それ行け!アイアンm…アイアンスーツ!
ググッ
ギュッ
鉄塊が変形し、関節の部分に節目のある親指のような物ができる。
カチャカチャ
「よし、完成!」
ミストは直にそれを、親指だけが無い左手の凹凸部分にはめ込んだ。
それにより、全身銀色のどっかで見たことのある等身大の人形ができあがる。
「おお、感動的!まんまアイアンマンだ!よーし、飛べ!アイアンm…いや、ASッ!」
ASと名付けられた鉄の人形が【磁魔法】の磁力で操られ、地上10メートル程の所まで飛び上がる。
「弾丸装填、指磁砲ッ!」
カシャッ
ヒュッ
ASは腕を肩まで上げ、手を縦向きにして開き、中が空洞になっているASの指、両手合わせて10本の第二関節に反発の磁力、第一関節に吸引の磁力を発生させ、第一関節と第二関節の間に装填されたパチンコ玉サイズの鉄球を飛ばす。
ぶっちゃけた話、レールガンが何なのかわかってないが、「磁力で飛ばしてるからいっか!」という感じで名前が付けられた。
左右に放たれた十発の弾丸は真っ直ぐ射線上にいた物に飛んでいく。
ドッ
「ピッ!?」
上向きに飛んでいった親指、人差し指の弾丸は、三発は空の彼方に消え、一発だけ鳥に命中したようだ。
ドッ
「ギィぃ!?」
そして、若干下に向いていた中指と普通に下に向いていた薬指、小指の弾丸は、五発は木や岩に当たり、一発は生き物、声からしてゴブリンに当たったようだ。
声がした方を見ると、見たことの無いゴブリン4体と通常のゴブリン20体がいた。
【鑑定】によれば、「ゴブリンナイト」「ゴブリンメイジ」「ボブゴブリン」と言うらしい。
折角だから彼らでテストをする事にする。
ASを地面に降ろし、次の弾を装填させ、ゴブリン達に向けて撃たせる。
カシャッ
ヒュッ
ドッ
「「「ギィィ!?」」」
8体のゴブリンとボブゴブリンⅠが弾丸を受けて倒れる。
それを見て、ゴブリンナイトとボブゴブリンⅡがASに向かって走り出し、ゴブリンも後ろに続く。
ドッ
何かがASの体を揺らす。
仕草からゴブリンメイジの【風魔法】と思われる。
「ギィィッ!」
「ギィ!」
その直後、ASに接近したゴブリンナイトとボブゴブリンが斬りかかる。
が、
キィィン
斬れない。
むしろ彼らの剣が少しだが欠けたのが【鑑定】をしていてわかった。
ガチャンッ
ASの背中の部分が開く。
そこから出てくるのは6つの短い閉じた傘のような物、"俺が作り出した武器"、フェンニルだ!
ちょっとアイディアを頂いているが、"俺が作り出した武器"なのだ!
ヒュンッ、ヒュッ
カシャッ
ヒュッ
6つのフェンニルは縦横無尽に動き回り、ゴブリンナイトとボブゴブリンに先端から「指磁砲」をお見舞いする。
ドッ
「「ギィィぃ!?」」
「迷宮!」
ズズッ
ミストは全身に鉄球を浴びたゴブリンナイトとボブゴブリンを捕らえる。
それを見たゴブリン達は我先にと逃げ去る。
ASは通常のゴブリンと一緒に逃げ出したゴブリンメイジに狙いを定める。
ガチャンッ
ASが膝を曲げると皿の部分が銃口のようになり、
カシャッ
ヒュッ
「指磁砲」よりも威力の高い「磁大砲」が放たれる。
バチュンッ
「磁大砲」を受け、ゴブリンメイジの足が爆散する。
「迷宮」
ズズッ
ミストは倒れているゴブリン、ゴブリンメイジを捕らえ、ASを【空間収納】で収納し、【虚飾】の技能【究極偽装】で気配的なものを空気のようにし、逃げたゴブリンの追跡を開始した。




