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柊兄妹の異世界四重奏  作者: ライトニング
Guild Tournament
27/61

Kiri , New Guild

 ◆◆◆


「はぁ」


 もう何度目の溜め息だろうか。

 早く職を探さないと路頭に迷って事にになってしまう。

 いや、路頭に迷うことはないか。妹達が養ってくれるからな。


「ルナはこれからどうするんだ?」


「うーん、取り敢えず私もギルドは保留かな。魔法の練習は学園でも出来るし……今日はもう帰るわ」


「だよなぁ。俺等も今日はもう帰るか。ティリカ達もお疲れさん、新しい情報が何か手に入ったら教えてくれ」


「俺達は情報屋じゃないんだがな」


 そう言うとティリカとウォルフも今日の捜査は終わりなのか帰っていく。

 他の騎士団も既にいなく、野次馬もほとんどいなくなっていた。


「ルナ、一人で帰れるか?」


「私はそんな子供じゃないわよ」


「いや、そういうことじゃ……」


「ふふっ。分かってるわよ。一人で大丈夫よ。じゃ、またね」


 ルナを見送って俺達も帰るか、と思ったが今日の宿を決めていなかった。

 というか、金が無い。

 仕方ないので妹達に借りるしかないだろう。


「椿、お金持ってる?今日の宿代とか」


「えぇ、ありますよ」


「……じゃあ、今日の宿代貸してください」


「……えぇ、いいですよ。なんならこのまま一生、私が養ってあげますよ」


 止めて下さい。こんな所でヤンデレ発動しないで下さい。

 お願いします。笑顔が怖いです。


 まぁ、なんやかんやあったけど、今日の宿を探し始める。

 そして、探し始めてから約一時間。

 あれ?俺達何探してたんだっけ?

 というか、何で今日に限って何処の宿も満員なんだよ。何かの陰謀か!


 こんなバカな事をやっていても仕方ないので次の宿に向かって歩き始める。

 因みに楓は既にダウンして俺が背負っている。

 次の宿に向かうの途中、ここを通ったら近道なんじゃね?と、思って更に明かりの少ない路地に入っていく。

 もちろん椿達も疑うことなく俺に着いてくる。


 路地と言っても人とすれ違うのがやっと、というような路地ではなく、五、六人なら横に並んでも歩けるくらいの路地だ。

 少し歩くと桜が何かを見つける。


「あれって宿屋の看板じゃないですか?」


「ん?」


 桜の指差す先を見ると、俺等の目線より少し上に暗くて判りづらいが建物内から出る蝋燭の淡い光に照らされた宿屋の看板が見える。

 暗くて足元を見ながら歩く俺達と、常に見上げながら歩く桜の特性の違いが出た瞬間だった。


 それより、こんな所に宿屋なんて無かったと思う。少なくともルナに教えてもらった中にはなかったはずだ。

 兎に角、中に人はいるようだし一回入って確認しよう。


「すいませーん。部屋空いてますか?」


 ドアを開けながら声を掛ける俺は失礼かなと思ったが、俺も疲れてるんだ、と自分を誤魔化す。


「ここは宿屋じゃないですよ~」


 聞こえてきたのは俺達の予想に反する裏切りの声と、俺にはどこか聞き覚えのある声と喋り方だった。


「って、レベッカさん!?ギルドの次は宿屋の受付ですか!?」


「は~い、レベッカですよ~。それと、ここは宿屋じゃないですよ~」


 お忘れの方もいるかもしれないが、俺が初めてギルドに行った時にお世話になった受付嬢のレベッカさんだ。

 相変わらずどこか気の抜けた喋り方をする人だ。


「また女の人ですか兄さん。タラシですか?」


「お兄ちゃん不潔です」


「……変態」


 酷いい言われようだ。楓は俺が背負っているからといって、耳元で囁くのは止めていただきたい。

 更に言うと、どれ一つあってはいないが、変態はもっと違う気がする。


「レベッカ?騒がしいわね。何かあった?」


「ミレーナ、お客様だよ~」


「勧誘もしてないのにお客が来るわけないでしょ」


 奥から出てきたミレーナと呼ばれたスーツではないがビシッとキメた社長秘書のような女性は資料を見ながら歩いているため、こちらの存在に気づいてない。


「違うよ~。宿屋にだよ~」


「は?あっ」


 ここで漸く顔をあげて、俺達の存在に気が付く。


「ごめんなさい、お見苦しい所を……。えっと、宿屋でしたよね?ごめんなさい。今ここは宿屋じゃないの」


「そうですか……。あの、一ついいですか?……勧誘って何ですか?」


 ここが宿屋ではなかったことは残念だが、俺はミレーナさんが言った“勧誘”という言葉が気になった。


「それは私が話しましょう!」


「セレーネ!」


 次に出てきたのはセレーネと呼ばれたプラチナブロンドの女性。女性といっても楓と同じ位の伸長の少女とも言えるような女性だ。

 ミレーナさんが戻って来ないから様子を見に来たところだったのだろう。


「勧誘っていうのはね。実は私がギルドを創ろうかなって思って、人数集めの勧誘だよ」


 あれ?これはもしかして千載一遇のチャンスなんじゃないか?

 なんだ?このタイミングの良さは。

 俺は椿と桜にアイコンタクトを取る。楓は見えない。


「あの!俺達でも入れますか?」


「ん?おぉ、ウチに入ってくれるのかい?」


「そちらが良ければですけど」


「是非是非」


 セレーネさんは俺の手を取ってブンブン振る。

 次に椿と桜も。そして、楓は俺にしがみついているため頭を撫でられている。


「それで、本当にギルドは創れるんですか?条件的に……」


「ふっふっふ、君達は私達を甘く見ているようだね。私とミレーナはこれでもSランク。レベッカもAランク。他に二人いるんだけど、フレイアはSランク。クレアはAランクよ」


 腰に手を当てて満面のどや顔。

 でもその話だと確かにランク的な問題は余裕でクリアしている。

 でも、これだと人数が足りない。そのための勧誘ね。


「折角だから全員集めて自己紹介しようか。おーい、フレイア!クレア!」


 セレーネさんがその場で叫ぶと二階から二人の女性が降りてくる。

 元宿屋だけあって二階と更にその上の三階は個室になっているようだ。

 降りてきた女性は、紅いロングストレートの凛とした女性と水色のこちらもロングストレートの女性。


「さぁて、これで全員揃ったね。じゃあ、自己紹介しよう」


 これで全員。あと一人でギルド完成……。

 あれ?これって九人中八人が女なんじゃないか?

 男って俺一人?


 ◆◆◆

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