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柊兄妹の異世界四重奏  作者: ライトニング
Guild Tournament
41/61

Kiri , Science Magic

キリ達の初魔法です。

 

 ◆◆◆


「魔法を?……そうだね、君達も貴重な戦力だから強くなってもらわなきゃね。それで、どれくらい魔法は使えるんだい?」


「……え~と、魔法は使えない、というか魔法の存在を最近知ったというか……魔力はあるんですけどね……」


「……はい?」


 まぁ、この世界ならこういう反応をされるよな。

 逆に向こうの世界で魔法を使えるなんて言った日には精神を疑われるしな。


 この世界は皆が大なり小なり魔力を持ち、魔法が使うことが出来るらしい。

 識字率が決して高いとは言えないこの国でも、魔法だけは生活の一部で学園に通わずとも独学なり親からなりで簡単に覚えられるようだ。

 そんな中での俺達は異端中の異端だろう。


「アンタ達、一体どんな所から来たのよ」


「いやぁ、それは……」


 これはどうするべきか。

 この人達とは長い付き合いになりそうだし、ずっと隠し事をしてるのも悪い気がする。

 かと言ってこの人数に教えるのは何時他に漏れるとも分からない。


 いや、待てよ……この人達がそんなことするとは思わないが、万が一この人達から又は何らかの別の理由で俺達の事がバレたとしても、今の俺達はこの国の法で守られてるんじゃないか?


 “ギルドに所属する者を、他者は無理な勧誘又は危害を加えることは許されない。”


 これならこの人達には話しておいてもいいんじゃないか?

 協力者は多いに越したことはない。

 もし、これから更なる法改正なんかで俺達が保護されなくなったらこの国を出よう。

 そんで、ちょっと早いけど仮称神様に会うために、十二の英雄やら神子やらなんかに纏わるものを探す旅に出よう。


「……あの、皆さんに話しておきたい事があるんですけど……」


「兄さん!?」


「大丈夫だ椿。俺達は今、保護されている」


「……兄さんがそう言うなら」


 椿は俺がこれから話そうとしている事はあまり話さない方がいいと思ったようだが、俺の考えを聞いて大人しく引き下がってくれる。


「これから話すことは成るべく、いえ絶対に秘密にしてほしいことがあるですけど……」


 マスター達は何事だろうとそれぞれ顔を見合わせるが、最終的には頷いてくれる。

 皆が頷くのを確認してから俺は秘密を話始める。


「実は俺達は…………」




「成る程ねぇ。魔法が無い世界か」


「今の私達からすれば想像もつかんな」


「そうね。とても不便そうだわ」


 俺達が異世界人だということにそれほど驚いてないように見える。

 よく分からんが感心されてる様に見える。


「一つ言っておきますけど、この世界よりは大分便利ですよ」


「……信じられんな。魔法も使えんのに」


 魔法が生活の一部になっているこの世界じゃ、とても信じられないみたいだな。

 俺達からすれば此方の世界の方が信じられないけどな。

 空想のモノ立ったし……。

 というか、俺達が異世界人だということよりも驚いているのは気の所為だろうか。


「取り敢えず、そういうことで魔法に関してはさっぱりということです」


「分かった!今から特訓しよう!」


 マスターは着いてこいと言って俺達を連れて奥の部屋の方に行く。

 何時もマスターとミレーナさんが入る部屋の真向かいの部屋に入る。

 因みにレベッカさんとクレアさんはホールでお留守番中。


 部屋に入るとそこには下に降りる為の階段があるだけの部屋で、他には燭台と蝋燭ぐらいしかない。

 この宿屋地下室あったんだ。

 マスターは蝋燭を燭台ごと手に持ち、フレイアさんに火を着けてもらい下に降りていく。

 俺達も着いていくが、先頭を歩くマスターの持つ蝋燭と一番後ろを歩くフレイアさんの火の灯りだけでは足元が暗く歩きづらい。


 階段を降りきると、暗くてよく分からないが感覚的にとても広い空間になっているようだ。

 マスターは降りて直ぐの壁に燭台を掛けると徐に壁を触り始める。

 すると急に空間が明るくなり、五十メートル四方はありそうな空間の奥の壁までハッキリ見えるようになった。

 確実に敷地はオーバーしてる広さだな。

 天井も五メートル以上はありそうだ。

 天井を見ていると明るくなった光源らしき物が二つ確認できた。

 この広さで光源が二つというのも凄いけど、これは一体何なんだ?


「どうなってんだこれは?」


「ん?あぁ、知らないのか。これはね光魔水晶って言って魔力を籠めると発光するの」


 そう言ってマスターは触っていた壁に埋め込まれている二つの黄色っぽい水晶を触る。


「光源になってる魔水晶に直接魔力を籠めてもいいんだけど、こうやって光源になってる魔水晶から取れた欠片に魔力を籠めてもある程度離れていても本体に魔力が送られるのさ」


 成る程。これがスイッチの代わりをしているのか。なかなか便利だけど、なんで普及してないんだろう。

 こんな便利な物を今まで見たことないし、このギルドにも此処しか無いし……。


「なんでもっと普及しないんですか?」


「そんなの高いからに決まってるでしょ。一個で金貨二枚よ」


 金貨二枚!?電灯一つに二十万円!?

 そりゃ簡単に買えんわ。


「兄さん、私も欠片なら持ってますよ」


「えっ、マジ!?……色が違うけど確かに水晶っぽいな」


 椿に渡されたのは灰色の水晶。

 光魔水晶と呼ばれる物とは違うようだ。


「む、それは音魔水晶だな。騎士団で貰ったのか?」


 話を聞くと通信専用の魔水晶で携帯かよと呟いたら、椿からどちらかと言うと無線機ですねと返された。


「さて、無駄話はそこまでにして早速魔法の特訓だぁ!」


「で、具体的には何をすれば?」


「まずは、君達の属性は?」


「火だな」

「水ね」

「……風」

「土です」


「……見事にバラバラだね。じゃあ、ツバキは私とだな。私は水と氷だからな、ドヤァ」


 この人、口で言っちゃったよ。


「私は火と雷だ」


 ということは俺はフレイアさんとか?

 ってことはミレーナさんが……。


「私は風と土だからカエデとサクラね」


「まぁ、最初は魔力を練るところからだね」


「魔力を練る?」


「そう。こう……ググッと」


 いやいや、ワケ分からんよ。

 そんな抽象的に言われても……。


「……やはり、脳筋か」


 ……楓さん?それはどういう意味ですか?


「うーん、気を練る感じかなぁ」


 武術をやっていた俺達からすればこのやり方の方が分かりやすい。


「椿、魔力を見てもらえるか?……どうだ?」


「えぇ、それで合っていると思います」


「はぁ~、魔眼って便利ねぇ」


 マスター達が感心してる間に椿と桜、ちょっと遅れて楓も魔力を練ることに成功した。

 後から聞いた話だが魔力のコツを掴むのに最低でも一週間は掛かるそうだ。

 間に合わねぇじゃん。


「じゃあ、次は魔法いってみよう!」


「コツは?」


「こう、イメージでババッと」


「……ちっ、脳筋め」





 一時間後


「ん~」




 三時間後


「ぐぬぬっ」




 五時間後


「はぁはぁ、全然出来る気がしない」


「君達才能無いね」


 イメージは十分に出来てると思うのに出来ない。

 フレイアさんに火の魔法も見せてもらったし、瞑想なんかもしてみた。

 なのに出来ない。

 周りを見ても誰も出来てないようだ。


「おはよー。寝ないでずっとやってるの?」


 と此処でルナが帰ってきた。

 というかそんなに時間が経ったのか……。


「あぁ、全然出来ないけど」


「イメージが足りないんじゃない」


 と言われてもなぁ。

 火は理解できるが魔法っていう感覚が理解できねぇし、どうやってあんな風になるのかも訳わかんねぇし……。

 ……ん?理解できるのに理解できない?

 つまり、火というイメージはできてるが魔法として発動するイメージができてない?

 違う、逆だ。

 火という概念のイメージがあるのに魔法としてのイメージしかしてないから発動しないのかもしれない。


「……俺等はイメージがありすぎてイメージが足りないのか」


「……何言ってんの?大丈夫?」


「だから、理解がありすぎてイメージが足りないんだよ」


「いや、余計に分からないわよ」


 くっ、確かに自分でも何を言ってんのか分からなくなってきた。

 もうこうなったら徹底的に解説してやる。


「皆は火って何だと思う?」


「火は火だろう」


 一番早く答えたのはフレイアさん。

 この世界では問題無いかもしれないが、俺等の世界じゃアホの子決定だ。


「火は燃えるという現象だ。じゃあ、物が燃えるのに必要な条件は?」


「火だろ」


 この世界は思った以上に理解力が低すぎる。

 だからその火は何処から来るんだよ、と言いたいが絶対に魔法、と返ってくるに決まってる。


「はぁ、物が燃えるのに必ずしも火は要らない。極論で言ってしまえば氷を使っても火は起こせる」


「なっ!?」


「まぁ、それは置いといて。物が燃えるのには三つの条件がある。一つ、空気があること。正確には酸素だけど……」


 そう言ってルナに厨房からコップを持ってきてもらい、壁に掛けてある蝋燭に火を着けてコップを被せる。

 暫く経つと酸素は消費され、火は当然自然に消える。

 そう丁寧に教えると何となく理解したようだ。


「二つ、燃える物があること。木材然り蝋燭然りだ。因みに魔法の場合は何だと思う?」


「……魔力か?」


「恐らくそうだ。じゃあ三つ、熱源があること。火が無くても物それぞれにある発火点に到達する熱があれば火は着く」


「……それは分かったが、それが何だと言うのだ?」


「恐らくだけど、マスター達の魔法はそこまでの理解とそこまでのイメージで発動していて、俺等はそれ以上の理解をしてるのにマスター達と同じ所までしかイメージしてないから発動しないんじゃないかな」


 簡単に言ってしまえば、科学的理解を持ってるなら空想的イメージは捨てて科学的イメージにしろということだ。

 つまり俺は火属性を熱として意識すればいいのか?

 そういえば魔力の発火点っていくつだろ?

 まぁ、いいか適当で。


 魔力を燃料に……熱を上げる。


「……うおっ、出た!?」


 ボッと音をたてて、突き出した手から数センチ離れた所に火が出る。

 熱量が少ないのかあまり熱くはない。

 それとも自分には影響が無いのか……。


「兄さん凄いです!……私達はどうすればいいんでしょう?」


「俺と同じ様に水素と酸素で考えるとか液体全般で考えるとかは?」


「分かりました」


「……ウチは、気体?」


「それじゃ、桜は固体ですか?」


「それでやってみたら?」


 こんな大雑把な考えが成功したら、ウチの妹達は間違いなく最強になれる。

 椿は液体窒素だの濃硫酸だの危険な液体を創れるし、楓は酸素を増やして毒にしたり減らして窒息させたり出来るし、桜は土属性なのに氷を創ったり金属を造形出来たりするかもしれない。

 ヤバイ、超ヤバイよ。危険すぎる。


「あっ、出来た」


「……ウチも」


「桜も出来ました」


 そう言って椿が出したのはただの水っぽい。

 楓は何をしたのか分からないが、何かをしたのだろう。

 桜はケイ素等を操作したのか、床から石で出来た棘の様なモノが出来ていた。

 ……なんか錬金術みたいだな。


「王水を創ろうと思ったけど無理だったわ。無いものは出来ないみたいね」


 おいぃぃ、何やってんだよ!?

 それはあれか?素材があれば出来るってことか!?

 さっき言った事が実現しそう。

 コイツ等はもう俺の手に負えないかも……。


 ◆◆◆

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