vs切り札バレ済み神 2
ジャララララララッッ
数十の鎖がアンドロメダから放たれる。
「あー、歪曲で……無理か」
パリィイ
瞬時に形成された左右8本の砂鉄の腕が【雷神化】され、それらの鎖と激突する。
ガガガガガッッ
少しずつ鎖が別方向へ押し込まれて行く。
「……やりますね。では」
フォンッ
そう言った直後に上から1本の鎖がミスト目掛けて振り下ろされる。
「【太陽竜之鱗】」
ガィンッ
鎖は展開された【太陽竜之鱗】で防がれる。
「ほぅ………黄金龍のスキルに似てますね。
ですが、本命はそちらではありません!」
フォンッ
フォンッ
フォンッ
フォンッ
ミストに左右、両斜め上から鎖が襲いかかる。
(「雷神の腕」を増やすのは面倒臭いな……)
フッ
ミストは対処について考えた末に空間転移を使う。
直後、アンドロメダの背後からミストが現れる。
「空間転移……いや、近距離転移ですか。
残念ながら予想済みです」
ジャラララッ
数本の鎖がミストに放たれ、ミストの胸部が貫かれる。
しかし、アンドロメダはおかしな事に気付いた。
「手応えが無い……!?」
そう、操っている鎖から肉を貫く感触を感じないのだ。
狼狽するアンドロメダを横から眺めながらミストはほくそ笑む。
(幻覚だよ、それも)
「死拳!」
ドッ
何もない風にしか見えない右側から、感じた事のない衝撃がアンドロメダを襲う。
ドクン、ドクン………
ミストの鼓膜をアンドロメダの心音が消えていく音が振るわす。
(……勝った。
やっぱり神にこの技は有効なのか?
というかさっきの死亡フラグ……)
……ドクン、ドクン
"死亡フラグではないか"
そう心の中で思った直後に心臓が震える音が再び聞こえ始める。
「何ッ!?」
「……神をそのような状態異常の類で殺す事はできません」
ジャラララララララッッ
ドスドスドスドスドスッッ
「ガッフゥゥウウウウウッッ!!!」
四方八方から襲いかかった数十の鎖が正真正銘ミストの体、その腹部を貫く。
5つの幼子が腹部から鎖を生やしている様には非常に同情心を誘われる、ショタコンだったら狂死しそうなくらい。
「……【完全顕現】を使わなかったという事は元は「下級神」か、転生する時に持って行かれたのでしょうか?
まぁ、知っても仕方の…」
《【天鎖の星姫】の一部の【強奪】に成功しました》
《【擬似 天鎖】を手に入れました》
アンドロメダを原因不明の虚脱感が襲う。
ほぼ同時にミストが顔を上げる。
「保険をゴフッ…かけておいてよかった」
ミストは血を吐きながらそう言い、「死拳」を放った時からアンドロメダの右脇腹に触れていた自身の右腕でアンドロメダの服を強く掴む。
(ちょっと傷がヤバいな。全然苦戦しないのに念を入れて【再生】と【生命力強化】奪っといてよかった。空間転移!)
フッ
ミストとアンドロメダは【空間転移】で近くにあった茂みの中に転移した。尚、腹部を貫いていた鎖は転移されずに元の場所に置いて行かれた。
「こ、ここは……!?」
バッ
「擬似 天鎖!」
シャラララッ
「ぐっ!」
ミストは呆然としているアンドロメダを、飛び退きながら先ほど奪った【擬似 天鎖】で縛り、苦悶の声を上げる彼女を無視して着地した場所に手をついた。
「くらえ!母なる大地ッッ!!!」
ズゥウン
元から膨大な魔力がそこそこ長時間の【魔力鍛錬】でさらに高められ、地面に流し込まれる。
ボボボボボボボボッッ
「な、何ですか……ッ!?」
直後、雑草や木々がとてつもない速度で成長し始めた。
【近距離転移】:一定距離以内ならどこでも瞬間移動できる。
【空間転移】 :視界の中ならどこでも瞬間移動できる。




