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異世界に行く羽目になった死んだフリの天才  作者: ブルータス
成長編
28/68

悪い事の後の良い事の後にはもっと悪い事がある。

スキルを奪うべく、ゴブリンナイトが入っている「迷宮」を開く。


ズズゥ


「………」


黒いモヤの中から、憔悴しきって無言になっているゴブリンナイトが首だけ現われる。

その目は完全に死んでいた。


うん、こういうのを見ると罪悪感が込み上がって……こないな。

憐れみすら感じないな。何故だろう?

まぁ、憐れむのはそうする事で自分は違うと安心する為らしいから、その分俺は健全で純粋なんだな。

は?純粋(笑)?消し飛ばすよ?


ギャァァアアアアアア


……まぁ、今消えたレッドカードの並列思考4号のことは置いといて、鑑定!



________________________________


種族 ゴブリンナイト

スキル

剣術(熟練度 672)


魔力強化(熟練度 528)

【身体強化】【感覚強化】


________________________________



おぉ、ゴブリンのくせに【魔力強化】持ってやがる。

たぶんゴブリンキングが教えたんだろうな。

でも【魔力強化】って俺【電動飛翔】あるから使わないな。

まぁ、ステータス奪ってるし、経験値が減ったり魔石のサイズとか質とかが劣化するかもしれないから要らないのは奪わないでおこう。

前から欲しいと思っていた【剣術】を頂戴しておく。


「さよなら」


「ギ…」


ズズゥ


また「迷宮」に閉じ込められると気づいたのか、ゴブリンナイトは暴れようとしたが、抵抗も虚しく黒いモヤに引きずり込まれて行った。


次にゴブリンメイジを出す。


ズズゥ


「ギギィイイイッ!」


ヒュンッ


パシュゥッ


驚いた事に、ゴブリンメイジは首が出た瞬間、何かを言って魔法を放ってきた。

織晴にあっさり防がれたが。

とりあえず、危ない(笑だけど)なので口を砂鉄で塞いでおく。

首以外の部分を出すのも考えたが、「◯◯の◯◯」という風に上手く機能しない事があるので、やめておく。


べ、別に苦悶の表情が見たいからじゃないんだからね!

確実性を重視してるだけなんだからね!


男のツンデレはキモいが、3歳児がやると「反抗期で片意地張ってる」ように見えて微笑ましい気分になる事に気づいた。

これは大発見なのでは?

……内容はアレだが。


________________________________



種族 ゴブリンメイジ

スキル

斧術(熟練度 172)


風魔法(熟練度 572)


土魔法(熟練度 287)


魔力循環(熟練度 432)

【魔力回復】【魔力鍛錬】


________________________________



意外にスキルが多い。

おそらくゴブリン時代のスキルが【斧術】で、ゴブリンメイジになって手に入れたのが魔法と【魔力循環】なのだろう。

【魔力循環】は家にある本にも載っていた気がする。


魔力を体の中で循環させる事で、空気中の魔力(初耳)を取り込む(引きずり込む?)のが【魔力回復】、不純物(正体不明)を押しやって密度と濃度を上げるのが【魔力鍛錬】らしい。

両方同時にやる事もできるようだ。


【土魔法】と【魔力循環】を奪う。

【魔力循環】は習得する手間が省けたからラッキーだった。


その後、ゴブリンメイジを「迷宮」に戻そうとしたが、


「あっ、死んだ」


足の怪我が元で出血死したらしい。


もしかしたら「指磁砲」をくらったゴブリンも死ぬかもしれないので、全員一気に出してスキルを奪う事にする。



-------------------------



幸い残りのゴブリンは全員死なずにスキルを奪えた。


驚きな事に、一番最初に捕らえたはぐれゴブリンは、【剣術】【火魔法】【魔力強化】【魔力循環】を持つハイブリットだった。

もしもこのハイブリットゴブリンが他のゴブリンより若いゴブリンなら、ゴブリンキングが自分の配下の通常ゴブリンに魔法や【魔力循環】、【魔力強化】を教えるようになったのは最近だと思われる。

だとしたら、ここのゴブリンを手段を問わずに全滅させたのはいい判断だったと思われる。



次にオークの解体、というか胸を切り開いて魔石を抜き取る作業をした。

ほとんどは透明だったが、一個だけレアそうな黒気味の赤茶色の魔石があった。

鑑定では〈溶岩の魔石 下級〉と出ていて、喜びのあまり「うおっしゃぁぁあああああ!!!」とか叫んでしまった。


そしてお楽しみ。

とうとうオークジェネラルである。

だが、最初から嫌な予感がしていた。

織晴の針型触手の盾にした時に全身穴だらけになっていたのである。


案の定、心臓の辺りに穴があり、魔石は無かった。


………気を取り直して次に行く。

お次はゴブリンキング!

しかも黒炎を使っていた!

これは当たればデカい。


胸から取り出されたのは、


〈黒炎の魔石 上級〉


拳大の大きさの黒気味の赤黒い魔石。

体が震える。

俺は大声で叫んだ。


「よっしゃぁああーーッッ!?」


ゾクッ


その直後の事だった。

あり得ない程の寒気がした。

今までとは格の違う危険に対して、【超反射】が【単独近距離転移】を勝手に発動させようとする。


しかし、【単独近距離転移】が発動する前にーー


ーー太陽が落ちた。


ボッッゴーーーーン


ゴブリンの住処だった瓦礫の山は再び光に飲み込まれた。


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