ロボット少女は恋をする(14)
一緒に、ちょっと豪華な夕食を作って。久々に賑やかな夕食を共に過ごし。ついでだからとお風呂にも交代で入って、寝間着に着替えてから、パソコンを立ち上げた。
「……すごい根本的な事聞くけどさ。ネネってどうやってパソコンと接続するの?」
よく考えると、パソコンを強くしてもそのパソコンと接続出来なかったら意味が無いというものだ。
それを聞いたネネは、右手を首の後ろに当てて弄り始めた。
「うーんと。ここに、ソケットがね……あ、あった」
首の後ろの部分が大きく開き、USB端子他色々な端子が現れる。
飛鳥はちょっとその意外なグロテスクさに顔をしかめた。こういう視覚的なロボット要素が今まで皆無であったことも、その違和感を助長する。
「ね、ネネはUSB機器なのかー」
言いながら、USBケーブルを接続してみると、パソコンの右下にバルーンが出現。
『新しいUSBデバイスが接続されました』
そのシュールさに、飛鳥は思わず噴き出した。
それを見たネネがちょっとだけ不服そうに頬を膨らませる。
「必要なんだからね! データのバックアップとかウイルスチェックとか!」
「分かってる、分かってるぞ」
ククク、と笑いを堪えながら、ドライバがインストールされるのを待つ。
『USBデバイスを使用する準備が出来ました』
「ぶあっはっはっはっは!」
「むー! 笑わないでよーっ!」
「押していい!? このマイコンピュータに出てきたNENEっていうの押していい!? はははは!」
「わ、笑うなーっ! おにいちゃんのばかぁーっ!」
ネネの拳骨が、飛鳥の頬に直撃した。
「さて。やるか」
割と本気で殴られた飛鳥は、腫れた頬の痛みを我慢しながら、大真面目な表情でパソコンの前で腕まくりをし。
「……なあ。僕、何すればいいの?」
再びよく考えると、具体的にどんなソフトを使うのかも知らない。ネットに落ちてるようなハッキングツールで研究所のシステムを落とすのは難しいだろうし。
「? 特に何もないけど」
それがどうかした?と言わんばかりのネネに、飛鳥は苦笑いで固まった。確かにネネは、最初に言ったではないか。飛鳥がするのは、パソコンのアップグレードだ、と。
「おおおおお……」
正直に言うと、相当ショックだった。この日のために過剰なまでにスペックを向上したのに、それを自分で使役出来ないとは。
「じゃあ、おにいちゃんはネネの椅子になってよ。きっと、体の制御が出来なくなるからさ」
言いながら、ネネは、胡坐をかいて据わっている飛鳥の膝の上に座った。ちょっと照れたように、えへへ、と笑った後、パソコンの方に向き直って目を瞑った。
「……お」
デスクトップ上にコマンドプロンプトが複数現れ、何かよくわからない処理が並列で開始された。飛鳥なら読めば分かるのだろうが、流れるのが早すぎてついていけない。
完全に蚊帳の外に置かれた飛鳥は、微妙に居心地悪そうに頭を掻いた。