vs切り札バレ済み神 5
ミストは右手から織晴による「黒雷速分裂突き」を放ち、左手で破壊の魔剣を振り下ろす。
あのタイミングでスキルが進化するなど予測できるわけがない。
完全に不意打ちであり、通常の状態のアンドロメダであったら全身が穴だらけになり、頭を割られてこの戦いは終わっていただろう。
しかし、【天鎖の星姫】【大海之怪鯨】の全力を引き出している状態のアンドロメダは、ミストが斬りかかってから認識し、反応してみせる。
キィイン
ガシッ
シャラララッ
右の水のヒレが破壊の魔剣を受け、同時に織晴を左手で掴む。
掴んだ部分が変形してアンドロメダの左手をズタズタにするが、アンドロメダは気にせずに左手に巻きついていた鎖を伸ばし、織晴を包み込んでいく。
同時にアンドロメダの左手が復元の光に包まれる。
ミストは即座に鎖の侵食が進んでいる織晴から手を離す。
織晴が完全に鎖で包み込まれる。
これによって、織晴は変形ができなくなる以前に武器としても使えなくなる。
グワンッ
水のヒレで防がれている破壊の魔剣が「破壊の咆哮」を放つ時の口を開いて生き物のような動きでアンドロメダに襲いかかる。
ガッ
左の水のヒレが破壊の魔剣の噛みつきを防ぐ。
それ以後、ミストは右手に【雷神化】を使い、右手、破壊の魔剣、大小三枚の翼を使い、アンドロメダは二枚の水のヒレ、水の尾、鎖を巻きつかせた両手を使って戦った。
鎖を巻きつかせた手は鎖で防御できる上に触れた直後に鎖を巻きつかせる事ができる為、中々侮れない。
ミストには「千手モード」、アンドロメダには水球と鎖という手数を増やす手段はあったが、どちらもそれらを使わなかった。
それらを使ってしまえば相手も手数を増やし、どちらかが万策尽きるまで戦うハメになり、勝ったとしても消耗した状態な為、魔の森のある程度の力を持った魔物であれば敗北する可能性があるからだ。
故に、ミストもアンドロメダも余力を残した状態で勝つために限られた手札で攻防を繰り広げる。
シャラララッ
カーンッ
突如、均衡が崩れる。
アンドロメダの右手に防御された破壊の魔剣が、鎖を巻きつかせまいと離れた際に不意に伸びた鎖によって真上に弾き飛ばされたのだ。
「油断しましたねッ!」
アンドロメダの右の水のヒレが防御する物のなくなった左側に襲いかかる。
(くっ……!)
三枚の翼と右腕が水のヒレを受け止める。
(まだだ!)
ドッ
アンドロメダが攻撃を加えようとした時、ミストの服の下から鉄球が服を破って撃ち出される。
「悪足掻きを………ッ!?」
シャラララッ
アンドロメダは左手の鎖を網状にして鉄球を弾く。
ただの鉄球であればおそらく受けても問題なかったが、その鉄球は赤黒いオーラを纏っていたからだ。
ダンッ
ミストがさらに一歩踏み込む。
「調子に乗りすぎです!」
アンドロメダの左の水のヒレがミストに放たれる。
『今だ!やれ!』
「ハイッ!」
ミストが念話でそう言うと、ミストとアンドロメダのどちらでもない声が響き、直後に白い閃光が左の水のヒレを撃ち抜き、アンドロメダの左脇腹に突き刺さる。
左脇腹に復元の光が集まっていく。
「なッ!?新手!?
……ですが、まだです!」
ボッ
水のヒレよりも威力の高い水の尾がミストに放たれる。
(歪曲!太陽竜之鱗、展開!)
ガクッ
キキッ
水の尾は歪曲で軌道を僅かに逸らされ、【太陽竜之鱗】でミストの斜め上を通過させられる。
ミストはおもむろに左手を開く。
(来い、サクリファイス!)
ヒュンッ
宙を舞っていた破壊の魔剣がミストの左手に召喚される。
アンドロメダが驚愕して目を見開く。
「しまっt…」
ザシュッ
破壊の魔剣がアンドロメダを右肩から左斜め下に通過する。
ボゥ
アンドロメダの体が光になって消えていき、色違いの半球が二つ残る。
アンドロメダの体が完全に消えた直後、大量の謎の声が聞こえ始める。
《中級神 アンドロメダを倒しました》
《経験値が一定に《経験値が《経験値《経験《経《経《経《経………
《称号[神殺し]を手に入れました》




