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柊兄妹の異世界四重奏  作者: ライトニング
Guild Tournament
48/61

Hiiragi , Second Game 2

 

 ◇◇◆


「先手必勝です!“柊流攻式雨ノ型 逆雨サカサメカイ”!」


 桜は試合開始の合図と共小太刀を両方とも抜いて飛び出します。

 本来なら様子を見たいところですが、相手は超一流の魔法使いです。

 距離なんて関係無いですよね。


「フフッ、その技は昨日の試合で見させてもらったよ。“アースウォール”」


 桜の技が届く前に土の壁が行く手を阻みます。

 一撃目で土の壁を切り裂くことに成功しましたが、左半分が崩れ落ちた土の壁からレイシーさんのニヤリとした笑みが見えました。

 次の瞬間にはまた土の壁が目の前に出現し、二撃目もあっさり防がれてしまいました。


 お兄ちゃんならこの土の壁ごと相手も斬っちゃうんだろうなぁ……。


「フフッ、では今度は私からいかせてもらうよ“アースショット”」


「くっ」


 レイシーさんの唱えた魔法と共に土でできた礫が散弾銃の様に拡散して襲ってきます。

 咄嗟に桜もレイシーさんの様に土の壁を出してなんとか凌ぎました。

 それにしても魔法の発動が速いですね。


「フフッ、サクラも同じ土属性なんだね」


 レイシーさんの愉しそうな声が壁の向こうから聞こえてきます。

 桜は壁の後ろで足元を急速に高く伸ばしていきます。

 レイシーさんの頭上を越えた辺りで飛び降り、右手だけ小太刀を構えます。


「“柊流攻式雨ノ型 雨突ウヅキ!”」


 この技は名前の通り雨の様に連続で突きを繰り出す技で、本来は地に足を着けたまま正面に出す技です。

 でも桜はこういったトリッキーな方が性に合っています。


「成る程、確かに土の壁は上には出せないね。……だけど君は今絶好の的だよ!」


 そう言ってレイシーは顔を上げます。


「なっ!?太陽の所為で見てられない!……でも影なら」


 今度は顔を下に向けるが、そこでレイシーさんはまた驚愕します。


「ステージが黒くなってる!?」


 そう。桜は飛ぶ前に魔法で炭素をステージ上に浮き出させ炭の様に黒く結晶化させたのです。

 勿論、影は分かり難いですがちゃんとあります。

 ただ、太陽を見てしまったレイシーさんは目が眩んで区別が着かなかったのです。


「ハァァァ!!」


 後もう少しでレイシーさんに突きが届くという所で……。


「“アースピラー”」


 その魔法と共に土の柱が桜の腹部目掛けて急激に伸びてきます。

 桜は使ってなかった左の小太刀で伸びてくる柱の横に突き刺し、無理矢理体勢を変えて避けます。

 避けた後直ぐに柱の横を蹴って小太刀を抜きながら飛び降ります。


「フフッ、良いねぇ。良いよサクラ。まさかさっきのを避けるなんてねぇ」


「……桜も吃驚ですよ」


 あそこまできて避けられるなんて思いもしませんでした。

 しかもレイシーさんは試合が始まってから一度もあの場所を動いていません。


「新人とは思えないよ。Aランク……いや、頑張ればSランク並の実力はありそうだねぇ」


「桜にSランク並の実力があるなら少し位当たってもいいと思うんですけど……」


「フフッ、それは無理だよ。SランクとSSランクじゃ実力が違い過ぎるからね」


 SSランクって何ですか?

 お兄ちゃんはSランクまでしか無いって言ってた様な気がするんですけど……。


「SSランクって何ですか?」


「おや?知らないのかい?SSランクというのはSランクの中でも特に優秀で天才と呼ばれる者が成れる可能性があるものだよ。この国には現在私を含め四人いる」


 恐らく最有力ギルドの四つのトップですね。


「さぁ、お喋りは此処までにして続きをやろうか!“アイスフロアー”」


 一瞬にして炭素に覆われていたステージが凍り付きます。

 踏ん張りが効かない上に、レイシーさんは意図してないと思いますがステージの元素が直接触れなくなったことによって土の壁が出せなくなってしまいました。

 まぁ、壁だったら氷の壁を創る事が出来ますが足場が問題です。


 空気中にも炭素はありますが一から創るとなると、レイシーさんの早業に比べるとかなり遅くなってしまいます。


「ほら、いくよ。“アイスランス”」


 一本の氷の槍が生成され凄い勢いで此方に向かってきます。

 それを氷の壁を創って防ぐ。


「フフッ、サクラって氷属性も持ってるんだね」


「持ってません」


「そうなのかい?まぁ、何でもいいけどね!“アイスレイン”」


 その名の通り鋭い氷の雨が降り注ぎます。

 さっきの仕返しかな?

 桜は小太刀の刀身を傘の様に変形させてなんとか防ぎます。


「君の魔法は面白いねぇ。それは金属性かい?」


「それも違います」


「サクラ、私は君が欲しくなったよ。ウチのギルドに来ないかい?」


「お断りします。桜はお兄ちゃんのものです」


「フフッ、そうかい」


「はい、そうです。“柊流守式地ノ型 地砕ジクダキ”」


 この技は元々御先祖様がこの技で地面を割ったということからきていますが、今は震脚とか地面を揺らす程度の技となっています。

 だけど氷位だったら砕くことが出来ると思いました。

 桜は左の小太刀を氷の地面に突き刺し、右の小太刀の柄で左の柄を思いっきり一撃を入れる。

 すると広範囲に罅が走り、最終的には足場の氷は砕けました。


「いやぁ、まさか此処までやるとはね。少し侮っていたよ」


 やっぱり手を抜かれてましたか。

 なんとなくそんな気はしていました。

 未だにあの場から一歩も動いていないですし……。


「じゃあサクラに取って置きの魔法を魅せてあげるよ“ファントムドリーム”」


「え?」


 そのレイシーさんの魔法と共にすべての音が消えた。

 別に桜の耳が聞こえなくなった訳ではないです。

 鳴り止まなかった歓声が急に消え、観客も消えています。

 目の前にいたレイシーさんでさえも……。


『どうだい?驚いたかい?』


 不意に聞こえてきた声と共に氷の剣を持ったレイシーさんが五人現れました。

 これは一体どういうことなんですか?

 氷の分身とか?


 思考を巡らせていると五人のレイシーさんが一斉に襲ってきます。

 振り抜く氷の剣を避け、逆に斬りつけると肉を斬った感触も無ければ氷を砕いた感触もありませんでした。

 まるで煙や霧の様に斬った瞬間に靄となって消えていきます。


「これは幻ですか?」


 その言葉に返事は帰ってきませんでした。

 代わりにきたのは氷の剣。

 小太刀で防ごうとするが、氷の剣は煙の様に小太刀をすり抜け、桜を斬り着ける。

 触れることは出来ないのに桜の頬からは生暖かい血が流れています。

 これも……幻なの……ですか?


 助けてよ、お兄ちゃん!




 ◆◆◆


「ねぇ、サクラどうしちゃったの?」


「これはどう見ても幻術に掛かってるでしょ」


 桜は先程から何もない所で小太刀を振り回し、何もない所で防御行動や回避行動を取っていた。

 桜に幻術を掛けた張本人であるレイシーというマスターはニヤニヤとその光景を楽しむかの様に眺めている。


 でも、何故レイシーは桜を見ているだけなのだろうか。

 言ってしまえば今の桜の状態はスキの塊の様なものだ。

 何故止めを刺さないのか。

 止めを刺さないんじゃなくて刺せないんじゃないか。

 例えば魔法を発動している間は他の魔法も使えないし、動くことも出来ないとか……。


 そもそもこの魔法はどうなってるんだ?

 どうやって桜に魔法を掛けたんだ?

 あんな協力な魔法を何の準備も無しにパッと発動出来るものなのだろうか。

 少なくとも何かしらの条件があると思うんだけどなぁ。


「兄さん、桜の魔力が変なんですけど……」


「魔力が変?」


「はい。桜の魔力に別の魔力……多分レイシーの魔力が混ざってぐちゃぐちゃになってます」


「成る程、それが幻術の正体なのかもしれないな」


 正体が分かったからといっても俺達に出来ることは何もない。

 伝える方法も無ければ、そもそもが幻術を解く方法が分からない。

 今の俺達に出来る事と言えば応援すること位しかない。


 頑張ってくれ、桜!


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