Kiri , Solve the Mystery
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「……どうやら火属性の初級魔法による事故ののようですな」
「そんな……」
「何かの間違いじゃ……教授がそんな馬鹿なことするはずがない」
「そうだぜ。あの教授が室内でファイヤーボールを使うなんてあり得ないぜ!」
フィールさんは両手で顔を覆い泣き始める。
ティムさんはそんなフィールさんを見て、何かの間違いだと反論し、ドミニクさんもそんなティムさんを援護するように反論する。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。取り敢えずこの部屋は皆さんの研究室で間違いないですか?」
隊長さんは部屋の中を確認するように三人を促す。
まぁ、部屋を見ても何も分からないだろうけど……。
残ったモノはただの燃えカス。真っ黒でほとんど崩れてしまったな机や棚。あとは頑丈なレンガ。
それに見知らぬ四人の人達。俺達だ。
そもそも部屋の確認なんて中を見なくても場所で覚えてるだろ。
ここは元々、火属性のみを対象にした研究室だったようだ。
そんなものこんな街中でやるなよと言いたいが、今更言っても仕方ない。
「騎士様?あの人達は?」
「あぁ、彼等は目撃者というか協力者というか……」
案の定と言うべきか、三人は当然中にいる俺達に疑問を抱く。
「俺達の事は気にしないで下さい」
「気にするなだと?騎士様、コイツ等が教授を殺したんじゃないですか?」
「俺達が教授を殺した?隊長さんは事故だと言ったのに何故殺しだと?」
「そ、それは事故に見せ掛けて殺したんだろ!」
ドミニクはそんなことを言うが明らかにコイツは怪しい。
まるで誰かに殺人を着せたいかのようだ。
「まぁ、いいですけど。犯人は誰かだいたい検討は着きましたから」
「本当か!?」
「もう少し待って下さい。……因み教授はいつもこの時間に研究室に来るんですか?」
俺は興奮する隊長さん宥めつつ、ティムさんに質問する。
「え?あぁ、教授は周りが暗い方が集中出来るといつもこの時間に来るけど」
「皆さんは?」
「僕達はいつもはお昼前に来て日が沈みきってから少しして帰るよ。今日は偶々ドミニクが飲みに行こうって言うから少し早く帰ったけど」
ますます、ドミニクが怪しい。というか、もうドミニクが犯人でいいんじゃないか。
「じゃあ最後に一つだけ、今日最後に部屋を出た人は?」
「今日かい?今日は確か……皆で一緒に部屋を出て、階段を降りてる途中でドミニクが忘れ物をしたって部屋に戻ったのが最後だと思うよ」
「なるほど。ありがとうございます」
ティムさんは騎士でもない俺に丁寧に教えてくれた。
「ティリカ、魔力って人のも見れる?最大値とか」
「えぇ、視ようとすれば視れますよ。魔力そのものを視ますから最大値というよりは残量と言うべきですが。あと属性も」
「属性も!?椿!俺(の属性)を見てくれ!」
「はい、兄さん!」
最後にハートが付きそうなテンションで頬を染めながら俺を見つめてくる。
つーかコイツ見方分かるのか?
「お兄ちゃん、それは後にしましょうよ」
「おっと、そうだったな」
「おい坊主、犯人が判ったのか?」
「ほぼ間違いないと思います。犯人は……お前だ!!」
ビシッと人差し指でドミニクを指差す。
一度はやってみたかったセリフとポーズ。
「何で俺が!そもそもファイヤーボールを使ったことによる事故なんだろう!」
「ほら、また言った。何故使われた魔法がファイヤーボールだと判るんですか?隊長さんは火属性の初級としか言ってないですよ。そもそも騎士達もどの魔法かは知らないんだよ」
「そ、それは……ファイヤーボールは初級でも有名だからで……」
「ティリカ、ドミニクの魔力はどう?」
「火属性でほぼ空ですね」
「だそうですけど?」
目に見えて焦り始めるドミニク。
というか初級三回分の魔力量って……。
「そ、それは……家で魔法の練習を……」
「ふぅーん。じゃあ家に行って残留を調べてみますか?」
「い、いや、やっぱり訓練所で練習を……」
「飲みに行くのに訓練所ですか?」
なんかだんだんドミニクが可哀想になってきた。まぁ、やってるのは俺なんだけどね。
それよりもう喋らない方がいいんじゃないかコイツ。
「グッ、……そもそも!俺は初級を三回も使う魔力はねぇ!」
「……はぁ、やっぱりアンタもう喋らない方がいいよ。……魔法が三回使われたなんて誰も言ってないだろ」
「あっ」
慌てて口を抑えるが、もう意味はまったくないだろう。
それにしても今の言葉が本当だったらどういうことだ?初級二回分の魔力しかないっていうのもすごいけどな。
「それなら問題ないぜ。最近、闇市では魔力増幅器なる装飾品が出回ってるらしい」
「し、知らない。そんな指輪、俺は知らないぞ」
だからアンタはもう喋るなって。指輪って言ってないだろ?
流石にポンコツの隊長さんでもこれには気付いたらしい。
「俺は持ってない!なんなら家を探してもいい!」
ここまで言うんだ。家には無いんだろう。
となると何処かで処分したはず。
処分するのに適した場所といえば……ここだよな。
俺は黙って暖炉まで行き、その中に手を突っ込む。
探していたものは直ぐに見つかった。
かなり黒焦げているが、シルバーのリングに赤いかなり小さな宝石の様なものが付いた指輪が。
「これは間違いなく魔力増幅器だ。これで言い逃れはできないな」
隊長さんに渡すと直ぐにそれが魔力増幅器だと断定する。
「それにしても初級魔法なんかで爆発はどうやって起こしたんだ?」
「あぁ、それは多分バックドラフト現象ですよ」
「バックドラフト?」
「……バックドラフト……密閉空間で火災が発生した場合、不完全燃焼によって一酸化炭素が溜まり、外の空気を一気に取り込むと化学反応による爆発が起きる。……ざっくり、説明すると、こう」
楓によるいつになく饒舌な説明をするが、化学のないこの世界じゃ、結局はちんぷんかんぷんのようだ。
研究員の人達も解らなそうだ。
「と、言うことだ」
◆◆◆
桜ちゃんの出番がまたほぼありませんでした。
次こそは絶対に出番をつくります。




