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プロローグ
人間は、どこへ向かおうというのか。火を手に入れ、耕すことを覚え、後代へ遺す事を知り、人間は叡智を蓄積する事を可能とした。その叡智の蓄積が、人間の飛躍を、今まで流星のように数多の生物が現れては消えゆく中、そのどれもが成し得なかった飛躍を可能とした。
そして、人間は向こう見ずに突き進んでいった。原子の力を手に入れ、遺伝子の仕組みを知り、ついには宇宙へと飛び出した。それが如何なる結果をもたらすとは知らぬまま、人々は時を超え、留まるところを失った進化の欲望に従って世界の真理を追い求めてきた。
その果てに今、人間はある力に手を伸ばそうとしている。その力が彼らにもたらすのは、希望か、絶望か。それは、まだ誰にも分からない。