ミストの本気
ASを前に敗走したゴブリンが逃げ込んだのは………村?集落?(村と集落の違いがわからん)のような場所だった。
それの入り口には門番が居て、敗走ゴブリンは入り口の門番ゴブリンに何事か伝えて中に逃げ込んでいった。
あ、チクったんだな。
なんか直感的にわかったわ。
まぁいいや、アm…ミスト、行っきまーす!
ズッ ゴーーーンッ
何かに驚き慌てていた門番が、吹っ飛ぶ。
俺が【電動飛翔】を使って飛び蹴りをかましたのだ。
空中でこんな動きができた事で【体術】を手に入れた事による効力がよくわかる。
とりあえず、大人数を相手にするのは面倒なので一掃する。
「来い、サクリファイス!破壊の咆哮、10億ッ!」
破壊之魔剣の亀裂が今までで最大に開かれ、そこから直径10メートル程の光弾がゴブリンの住処に向けて放たれる。
轟轟ッ
炸裂した光弾がゴブリンの住処を飲み込む。
《経験値が《経験値g《経験t《経けn《経《経《経《経《経《経《け《け《け《け…
謎の声によって凄まじい量のレベルアップが知らされる。
「一体何体住んでたのやら………」
ミストはそう言いながら、宝探しをするべく瓦礫と化したゴブリンの住処の成れの果てに向かって歩き出す。
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ガッ シャーーーンッ
宝物庫的な物を探して瓦礫を漁っていると、何かが崩れる音がした。
近くの光景に変化は無いので、音の発生源は遠いようだ。
瓦礫漁りを続ける。
「お、ミスリルの短剣ッ!こっちには……アダマンタイトの槍ッッ!!!すげえッ!
ゴブリンって意外に強いのかn…」
「ガアアアアアアアアアッッ!!!」
いい感じの物が見つかった時、凄まじい声量の叫び?のような嘆く感じの声が耳に入る。
声の方を見ると、上位種よりもデカいゴブリンがこちらを睨んでいた。
怒りの中に知性を感じるその目が気になって鑑定してみた。
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種族 ゴブリンキング
レベル36
魔力 57217/57217
スキル
交渉術(熟練度 1138)
剣術(熟練度 1393)
槍術(熟練度 692)
短剣術(熟練度 528)
体術(熟練度 726)
斧術(熟練度 617)
大剣術(熟練度 582)
弓術(熟練度 468)
双剣術(熟練度 1843)
風魔法(熟練度 382)
・
・
・
隠蔽(熟練度 318)
魔力循環(熟練度 816)
【魔力回復】【魔力鍛錬】
固有能力
強欲(熟練度 1026))
【強奪】【降臨】【黒装】【不完全顕現】
王威(熟練度 582)
加護
[エリスの加護]
称号
[七つの大罪][転生者][ゴブリンの王]
隠し称号
[復讐者]
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スキル多いな。
お!こいつ転生者か。
だとすると【強欲】は殺したら奪えるかもしれんな。
いや、もしかしたら【全幻覚】でなら殺さなくても奪えるかもな。
転生者を殺すのは神の思惑に乗せられてるようで嫌だし、そうである事を願おう。
にしても[復讐者]か………
たぶん「エリス」という神がギリシャ神話で"招かざる客"的な暗いヤツ扱いなのと関係があるんだろうな。
「ガアアアアアアアアアッッ!!!」
ゴブリンキングが腰につけた二本の剣(ミスリル製)を抜いて斬りかかってくる。
キィィン
ミストはそれらをサクリファイスで弾く。
「強さは確実にオークジェネラル以上、もしかしたら織晴より強いかもしれんな。だが、」
スッ
ミストは左手をゴブリンキングに添える。
「スゥ、発…」
ダッ
ゴブリンキングはとっさに何かを感じ取り、飛び退く。
しかし、ミストの顔に浮かぶのは嘲笑うような笑み。
「残念、こっちが本命だ。砂縛天星」
「ギィッ!?」
いつの間にかゴブリンキングに付着していた磁力球が砂鉄…いや鉄を引き寄せる。
それによって辺りの瓦礫から剣などの鉄製の武器、フライパンなどの鉄製の調理器具がゴブリンキングに纏わり付いていく。
「やはり実力に対して経験が少ないな。左手で触れた時に付けたんだが、気づかなかったか?」
「ガアアアアアアアアアッッ!!!」
得意げに解釈するミストに、吠えるゴブリンキング。
仲間の仇を取れないで果てようとする事を理解し、周りの物に圧迫されながらも吠え声がさらに大きくなった時、ゴブリンキングには聞こえた。
レベルアップやスキル取得などの成長を知らせる謎の声を。
《【強欲】が覚醒しました。【強欲】は【強欲之王】に進化しました》
それを聞いてゴブリンキングは歓喜する。
そして発動する、進化した力を。
「ガガアアアアアアアアアアアッッッ!!!!(完全顕現ッッッ!!!!)」
ボボボッ
ゴブリンキングの全身から黒いオーラが吹き出し、背中から漆黒の翼が二枚形作られる。
二枚の黒い翼は周りの物を吹き飛ばし、ゴブリンキングに付いている磁力球をかき消す。
ゴブリンキングのステータスとゴブリンキングを交互に見てミストは顔をしかめる。
「ゴブリンのくせに主人公みたいな御都合主義とか調子乗りやがって!……だが好都合だ。お前を倒せばそれが手に入るんだからなッ!不完全顕現!織晴、『千手モード』!雷神化!」
ミストからもゴブリンキングよりも弱いが黒いオーラが吹き出し、腕輪となっていた織晴が背中に張り付き、変形し始める。
そして、
パリパリィ
ミストは背中から黒い翼を飲み込む程の大量の黒い神雷の腕を生やした姿になった。
その姿は禍々しく、激昂していたゴブリンキングも微かに怖気付く。
「『千手モード』と言ったが、練習不足で三百ちょっとだ。魔力消費が激しいから短時間で決めさせてもらう、ぞッ!」
ヒュッ
「ギッ!?」
ブワッ
ミストはゴブリンキングに接近し、ゴブリンキングを翼ごと「黒雷神の千手」で包み込む。




