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柊兄妹の異世界四重奏  作者: ライトニング
Guild Tournament
51/61

Hiiragi , Second Game 5

 

 ◆◆◆


「いやぁ、お義姉さんも強いねぇ」


「痛いっす」


 控え室に戻った俺と椿は早速レイシーさんに絡まれていた。

 椿を誉めているのに俺の背中をバシバシと叩いてくる。

 ていうか、まだこの人此所にいたのか。


「お義姉さんって呼ばないでくれる」


「もぅ、ツンツンしちゃてぇ」


「これで桜を諦めてくれるんですよね」


「お義兄さんは何もしてないけどね」


「ぐっ」


 それを言われてしまったらどうしようもない。


「まぁ、約束だからサクラの事は仕方無いけど諦めるよ」


 あれ?意外と簡単に引いてくれたな。


「お義兄さん……」


「呼び方は変わらないんだ」


「お義姉さんを私に下さい」


「諦めたんじゃないのかよ。ていうか、訳の分からんことになってるぞ」


 お義姉さんを下さいって意味わかんないよね。

 義理の姉をもらうってどういう事だよ。

 そもそも義理にもなってないしな。


「諦めたさ……サクラは」


「そう言うと思ったよ」


 本当にこの人面倒臭い。


『さぁ、どんどん行きましょう!続いて第三試合“戦乙女の茶会”ルナ・ルミナス選手!“魔神の加護”イリーナ・カリマ選手!』


 ルナは偽名で登録したんだな。

 だったらマスターもかな?


「そういえばルナは今大会、初戦闘か?」


「……そうね。お姉様達もまだだけど」


 そう言われてみればウチのSランクの人達もまだ闘ってなかったな。

 こう見るとウチのギルドも十分に余力を残してるなぁ。


「……緊張してる?」


「……少し」


「大丈夫だって。ルナの後ろに控えてるのはあの人達だぜ」


 そう言って俺はマスター達の方を指差す。

 Aランクながら実力はまだ未知数のレベッカさんとクレアさん。

 それとウチのギルドでSランクのマスターにミレーナさんにフレイアさん。

 この人達の実力を俺は知らないが間違いなくトップクラスだろう。

 隣にいるこの人はSSランクらしいが……。

 後ついでに楓もいる。


 その人達を見て少し安心したのか顔に出ていた緊張が和らぐ。


「気楽に頑張れよ」


「うん、ありがとう。よしっ、行ってくわ!」


「おぅ!」




「それで?あのイリーナさんって強いんですか?」


 既に始まった試合を見ながら、未だに居座っているレイシーさんに尋ねる。

 ルナがいる間は聞けないだろうが、いない今なら大丈夫だろう。

 自分の秘密も話しちゃう位の人だし。


「イリーナかい?……強いよ。何たってウチのサブマスターだからね」


「なんというか、今回はクジ運が悪いな」


 そもそもクジでメンバーを決めているのかも分からないけどな。

 ……誰が、どうやって決めてるんだろな?


「言っちゃ悪いが、あの娘じゃ絶対に勝てないだろうな。イリーナは純粋なエルフで魔法特化だ。中途半端な近接や魔法は全く話にならんだろう」


「……やっぱりか。まぁ、だったらルナはそれを経験にするだけさ」


 此処からでもイリーナさんがエルフだと分かる。

 金色の髪に、その髪に隠れない細長い耳。

 エルフの耳が細長い耳のは俺等の世界でも良くある話だよな。

 それにこの世界じゃエルフは魔法が得意で、更にイリーナさんは魔法使いっぽい杖まで持っている。

 魔法特化というのもすぐ分かる。


 対してルナはレイピアを持ちながらも魔法で攻めることが多い、オールラウンダーなタイプ。

 並の攻めじゃイリーナさんに全て無効化されてしまう。

 実際に魔法も撃ち負けてしまっているし、接近戦も近づく前に魔法で攻撃されてしまっている。


「あれ?ルナ、さっきから風属性しか使ってなくない?ルナの得意って水だったよね」


 マスターがルナの異変に気付いた様だ。

 流石は姉と言うべきか。

 まぁ、俺は最初から気付いていたけどね。


「俺が聞いた話ではそうですよ」


「じゃあ、何で?」


「ルナも成長してマスターに追い付きたいんですよ」


「……何それ、何でキリ君がそんなこと分かるのよ」


「さぁ?俺を信じた結果じゃないですか?」


「姉の私でも知らないのにそんな事言うんだ」


「知らないから言ってるんだけどね。そもそもそう思うなら最初から妹に秘密で家出なんかしなければいいのに」


「むぅ」


 マスターって結構子供っぽい所あるよな。

 さっきも俺に指差された時にドヤ顔してたし。


「まぁ、こんな時でもそれに拘るとは思わなかったけどな……」


「ん?」




「そろそろ諦めたらどう?」


「はぁ、はぁ……断るわ」


「はぁ?どうしてよ?貴女の魔法は私に届かないし、接近戦も出来ないのに」


「貴女に勝てないのは百も承知よ。……私は今、貴女を練習台にしてるの」


「……は?嘗められたものね。いいわ、すぐ終わりにしてあげる!“ニードルウッド”」


 その魔法と共に木の根を鋭くした様なものがステージから生え、私に襲いかかってくる。

 今、私に一番足りないものは実戦の経験よ。

 この人がお姉様達並みに強いのは分かってる。

 だからこそ、次の試合の為にも此処で経験を積むのよ。

 キリが教えてくれた新しい私の可能性を信じて!


「“エアボム”」


 襲いかかってくる木の根が空気の破裂によって吹き飛ぶ。

 しかし、吹き飛んだ部分が直ぐ様再生し、再び襲いかかってくる。


「くっ“エアステップ”」


 私は慌てて空中へ逃げるが、イリーナさんの魔法はまだ追い掛けてくる。

 逃げてもダメ、破壊してもダメ。

 それなら、術者本人を攻撃すれば!


「“ウィンドスラッシュ!”」


 見えない刃がイリーナさんを襲う。


「忘れてない?貴女の魔法は私には届かないわ!“アースウォール”」


 私の魔法はイリーナさんの防御魔法に少し傷を付けるだけで消えてしまう。

 しかも防御魔法を出したことによって攻撃魔法の木の根が消えたと思いきや、攻撃は未だに続いて私を襲ってくる。


「“エアステップ!”ぐっ!?」


 気付くのに遅れて回避が間に合わず、鋭い木の根が脇腹をかする。

 服を裂き肌が切れる。

 出血自体は酷くないが、それでもかなり痛い。

 それよりもあの人、同時に二つの魔法を使ってる。

 私は何の収穫も無いままやられてしまうの?


 あの木の根がまた私を襲ってくる。

 何とかして止めないと。

 ……止める?

 そういえばキリが前になんか言ってた様な……。




『……で、結局キリ達の魔法って何なの?』


『うーん、動きとか震動の類いかな』


『は?』


『モノの状態っていうのは簡単に言ってしまえばそれを構成する目に見えない程の小さいモノが動いているかいないかなんだ』


『余計に分かんないわよ。モノの状態って何よ』


『モノの状態は状態だよ。個体、液体、気体の三種類。水で例えるなら氷、水、水蒸気だな。で、さっき言った小さいモノが結束し止まっていると個体、お互いが拘束せず自由に動くと液体、更に距離を大きく空けて自由に動いていると気体になるんだ』


『じゃあサクラが氷を使えるのは、地属性を動かない個体の属性として考えてるから使えるって訳?……めちゃくちゃね』


『俺等からすれば魔法自体がめちゃくちゃだけどな』


『じゃあキリの火属性は?』


『簡単に言っちゃえばさっきの考えと同じ。動かなければ氷みたいに冷たくなるけど、逆に言えば動けば熱くなるんだ。人間だって運動すれば熱くなるだろ?』


『成る程ね』


『理解できた?』


『なんとなく……』




 確かに氷で固めれば成長も動きも止めることが出来るかもしれないけど、そもそもそれが出来るようになる為に練習してのよね。

 キリが言ってた事思い出しちゃって頭がゴチャゴチャする。

 でも、兎に角止めればいいんでしょ?


 私はレイピアを振りながら相手にも聞こえないような声で呟く。


「止まれ」


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