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TRUMP~another card~  作者: 四季 華
第二章
6/11

2-2

 結果として、豪と夏輝は二週間の謹慎を命じられた。夏輝が保健室で怪我の手当てを受け終わり、家へ帰ろうと駐輪場の前を通ろうとした時だった。

「よう、夏輝」

「七紀」

 豪が夏輝に声をかけた。没収されたはずの煙草を再びふかしながら、灰を地面に落とす。豪は夏輝を見ながらにやついている。

「イイ男になったじゃねーかよ、会長」

「うるさい」

 ぴしゃりと言う夏輝だが、豪は笑って煙草を指に挟んだ手で頭を掻いた。

「喧嘩、できるんじゃん」

「予定外だ」

「だろうな。何で手ぇ出した?オレがぶっ飛ばしてやったのに」

「ただ、殴られて腹が立った。だからやり返した。それだけだ」

 憮然と言い返す夏輝に、豪は大声で笑った。何故笑われるのかわからない夏輝は、眼鏡の奥の目を不快そうに細めた。

「意外と普通の男なんだな、お前も」

「僕は普通の男だ。何を言ってる」

 ますます不快そうな表情になる夏輝だったが、顔を歪めると傷が痛むため表情の変化は小さかった。

「お前、楽しーな」

「僕は楽しくない」

 豪はひとしきり笑って、親指で自分のバイクの後部座席を差した。

「乗ってけよ。送ってやる」

 夏輝は怪訝そうに豪とバイクを見比べた。

「そのバイク、大型だろう?」

「当たり前だろ!お前、Z1知らねーのか?」

「大型バイクの免許が取れるのは十八歳からだが?」

「無免に決まってんだろ」

「七紀、僕を共犯者にする気か?」

 その言葉に豪は噴き出して、夏輝の高い肩に腕を回して無理やり肩を組んだ。

「もう共犯だろ。煙草吸うか?」

「吸う訳ないだろ!」

 豪を引きはがして、夏輝はその場から立ち去ろうとした。


 キュルルルル ブォゥ!!


 突然の爆音に、夏輝は驚いて後ろを振り返った。すると、豪がバイクに跨って駐輪場から出る所だった。

「じゃーな、夏輝。また遊ぼーぜ」

 夏輝にそう言い残すと、豪はアクセルを捻り、爆音を立てて夏輝の横をすり抜けた。

「七紀ノーヘルッ…!」

 注意をしようと試みた夏輝だったが、当の豪はひらひらと左手を振って彼方にいる。夏輝は諦めて、自分の帰路についた。



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