ギリッギリのバトル
ヒュヒュヒュヒュンッッ
ついさっきよりも遥かに増えた触手がミストガンを襲う。
しかし、
『当たらなければどうという事はないっ!』
こんな事を言っているが、単純に幻覚を見破れないオリハルコン・スライムは攻撃を当てるどころか姿を捉えることも出来ない。
キィィン
しかし、ミストガンの攻撃も全くダメージを与えることが出来ず、膠着状態に陥っていた。
あるマンガに避ける方と受ける方では、避ける方が不利とかそんな感じの事が書いてあったが、それは戦っている場合の話なので逃げれば問題ない、と思う。
「所詮は刺客(笑)なので多分追ってこない」、そう思ってミストガンは大量に自分の幻覚を作り出し、逃げることに決めた。
そして大量の自分の幻覚を作った瞬間、
ボボボボボッ
オリハルコン・スライムは突然、全身から細い針状の触手を伸ばす。しかもその速さは尋常ではなく、全ての幻覚を飲み込み、ミストガンに迫る。
( あ、ヤバイ。これはやらかしたな。ヤツが幻覚を全滅させる為にした行動が結果的に俺にとって最悪の一手になったっぽい。どうしますかねー、経験値用魔物を生贄にするか?出し惜しみしたら死ぬだろうしなー。出来ることは全部やろう!)
「迷宮、解除!虚飾、不完全顕現!」
ミストガンは瞬時に迷宮に捕らえていた全ての魔物と右肩に生やした翼を盾にする。
ズブズブズブズブ、グググッ
盾にした魔物は次々と串刺しにされていき、最後の砦になった翼は今にも破られそうである。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ、ヤバすぎるッ!いっそのこと、【破壊神降臨】を使うか?だがアレには溜めが必要、そんな余裕は無い!こうなったら転移だ!翼が破られる前に転移を習得してやる!転移!転移!転移!転移!転移!転移!転移!転移!転移!転移!転移!……)
グググググッ、ビキッ
最後の砦である漆黒の翼に僅かにヒビができる。
「黒雷領域ッッ!!!」
(くっそー、10億使って動きを鈍らせてやる!あわよくば、死ね!)
ゴォォオオオォオオオオオ
ほぼ完全な悪足掻きでしかないが、【並列思考】で転移を唱えながら「黒雷領域」を過去最高の10億で使う。
「一度も使用していない10億を戦闘中に試す」、それはそのままミストガンの余裕の無さを示していた。
とてつもない劣勢、しかし神は彼に味方した。(敵になっている上に一人殺しているが)
《【単独近距離転移】を手に入れました》
「!?」
ググッ、ガスッ
触手が翼を貫く。
「た、単独近距離転移ッ!」
フッ
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実のところ、近くに転移したところでオリハルコン・スライムの触手からは逃れられない。
ならばどこに逃げるか?
触手が行かない所である。
触手が来るのは、幻覚を作った場所とミストガン本人の所。
幻覚を作ったのは牽制の為なので、オリハルコン・スライムから見える場所。
ならば見えない所に行けばいい。
ボゴッ
オリハルコン・スライムの下の土が盛り上がる。
そこから現れるのは当然、ミストガン。
『打撃じゃなーい、衝撃ッ!』
「ーーというわけで、死拳ッッ!!!」
神すらも殺した死の拳がオリハルコン・スライムに襲いかかる。
問題です!
この後どうなるでしょう?




