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召還魔方陣の上に立っていたのは…

勇者登場♪

 染み一つない白い柱や壁。黒の大理石。


 ここは神殿の地下二階。6人の神官達が円形の魔方陣の周りに等間隔で立っている。


 日の光が入らないこの場所では、柱につけられた蝋燭の灯りが頼りだが、辺りは仄暗く、逆に冷たい、怪しい雰囲気を強調させていた。








「……ふぅ。」





 そんな中、小さなため息をこぼす者が一人。




 私の隣には、ヴァルシア陛下、その周りにはそこで側近達。本日はいつも通り無表情、けれど見た目麗しゅうお姿で。




 ええ、それはいいのよ、そ・れ・は!





 側近達の横には、糞狸……ごほんごほん、いけない、狸はここまで馬鹿じゃないよね。

 大臣の嬉しそうな気持ち悪いにやけた顔がある。ため息ぐらい出ても仕方ないと思うわ。




 全く、どうしてこうなったんだろう。







 レオナは呆れていた。







 その者は、オズスペル王国王妃、その人だった。





◇◆◇◆◇◆




 レオナがオズスペル王国に嫁ぎ、王妃となって、三月半が経とうとする頃。世界ではあちこちに魔物が現れるようになった。

……いや、それ以前も出現していたが、前までは単独行動していた魔物が、最近は連携して村や町を襲うようになったのだ。


 おかげで政府は大混乱。対策を練っても、頼みの陛下も側近も他の仕事に追われて、王宮を離れられない。指示は出せても騎士団の指揮は執れなかったのだ……。



 だけど、オズスペル国にはまだ、取って置きの秘策がある。







 今から150年前、召還魔法によって、異界から連れて来られた勇者は、魔王により崩壊寸前だった世界を救った。

 しかも、それはそれは快く承諾して、尚且つ祖国の技術まで授けてくれた、とても優しくて強い方だったとか。






 ……だから、糞狸(大臣)達は二度目も大丈夫だろうと信じて疑わない。……最初っから頼りきってる。自分で考えたことといえば、どうすれば自分の位が上がるか、手柄に出来るか、くだらない欲ばっかり。あほらしい。


 陛下は反対だってこと、知らないのかしら?それから、今回は他に解決法が見つからなかったから、渋々承諾したってことも……。







◇◆◇◆◇◆




 空想逃避しているうちに儀式は始まり、終盤に差し掛かっていた。



 他の5人より少し華美な服を着た大神官が言う。





「おお、神よ。偉大なる貴方様よ。今、我等は貴方様に見えているだろうか?






 ――こんな汚くて醜い、自分の欲求しか考えられない人達がいるので見られたらダメだと思いま~す……。






見えているならば、どうか我等をお救いください。

――さあ、この災いを吹き飛ばしてくれる者を!!どうか我等に!!!






 ……凄い、思いっ切り他力本願だ。


 それと、『自分たちじゃ無理なので他人に迷惑をかけてください!!』って、宣言しちゃってるよ。神様も大変だね。





我等に光をお与えください!!!




 神官達が胸の前で指を組み合わせて、立て膝になる。





 すると、どういう訳か魔方陣がいきなり強く真っ白な光を放ちだした。




 あまりの眩しさに私は目を閉じてしまった。



 光はしばらくすると収まり、私の耳には、







「ふほぉへぇえ!?」




 という、誰か(たぶん大臣ね)のアホ過ぎるな声を捉えた。




 




 私は、ゆっくりと目を開けた。そして、そこで最初に見たものは……










――糞狸達の間抜けな顔だった。


 ふっ、いい顔しているわ。思わず褒めてしまいそうになった。


 でも、おかしいわね。本来ならこいつ等の気持ち悪い笑みが見えるはずなのに……



 そこで私は、魔方陣の上へと目を向けた。……今度は私が間抜け顔になった。




 ――何故なら





「ど、どういうことだ!?」

 糞狸達が騒ぐ。





 ――そこいたのは





「なっ、何故このような者を!?」






 ――まだ、5~7才ぐらいの、男の子だったからだ。






 ……えっ、ちょっと、幼児!?いったいどうするのよ!!この子!


 私が大臣達をぐるりと見れば、目が合った瞬間から次々に目を逸らしていった。


 もぉしも~し?あんた達が言ったんでしょ!目を背けないでよ!







 ……ねぇ、神様?これって、幼児誘拐ですよね?

…だんだん王妃が毒舌に。あれ、おかしいな~。

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