冒険者ギルド 3
『結局、なんで私のステータスも変わってるんですか?』
『俺の持ってるスキル【究極偽装】が【偽装】の上位互換のようなもので、自分以外にも【偽装】が使える。肩触った時に使った。それだけだ。それと冒険者の時は俺のことは大佐と呼べ』
『わかりました』
「眷属パス」でひっそり会話する。
ミストは【空間収納】に、ララは自分の懐に、それぞれギルドカードをしまう。
それを確認して受付嬢が話し始める。
「それでは説明をさせて頂きます。
まず、冒険者にはランクがあります。種類は下から順にF、E、D、C、B、A、S、そしてXまであります。魔物も同じようにランクがあります。ランクを上げるには自分の強さをギルドに証明しなければならないので高ランクの魔物を討伐するのもいいでしょう。また、冒険者は自分のランク以下の依頼しか受けることはできません。
Xランクは"神と同等の強さを持つ存在である事"が条件なので証明が難しく、この国にいるのは『天剣』のゼルスラ・エレメリアだけのため、実際の最高ランクはSと考えてもらって構いません。
次に、魔物の討伐の依頼は証明部位、またはその死体が無ければ達成できません。
次に、依頼を受注して一週間達成できなかった場合は依頼のランクに応じた罰金、払えなければ奴隷として売られます。
最後に、ギルドは冒険者同士の争いには関与しません。
何か質問はありますか?」
「受注していない依頼を偶然達成したらどうなりますか?」
「依頼を達成した方に依頼料の半分が支払われます。受注した方がいた場合も同様です。また、その逆の場合は罰金免除と依頼料の1割が支払われます」
「その依頼のランクが自分のランクより高かった場合はどうなりますか?」
「依頼料は払われませんが、強さの証明になるのでランクが上がる可能性もあります。他には質問はございませんか?」
ネタが無くなってきたしテンプレを誘発させてみるか。
「あー、Sランクの魔物って何がいますか?」
「主なのはオークキング、オーガキング、"龍種"ですね」
「ギャハハハ!お前みたいなガキにSランクの魔物が倒せるわけないだろ!身の丈にあったFの魔物について聞きな!」
「おいおい、今のはあのガキがエリザさんにカッコつけるために考えた冗談だろ。そこは黙ってやらないと…ブフッ!」
暴れていた大男とは別の机の酒飲み冒険者の声が飛んでくる。
なんか狙って言った事だけどムカつくな。
「ところで、強さの証明は倒したのが人でもいいんですか?あそこの机の方々とか」
「えっ、はい」
「ハァァ?何言ってんのかわかってるのか、ガキ」
「うわあ、マジで言ってんのか。どんだけ身の程を知らねえんだ、こいつ」
ミストのわかりやすい挑発に反応する冒険者二人組。
「マジですよ。むしろ、あなた方は何を根拠に僕の身の程を知った気になってるんですか?」
「ほお、生意気だな。これは現実を教えてやらんといかんようだな」
二人組の顔に傷のある男が立ち上がる。
「いや、あなた如きの知ってる現実なんて中身スカスカっぽいんで遠慮しておきます。間違った知識を覚えると修正が大変なので」
「テメェッ!
……上等だ、表に出ろ」
傷のある男が激昂してギルドの出口に向かって歩き出す。
『今の「あなたは下等ですね」って言うべきだったかな?』
『ヒェェエエエッ!絶対に僕を巻き込まないでくださいねッ!』
『ごめん、もう既にお前の声で色々吹き込んじゃってるわ。テヘペロ?』
『いやぁぁああああッッ!!!』




