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TRUMP~another card~  作者: 四季 華
第三章
11/11

3-4

「夏輝!理由を言えよ!何でわかった?」

 バイクを先ほどよりも速いスピードで走らせている豪が、後ろの夏輝に話しかけた。マフラーからの音に負けないため大声である。

「あの人、英語をしゃべってた。だから、英語圏の妖怪だと思った。そして、相手の男の妖怪が言っていた」

『お前はホームジアンなんだから、枢要院の推理の裏をかいてうまく隠しておけよ』

「日本やアメリカでは、ホームズファンをシャーロキアンと言う。けど、彼はホームジアンと言った。ホームジアンというのは、イギリスの呼び方だ。だから彼女はイギリスの妖怪だと思った。それと、本棚にあったアガサ・クリスティの本。アガサは、イギリス人女性と言うのは、靴下に金を隠すと言った。今回は金じゃないが、大事なものを隠すと思ったんだ。それが当たった。書類と言うから紙束を予想していたが、それもフェイク。念には念を、書類と言うことで紙束を想像させ、メモ用紙は見つからないようにした」

「成程ね!ところで、数珠公園は広いけどよ、どこ行くんだよ?」

「今日この時間、ハルは数珠公園のフットサルコートで友達とフットサルをしている!だから、いるとしたらその周辺だ!」

「了解!もっと飛ばすから、しっかり掴まっとけよ!」

 豪が右手を捻ると、Z1はそれに呼応して嘶き、更にスピードを上げた。


数珠公園 フットサルコート付近


「全く、あいつは何をしてるんだ…。もうすぐ八時だっていうのに」

「あの女性なら来ませんよ。今頃枢要院に捕えられているでしょう」

「ん?…ガッ!」

 独り言に振り返ったら、目の前に拳が迫っていた。勿論避けられることもなく、それは彼の鼻を潰すこととなった。

「な、何…だ…」

「あなた達がハルを襲撃しようとしていたことは、もうわかっています」

 夏輝が淡々と告げる。豪に殴り倒された男は、状況がつかめずに混乱状態だ。

「お前…確か、万屋の…」

「助手の夏輝と申します」

「何故…わかった…?」

 呻く男に、夏輝は小さく笑って言った。

「ハルの助手ですから」


「あれ?夏、何してんの?」

 その後、枢要院がやってきて男を連れ去った後、春一が夏輝を見つけた。

「お前、コンビニ行くのにどんだけ時間かかってんだよ」

 不機嫌そうに言う春一だったが、それは夏輝の後ろに控える男を見て吹き飛んだ。

「豪さん!」

「よう、ハル。久しぶりだな。でかくなったなー、お前」

「お久しぶりっす!今でもZ1バリバリっすか!?」

「あったりめーだろ」

「おう、夏、豪さんは丈の兄貴でよー」

「知ってますよ」

「あ、そうなの?ところで、何でここにいるんだよ?」

 汗をぬぐう春一に、夏輝は小さく笑った。まるで、世話の焼ける弟の面倒を見ている兄のようだ。

「いえ…散歩です」

「散歩ぉ?」

「ええ…。いい夜ですね」


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