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デスげーむのモテあそびかた  作者: ヒキコモリタイナー
デスげーむの始まり方
4/9

ヒトのジンセイのモテあそびかた

君が今、ゲームのような異世界に来ているとしたらどうする?


魔王を倒す勇者となって世界を渡り歩くか?

世界一の武器商人を目指して世界を旅するか?

伝説の何々を探して世界を

捕らわれの姫を救うため、やはり世界を

濡れ衣を晴らすため、どうせ世界を

世界を征服するため、世界


まあ折角異世界に来たのなら、少しぐらい冒険していくのが礼儀だろう。


え?目立たずひっそり暮らしたいって??

どうせそう言うやつに限って、『実は俺スゲェの、tueeの!』するんでしょう?

しない?本当に??


まあ私もするつもりは無いのでこれ以上は突っ込まないでおくことにしよう。

最も私の場合は既に攻略済みの実績100%解除状態みたいなものなので…


まあ君が仮に、ゲームのような異世界にいるのだとして、世界のどこかを冒険するものとしよう。


異世界といえばダンジョン。

金銀財宝が眠っている洞窟やら地下迷宮やら塔だとかを踏破していく。

そこに眠らされているのはいまだ日の目を見ない神秘。

手に入れたものは君の自由だ。

まさしくロマンだ。

心躍るだろう?


だが君は宝箱目前で

あるいは怪しげな部屋の前で気が付くだろう。











鍵 が 開 け ら れ な い !!









なんて酷い話だろう。


君が長い時間をかけて倒したモンスターの素材は、

プレイヤーが操作できる範囲外のエリアにドロップしてしまった!!

あるいはあと少しで取れるという瞬間に時間切れで消失!!

それらの状況においては君の心境はきっとどれも似通ったものとなるのではなかろうか?


でもこれらの弊害は、どれも注意すれば回避の可能性が残されているだろう。

なので君が異世界に来たのなら先ず、魔法や剣技だけでなく、

ぜひとも鍵開けの技術を身に付けておこう。


>UnLock


― カチャリ





「う、うわぁ?!

誰だ、一体どうやって入って―」



ピッキングです。

まあやり口はえげつないけどね☆彡



それはそうとはい、ペタリ。



>lookupAI

:NPC(68BB106S)'Chris Clown'


>setAI_5480000S



「コココココ、コケーッ!」


いかん、間違えた。

彼をニワトリにするつもりは無いのであしからず。





>setAI_5410000S



「さあ来い勇者よ、オレは実は一回刺されただけで死」





>setAI_5420000S



「このナマケ者め!

 いつまでも、人に頼ってばかりではイカン!」





>setAI_5430000S



「昔はお前のような冒険者だったが、腰に矢を受けてしまって」





>setAI_5440000S



「まほうの ちからって すげー」





>setAI_5450000S



「リセットするなって何時も言ってるでしょう!」





>setAI_5460000S



「おっと失礼、家を間違えたようだ。

俺はブラックキャロルの門番をしているので何か困ったことがあったら相談に来るといい。」




ああ、6番だったか

門番だったら別に3番でも良いような気がするのだが止めておいた。

なんだか大声で呼び止められられるような気がするので。


「そうだったんですか、それはどうもご苦労様です。

早速ご相談があるのですが。」


そういいながらカキコカキコ

ついでにちょこっとおまけ。



>replace I47714M,68BB106S



ベリ…


コイツは持っておいて。



>set health_1 300

>set stam_1 400

>set mag_1 200

>set statusall_1 200

>set onehand_1 100

>set shield_1 100

>set adskill sanctuary

>set resetAI




「すみません、言伝を預かっていたのですが

頼まれて貰えます?」


そういいながら手帳から先程書いたコードを剥ぎ取り、受け渡し。

べ、別にあんたのために作ってあげたわけじゃないんだからねッ!



「ああ、ひとまず受け取ろう。

それでどちら様―」


警戒無く受け取った彼の人柄にありがとう。

その彼の発言はぴたりと停止し


「どうか、なされました?

ああ、それ返して貰えます?」


「え?ああ・・・済まない?」


そういって呆然と先程のメモ紙を付き返す彼

うん、本当に彼のために作ってあげたわけじゃないんだ。

ごめ~ん☆彡


それはさておき、かえって来たメモ書きを見ると

先程記述したコードの罫線下にはこう書いてあり


:Your id is already taken


よし、定着したな。

自身の目論見が成功したことを確認したのでそのままゴミ箱へ廃棄。


「失礼、どうやら家を間違えたようだ。

俺はブラックキャロルの門番をしているので何か困ったことがあったら相談に来るといい。」


「そうですか、どうもご苦労様です。

それはそうと肩にゴミが付いていますので取って差し上げましょう。」


「本当か?

いやぁ、どうもありがとう。」



私が先程貼り付けたいたずら書きの数々を彼の体から剥がしてゴミ箱へ

ついでに私が持っていたメモ紙もポイッ。

コレで危険な書き物は回収完了

全て予定通り。



「それでは門番様、お気をつけてお帰りくださいませ。」


「しかし私はなんだってリスボンの町まで足を運んでいたのか・・・

こうしては居れん、早く守衛所に行って仕事に戻るか。」



そうしてこの家の家主は新しく配属され13人目の門番として暮らしていくだろう。

こうして最強のパラディン様(門番)が誕生したわけだが、

彼の存在が何をもたらすのかは彼らには知る由も無いことなのだった。


そんなお仕事に忙しい彼はこの家を提供下さるみたいなのでありがたく。

まあそうでなくても現在私は名実ともにこの家の家主として存在しているわけだが。

ひとまずゴミ箱のものは焼却して、危険なものを抹消してしまおう。


明日から何をしようか?

とりあえず着用できる衣類を町で購入しておかないとな。


そんな訳で、私の平穏無事な異世界生活はここから始まるのだ!



―――――

――――

―――



この世界の首都ともいえるブラックキャロルの街には3箇所の関所が設けられており、

その内側と外側の両脇に1人づつ、一つの門に4人が、3箇所で12人が

3交代制なので計36人が存在する。

最もこれは規定の上での話で、現実には病欠・休暇等で欠員が出た場合もある。

そういった場合においては、他所の見回りなどから臨時で補充していたりするのだが、


とにかく門番の人数は36人で決まっていたのだ。

そんな中、どういうわけなのか37人目の門番が存在していた。


「なあ、エドガー」


「ああ、分かっている。半端な数だよな。」


守衛の班長であるエドガーとジェフは困惑していた。

今までどうしてコレでやってこられたのかと。


確かに往来の激しい時間帯の、一番込み合う東門など見張りの目は厳しくしてもいいのかもしれない。

だが結局のところ、日常業務の殆どは駅改札の如く通行証を確認していく仕事であり、

通行する人間の大半は顔見知りの行商か冒険者。

新顔は事務所で発行手続きに回している。

通行証と通る人間の人相を確認して、不信な人物がもしいたら対応するぐらいなのだ。

やっていることは殆ど駅改札員のようなものである。

中途半端に余剰がいたところで、あるいは中途半端な人員がいなかった所で結果はかわらないのでは?

しかしもし短絡的に間引いてしまい、問題が発生したら?


「・・・やっぱりお昼前の東門の配置を継続するか?」


「まあ常識的にそこが無難じゃないか?」



こうしてお昼の東門だけ門の真ん中で仁王立ちして警備している門番がいて

非常に通行の邪魔になっているのだが、門番曰く


「両側は既に埋まっていて配置に困るので」


だそうな。

通行人からしたらある日突然門の真ん中に障害物が配置されたわけだが

当人たちにとっては当然の人事異動であったので意に介さず。


しかもこの門番、やたらと腕が立つのだ。

どれぐらい凄いかをゲームでたとえると、

魔王が倒せそうなほどのやたらと強いステータスやら武器を持っているのに

勇者パーティーの仲間になってくれない人物。


がしかし、この世界の住民はゲーム的に客観的な強さを測るための指標が無いので

ただなんとなく


『なんかやたらと凄くて頼れるアニキッ!』


が新たに警護してくれるようになった安全な通用門になったため

後ろくらい連中は便利が良いが東門を避けるようになり

結果、東門周辺の治安は良くなっていったので

班長たちは何か違和感を感じつつも


「まあ仕事がやり易くなるのはイイコトだよな?」


「治安も良くなったみたいだし、

東からほかに流れた連中のいくらかはしょっ引かれた人間もいるようだが?

前からもそうだったよな??」


「そんなことより酒でも飲んで楽しもう。」


「それもそうか!」


― ガハハハハ


どこか釈然としないものを覚えながらもそれらの違和感は酔いの海に沈んでいくのだった。


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