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異世界に行く羽目になった死んだフリの天才  作者: ブルータス
成長編
23/68

不幸な政治家 2

ステータスの種族の所に「ゴブリン」とあったので、緑色の肌で醜悪な顔の人間のような生物の正体は「ゴブリン」というらしい。

生まれる種族が人間ではない事にかなり驚いたが、生前と顔や体型が同じになるわけが無いので、種が変わるのもわからなくもない。


それから、俺はゴブリンの言葉を学び、常識を学んだ。

言葉を学んだ事で、自分は「魔の森」と呼ばれる場所の東北東部のゴブリンのほとんどが住んでいる集落の幹部の子だった。


一ヶ月でゴブリンは大人になるらしいので、俺は無邪気な子供として、警戒されない一ヶ月の内に強そうなゴブリンに接触し、【強欲】の技能【強奪】を使ってスキルを増やし、熟練度を高めていった。

この際、父親が集落の幹部である「ゴブリンナイト」だった事が幸いし、我が家にはたくさんのゴブリンの上位種族の者達が来た。


一ヶ月経ち、大人として隊長格の「ボブゴブリン」に率いられ、魔の森に初めて狩りに出かけた時、人間、それも冒険者と呼ばれる者達に出会った。

もちろん、出会ったからには交戦しなければならず、止むを得ず、ボブゴブリンが率いる俺たちの部隊10人は5人組の冒険者のパーティーと戦う羽目になった。

ほとんどが大人になりたての経験の少ないゴブリンだったが、ボブゴブリンの隊長と俺が一人ずつ抑え、ベテラン2人が1人、なりたてが3人ずつで1人を相手し、かろうじて勝利を収めた。

この冒険者との戦闘で、俺は運良く【鑑定】のスキルを手に入れ、その後のスキルの強奪が効率的になった。


半年後、ボブゴブリンに進化し、一部隊の隊長となっていた俺はさらなる力を求め、同調する「ボブゴブリン」、「ゴブリンナイト」、「ゴブリンメイジ」と共謀し、集落の長である「ゴブリンキング」に戦いを挑んだ。

ゴブリンキングの側近である上位ゴブリンを他の者に任し、俺はゴブリンキングに一騎打ちを挑み、見事勝利し、他の上位ゴブリンとの話し合いの末に長となった。


それから三ヶ月後、配下のゴブリンを率い、近くのオークやオーガの群れと戦いまくった俺はボブゴブリンからゴブリンキングへと進化した。

俺がゴブリンキングへと進化した事で集落の勢力はさらに大きくなり、オークやオーガは危機感を抱き、個々の群れの数を十数体から三十数体へと増やした。


ある日、我々の集落の西にナワバリを持っていたオークジェネラルが率いる群れが消失した。

配下のゴブリンが喜ぶ中、俺は何故か喜ぶ事はできなかった。


次の日、俺の甥にあたるゴブリンが幹部である父親に反発し、集落を出ていった。

俺は甥を心配し、信用しているゴブリンナイトとゴブリンメイジに隊を率いて探しに行ってもらった。


なんとなく、嫌な予感がした。




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