8◆鎮圧
部長が内防局長と情報局長を召集して二回目の会議を開いた時、もう部長オフィスではなく、秘密のシェルターの中だった。
「D-5の防衛システムは、一体どれだけ隙を突かれてるんだ?」部長の声は怒りとわずかな震えがこもっている。「いつから隙を突かれていたんだ?」
「ぶ、部長……」情報局長でさえ、恐怖を隠しきれずにいる。「恐らく我々が生まれる前から……布石が始まっていたかと……」
「今度はちゃんとウッズも呼んだぞ!なぜ来ない?」
「部長……」内防局長と来ては汗だくになっている。「ウッズ局長はもう……」
「バカたれ!敵艦が至近距離まで来てるのに気づかなかったなど!スパイは捕まったか?」
情報局長は首を横に振った。
「部長……」と内防局長は恐怖を抑えて提言する。「これ以上は隠し切れません。すぐ総統に報告するべきです」
「なにを言えと?外防軍が壊滅、1109ブロックの中500以上制御不能になってるとでも?今更総統にこんなことを言ったところで、どうしろというんだ?」
「――どうにもできません、彼には」
高級官僚の三人は突然の声に驚いた。シェルターのゲートがスッと開いた。
内防隊員が5名シェルターの中へ駆け込み、三人に向かってサブマシンガンを構える。
「な、何を……」
5人の隊員は、不気味なほどにシンクロした声を発する。「総統に隠し通す方法に悩む必要もありません……あなた方の行動全て、最初から彼に掌握されていたのです」
「き、貴様らを差し出したのはまさか総統――」
情報局長も自分がどうなっているのか分からない。喋っている言葉が突然止まって、身体も動けなくなった。視線の隅に映る内防局長も、同じことになっている。
「――その彼の行動も現在、大体私の支配下にありますが」
「……!」防衛部長の困惑は、怒りにロックされた表情に反映することができなかった。
「一人でもあなた方を殺すことはできますが、ウッズ局長が死ぬ前に、あなた方にはもっと苦痛を味わってから死んでもらいたいとの要望がありましてね」と、5人が一斉に喋った後、シェルターのゲートは再び閉まるのであった。