絶体絶命ッ!?
生まれてから三年経ったようだ。
この世界では誕生日を祝ったりしないので、三日前に母 ミリアリアに「もう3歳になったのね」と言われるまで気づかなかった。
ちなみに母上は鑑定で見たところレベルが3で魔力は23、スキルは【水魔法(熟練度4)】のみと低く感じたがメイドも似たような感じだったのでこの世界の平均的なステータスは低そうである。
さて、本題を話そう。
俺はこれから外に行こうと思う。
しかし、親がそれを許してくれるか。
「母上、外に行ってもいいですか?」
「あらあら、ジャクソン君よりずいぶん遅いのね。そういえば離乳するのも………」
許可はあっさりと出た。
ついでに言えば、俺の離乳が遅かったのは離乳食が不味かったからであり、決して胸がどうのとか関係ない。
ほ、本当だよっ!
「魔の森には入っちゃダメよ〜」
「魔の森」とは我がシャテンドゥ伯爵領が属しているアルーバル王国、アルーバル王国の南にあるファステバル帝国、東にあるレイテンバル伯国、北にあるカイゼル公国、魔国 デビリンゼルに囲まれたこの世界最大の森である。中心部にはこの世界最強の龍「八皇龍」の一匹である「黄金龍 ゴルディアス」がいる、と調査に行った冒険者に報告されている。
「は〜い」
よし、魔の森に行くか!
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魔の森に着いた。
【全幻覚】の幻覚で姿を消していたので誰にも止められることは
なかった。
とりあえずもう【全幻覚】は解除する。
スゥ
さて、ここからどうするか。
レベル上げと戦闘経験を積むために来たが魔物の位置なんてわからないからなー。
「ギギィ、ギィ」
「ギギィ、ギギギィ」
と思ったら幸運な事にいかにもゴブリン、という感じの緑色の小人が近づいてきているのが見えた。
「レベル8と6、カスだな!フハハ、新技の餌食にしてくれるっ!迷宮ッ!」
『迷宮』とは、俺が三年の間に手に入れた【空間魔法】の技能【亜空間作成】に【全幻覚】を組み込んだ事によってできた、対象を偽物の世界に閉じ込める技である。
今回は亜空間の中で幻覚で殺し続ける様にしたので俺に経験値が溜まるというわけだ。
「ガガッ!?ギィィっ!」
ゴブリンの周りを黒い何かが覆い、ゴブリンを取り込んで消える。
ゴブリン共は所詮はレベル8と6なのであまり経験値に期待していない。
次を探す事にする。
……………
………
……
…
「おっ、あれオークか?迷きゅ「ブヒィッ!」何ッ!?」
オークを発見し、『迷宮』に閉じ込めようとしたところ、横から別のオークが剣で斬りかかってきた。
ヒュッ
「来い、サクリファイスッ!」
カキィン
呼び出されたサクリファイスでオークの剣を受ける。
「帯電、からの千鳥流しッ!」
バリバリッ
「!?」
剣に電流が流れることでオークは身体が麻痺したため動きを止める。
「セイッ!」
ザシュッ
時間が無いので迷宮に取り込まずに斬り殺す。
最初のオークがいた方を見ると、奇襲したオークが死んだのを見て逃げようとしている。
「逃がすか!電動飛翔ッ!」
ヒュンッ
三年の内に手に入れたミカンでマッサージしそうな【帯電】の技能で全身に電流を纏い、加速する。
「ブh「遅えよっ!」」
ザシュッ
最初のオークの首を跳ねる。
「ふぅ、結構危なかったかもしれん。そろそろ帰るべきか?」
そう思い、引き返そうとした瞬間、
「「「ブヒィッ!!!」」」
俺のいる場所の両脇から三十数体のオークが現れる。
そして、
「ブブ、ブヒヒィィイイッッ!!!」
それらのオークの先頭には一際大きい鎧を身に付けたオークがいた。
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種族 オーク・ジェネラル
レベル53
魔力 5783/5800
スキル
剣術(熟練度926)
氷魔法(熟練度724)
【魔装術】
指揮(熟練度663)
加護
[ブリーゼルの加護]
称号
[王の器]
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