまさかのFMSコールまでする始末…これもうあれだな…ディアブロ来た時の空気とか完全に忘れてるなコイツら…
「え、ええー!?な、なんなのよアンタらは異常…異常だわこんなの!!」
「ルア…これがおっぱいの力なんだよ…大きさなんかじゃない…形なんかじゃないんだ…それらを含めておっぱいなんだよ…」
「そんな…私がおかしかったの?…私の考えが間違っているの?」
ルアは先ほどの俺達のようにガクッとorzの体勢をとる。
このとき、女性陣達はおもいっきり首を横に振っていたが…ルアは下を向いていることとあまりの衝撃に気づいていない。
「おかしくなんかないさ…ただ、どんなおっぱいでも…おっぱいであることにはかわらないんだよ…」
「そう…そうなのね…」
「ああ…だからルアの微妙な胸…微乳でも…おっぱいなんだよ…」
「そうだぞー!」
「微妙でもいいじゃねぇかー!」
「中途半端で何が悪いんだー!」
「微乳!微乳!」
と俺の言葉に男性冒険者達が賛同してくれて言葉を投げる。そして誰が言ったのだろうかいつしか…
「「「「「「微乳!微乳!微乳!微乳!」」」」」」
とギルド内はルアに対して壮大な微乳コールに包まれる。
「アンタ達…」
ルアの瞳から感動したのか涙が一滴溢れる。
わかるぞ…ああ…俺も感動して涙が出そうだ…
「あ、アンタ達……ん?あれ?…」
ルアはスッと立つが、その顔に感動した表情はない。
そのルアの雰囲気にギルド内は徐々に静まり…
「ねぇ?アンタ達って…結局のところ…私の胸を微妙だと思ってるってことよね…?」
シーーーーーーーーン
ギルド内は完全に静まり返る。誰も何も言わない…いや、正確には言えないのだ…そのルアから発せられる雰囲気によって…
「ねぇ?」
サッ!
「ねぇ、どうなの?」
ササッ!
ルアの問いかけに男性冒険者達は顔を逸らす。あ、あかん…これ俺に聞いてくるやつだ。
「ねぇ…センヤ…どうなの?」
ほらやっぱり!やベーどうしよ…ってなんで他の男性冒険者共は「あとは頼む…」とでも言いたげな表情してんだよ!?結局他人任せじゃねぇか!!
くそ!覚悟を決めろ俺…俺は大丈夫…俺なら大丈夫だ!逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…
「どうなの…セ・ン・ヤ?」
「微妙だと…思ってます…!」
「死になさい…」
ルアの雷魔法を喰らい俺は倒れる。
へへ…でも正直に言ったぜ俺は!
倒れていく途中顔を横にして見えた光景は…
bbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb…
と男性冒険者達が全員からの「お前は最高の仕事をした」と言わんばかりのサムズアップだった…
俺も嬉しくなり、d!とサムズアップして意識が落ちる…
〔センヤ様の意識が失なわれたので、ここからは私ウニが状況説明いたします。〕
「で…アンタらはどうなのよ…?」
センヤ様が意識を失った後…ルア様は男性冒険者達にそんな言葉を言います。ですが…
男性冒険者達はなぜか皆さん覚悟を決めたような顔をしています…どうしてでしょう?
「お前…怖いか?」
「ああ…自分の気持ちに嘘を吐くのが怖いね…」
「俺は…いつからこんな臆病になっちまったんだろうな…」
「やっぱ胸張って正直に生きたいよな…」
などと口に出します…
「さっきまでとは随分と表情が違うじゃない…何があったの?」
「何、アイツが…センヤが大切なことを教えてくれた…それだけさ…」
「自分に正直でいることの大切さをな…」
「そう…ならもう一度聞くわ…どう思ってるの?」
男性冒険者達は顔を見合わせ誇らしげに笑い言葉を放ちます。女性陣達はいつの間にか壁際に寄っています。
「微妙だー!俺は微妙だと思ってるー!」
「お前より俺の方が微妙だと思ってるぜー!」
「微妙だ!微妙!」
「いや微乳だ!」
男性冒険者達は各々自分の感情をさらけ出し…
「「「「「「微乳!微乳!微乳!微乳!」」」」」」
と本日まさかの2度目の微乳コールがギルド内に響き渡ります。…うぅ…ルア様が可哀想です…それに絶対怒ってますよ…だって何か雰囲気がマズイです…
「…シーハザード」
ルア様の両手から大量の水が出て男性冒険者達をまとめて吹っ飛ばします!その攻撃で冒険者達が皆気絶しますが…なぜか皆さん良い表情をしていました…
わかったかと思いますが…センヤが前半やっていた口調や態度のキャラ作りはこの瞬間崩壊しました。おっぱいの前ではやはり自分に正直になってしまうのでしょうね…
此度の戦により男性冒険者達の株が急上昇したセンヤですが…その反面、一部を除く女性陣の株は急降下してます…。
ここだけの話になりますが…昨日までのセンヤはまだ冒険者になっていないにもかかわらずDランクの冒険者であるリードを軽くあしらった度胸と強さ…怪我をしたマリンを手当てする優しさから…密かにギルドの女性陣やあの場にいた女性冒険者達からかなりの好意を持たれていたりしました。
まぁ、消えましたがね笑